2008-12-28

2008/12/27 (土) リトル・チャロ

 NHK教育で、今年4月から『リトルチャロ~カラダにしみこむ英会話~』という番組が始まった。退院後、休職中で何するにも効率が悪く、漫然と時間ばかり過ぎてしまう事が多い。休職中に何か一つでも出来る事はないかとずっと考えていた。そこで、せめてもの思いから、去年の4月以降、NHK教育番組の英会話番組を見て、微々たるものだが勉強を続けている。語学番組は半年単位か3カ月単位のものが多いが、春の番組編成で新しく登場した、この『リトル・チャロ』という番組は、ニューヨークで迷子になった日本の仔犬チャロの冒険という題材がアニメで放送されるという、それまでの英会話の番組とは一味違った様式で、1年間にわたって放送されるという事で、興味津々で見始めた。

 実は、自分は、ひどい英語コンプレックスが祟ってか、英会話はもちろんのこと、英語が苦手だ。更に、記憶力が悪く、英語の語彙(vocabulary)が乏しい為、学校で一通り勉強したにもかかわらず、さっぱりで、英論文など2、3行も読むと、催眠術にでもかかったかの如く睡魔に襲われ、気絶する様に眠ってしまう事もしばしば……。なんとかしなければと思っても、英語の文字を見るだけでうとうと……。それを去年の一念発起から、上達の有無はさておき、取り敢えずコツコツと続けられている。

 この番組は、ラジオとも連動しており、このラジオ放送は、自分の好きな時間にインターネットの専用ページからアクセスして聞いて勉強する事も出来、ミニテストも用意されているので、会員登録すると、そのテストも採点してくれる。もちろんすぐに会員登録した。チャロ関連のページはNHKの公式サイト『チャロ・オンライン』と、NHK語学番組サポートサイト(英語のみならず、語学番組全般をサポートしているページ)の【ゴガクル】にも『リトル・チャロの部屋』という専用ページが用意されている。

 番組は評判を呼んだらしく、今迄に2回、リアルタイムで番組公開テストというのも行なわれており、ゴガクルからは、《あなたが作る、チャロ名シーン》というのが始まった。これは、今月のお題であるイラストを見て、その吹き出しにあう名セリフを英語で考えて応募し、予選に通過すると、人気投票が行われるというもの。各投票期間の1ヶ月間は、全作品に、会員のみならず、一般アクセスの人も投票できるが、期間が過ぎると、会員以外は上位3作品しか見られないシステムで、上位3作品は特別賞が貰えるらしい。

  せっかく勉強し続けているので、いくつか応募をしているのだが、一度予選に通過し、結局上位3位内にはならなかったが、1ヵ月後位経った頃だったろうか、予選通過した入賞賞品というものが届いた。上位3位しか賞品はないと思い込んでいたので、思いがけない贈り物に、「わーい!」と大喜びしてしまったのは言うまでもないが、実に可愛いクリアファイル(白半透明のクリアファイル)だった(写真はファイルの表と裏)。

 この名シーンコンテスト、常連さんが多い様で、応募する人の数が少なそうな感じもするのだが、それでも予選を通過すると、嬉しいものだ。最近も予選を通過し、そうなると毎日票が増えていないかチェックしたくなるのが人情だ。

 ところが、悲しい現象に気が付いてしまった。そんなに多くの人が投票に訪れている訳でもない様なのに、特定の作品だけに不自然な程の大量の投票が集中する事が何回も見られるのだ。前からうすうすそんな気配を感じていたが、つい最近も、投票締め切り間際に、一気に(それも時間・分単位で)上位作品の順位がひっくり返されてしまったのも見てしまった。今回も空しいバトルが繰り広げられている様に見える。毎回とても楽しみにしているだけに、残念に思ってしまう。

  ともあれ、また選ばれたのだ。この可愛いファイルがまた届くのかと思うと、やっぱり嬉しい。待ち遠しいなぁ~♪

2008-12-27

2008/12/25 (木) クリスマスに狐の嫁入り

 今日はクリスマス。何もせず部屋にいたが、外を見ると、かすかに雨が降っている気配。窓際まで行って確かめると、やはり小さな雨がぽそぽそと降っている。ベランダに出てみると、空がかなり明るい。太陽を探すと、雲間から覗こうかどうかと悩むかの如く、ちらちら陽光を射していた。雨に太陽となると虹だ。自分は虹がとっても好きだ。すぐさま太陽とは逆の空に虹を探したが、見つからない。 建物の陰に隠れているらしい。

 太陽の位置からして、ベランダとは反対の玄関側から空を見たら、出ている可能性がある。しかし、このところ体がだるいので、まあいいかと、部屋に戻る。

 雨の降り方が弱いしなぁ……降りが弱いから、出ていたとしても大した事ないやろうし……等と考えたが、やはり虹が出ているのなら見てみたい……。 雨が止めば虹も消えてしまう……。

 決心してデジカメを手にとり玄関を出、空に虹を探した。あった……淡い虹が出ていた。かつて住んでいたK都と違い、見晴らしがいい所なので、途中で途切れることなく、でっかく、大きく、半円の虹が出ていた。デジカメの画面に全部納まりきれない位おっきい。美しいものだ。

 「虹が出れば、狐が嫁入りしているんだよ……」昔、祖母が教えてくれた。外は寒く、風がきつく吹いていたが、虹は吹き飛ばされる事もなく、雄大に街に掛っていた。きっと、狐は無事に嫁入りしているんだろうな……

2008-12-26

2008/12/22 (月) 通院記録 骨粗鬆症の検査結果

 午後の主治医の診察で、12月2日に受けた骨粗鬆症検査の結果を教えて貰った。前回の検査から丁度1年経っている。

 前回、お願いして調べて貰った所、基準値以内だったとはいえ、平均値より少なく、どちらかと言えば下限寄りだった。検査部位は腰部と大腿骨の付け根の計2か所であるが、前者に比べて後者の方が、若干、更に基準値の下限寄りだった。この年齢でこんなに減っている事に危機感を覚え、先生と相談した結果、骨量を増やすと言われるお薬、フォサマック(Fosamac)の服用を開始したのだが、先生曰く、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)の前処置、即ち放射線照射によって骨粗鬆症(osteoporosis)になる事があるといい(先生の言い方からして多分そうなる確率は高いのだと思う)、放射線(radiation)治療を受けている為、日光にはあまり当たらない様にとも注意されている。骨粗鬆症予防にはカルシウム摂取もそうだが、日光に当たるのも有効な手段と一般に言われているのだが、それはしてはだめだという事になる。

 この結果を知って以降、増えていて欲しいという願いから、1年後の今回の骨粗鬆症の検査日に備えて、フォサマック服用の他に、毎日の昼食のうどんに入れる煮干しは、そのまま具の一つとして丸ごと食べたり、ミルクを多めに飲む様にしたり、階段昇降自主リハビリ(rehabilitation)を開始して、カルシウムが増える様に心がけたつもりだったが、結果は、残念ながら増えてはいなかった。

 先生のPC画面に映し出されている腰部と大腿骨のレントゲン写真(an X-ray (photograph)をよく見ると、端にある小さなグラフの中に前回と今回の2回分の値が表示されていた。腰の部位の結果はほぼ横ばい(増えも減りもしていない)状態だったが、一番増えて欲しいと思っていた大腿骨頭部が前回より減っていたのだ。まさに基準値の下限すれすれまで減ってしまっている。更に1年後もこの調子なら、来年末は間違いなく基準値以下に突入である。ちょっとというか、内心かなりショックで、先生も「減ってしまいましたね……」と言われたが、私は「増えはしませんでしたが、予防薬を飲んでいたからこれ位で済んで良かったと思います」と言って、気持ちを切り替える事にした。

 骨粗鬆症予防、骨だけに、コツコツと根気良く治療を続けていこうと思う。

2008-12-25

2008/12/22 (月) 通院記録 フェリチン上昇するも

 今回迄の体調は、だるい・しんどい、頸・腰・指等の関節痛(arthralgia)、のど痛。こむら返り(twist、leg cramp)はほぼ毎日起こり、その3回に1回位の割合で、厳しく起こる様になっている(増えた)。膿栓(Tonsillolith;tonsillar crypt)は3~4日に一回の割合で出てくる。歯茎も痛い日が多くなってきたが、嚥下違和感というのは5日に1回位と、こちらは減ってきた。但し、食事中とかに、急にむせてしまう事が多くなった。それも、ごく普通に水を飲む時とか、今迄むせる事など無かった様な場面(状態)で急にむせてしまうので、どう気を付けたらいいのか分からない。以上、書き上げるとこまごまと出てくるが、全般にいつも通りといった所か……、ただ、全身だるく痛いというのが、日々増してきて、一日中辛い日が多くなった。何故だろう?

 午後は主治医の診察で、まず、体調から訊かれ、だるくなった日が多い事は忘れずに伝えた。肝機能(liver function)値はまた少し改善していたが、フェリチン等、鉄関連の検査値(3種類ある)が、私の予想に反して、少しずつ悪化していた。昨年末からの経験からすると、肝機能値が改善するのとほぼ連動して、鉄関連の検査値も改善していた。前回フェリチン(ferritin)を検査したのは、丁度、免疫抑制剤(immunosuppressant)のネオーラル(Neoral)を1日50mgに増やした10月初めである。それから肝機能値は改善に向かい始め、3カ月近くも経っていたので、当然下がっているのだと思っていた。「肝機能検査値はほぼ現在の状態をそのまま反映しているのに、フェリチンの場合は、少し遅れて血液検査値として現われるのですか? 連動して動いているのかと思ったのですが……」と訊いてみたが、先生も、「そうかもしれませんね……」という曖昧な返答。

 肝機能値が2カ月以上正常値だった6月初旬に検査した時は、フェリチンも455と、退院後初めて500未満になるほど改善が進んでいたので、ネオーラルを1日25mgに減量してみようという事になったのだが、結局ネオーラル減量で、再度肝機能値悪化が始まってしまい、10月初旬のフェリチン検査値も、また581と少し悪くなっていた為、ネオーラルを50mgに戻す事になったのだ。今回肝機能値は10月より改善しているのだが、連動して改善するだろうと思っていたフェリチンは下がらず、705に上昇している。人体はそう単純に作られていないという所か。

 それにしても実に中途半端な値だ。何故ならば、もし1,000以上の高い値だったら、瀉血を検討してみましょうかと言われていたからだ。(参照:『2008/11/17 (月) 通院記録3 肝臓のGVHDに瀉血?』) 場合によっては500以上でも瀉血を考えてもいいかも、とおっしゃっていたので、瀉血の件はどうするのかと訊いてみた。

 あくまでも私の場合なのだが、昨年末の肝機能悪化に伴い、フェリチン等の鉄関連の血液検査結果も悪化していた。その時先生は、フェリチンが高いという事は、鉄分も肝臓に負担をかけている可能性があるといった内容の事を言われ、その時に、鉄関連の検査値を正常に戻す一つの手立てとして、血液を抜く瀉血(bloodletting)があるという話を知った。鉄過剰状態が肝臓に負担をかけている原因の一つだとすると、瀉血する事によって、フェリチンの値が正常に近づくのはもちろんだが、それと同時に鉄による肝臓への負担も減る筈で、肝機能検査値も一気に良くなるのではないかと考えておられるのだ(と私は理解している)。ただ、(以前も書いたが)瀉血という行為は、ある特定の病気治療の場合を除いて、保険が利かず、それでも瀉血をするとなると、色々と手続等がややこしいのだそうだ(不必要な治療行為を防ぐ為の規則か何かがあるのだろう)。単に献血(blood donation)の様に血液を少し抜くだけの事なのだが……

 さて、今回はどうなったかというと、「やはり、血を抜くという治療方法(を血液の患者にとるの)は、抵抗があるのですが、次回フェリチンが1,000以上になっていたら、やってみましょう」とKB先生。私が「今日、抜いちゃいましょうよ!」と言って何回か袖をまくって腕を先生の前に差し出してみたが、705と微妙な上昇だった為か、結局見送る事になった。一方で、先生は、「次回もフェリチンの検査を入れて、(病院から)怒られないかなぁ……、毎月(フェリチン検査を)注文して……」とつぶやきながら、かなり思い切った感じで検査項目に入れておられた。(※フェリチンとか、Ig-G等の血液検査は、この病院では確か月に1回までと決められているそうだ。これらは単価が高い検査なので、この様な取り決めによって無闇に高い検査を入れない様にしているらしい。)

 次回、瀉血する事になったら、私としては当然結果が知りたいので、更に次の検査でもフェリチン検査を入れて欲しい所だが、先生は3カ月続けての注文を入れて下さるだろうか……? と要らぬ心配をしてみたりする。

 家に帰って、今回の血液データをExcel入力してグラフで改めて見てみたが、ネオーラルを1日50mgに戻して以降の肝機能回復速度は、鈍くゆっくりしている様に見える。つまり、以前と比べると時間がかかっている感じだ。今回はミコシストカプセル(Mycosyst) (人によっては、ネオーラルの効果を強めるという副作用があるらしく、私にその可能性が見られる)を服用していない分、ネオーラル効果が少し足りないのかもしれないが、長引く肝機能値の異常で肝臓自体が弱ってきているのかもしれない。瀉血によって劇的に肝機能改善効果が期待されるのなら、是非とも確かめてみたいという好奇心がうずうずして止まないが、その為には1ヶ月後のフェリチンが1,000以上にならなければならない……、心の中では妙な葛藤があったりする。まあ、来年の事を言ったら、鬼が笑うって所だね。

【血液検査の結果】12/22:
WBC(白血球数) 4.7、HGB(ヘモグロビン) 12.2、PLT(血小板数) 186、
GOT(AST) 81(高)、GPT(ALT) 99(高)、γ-GTP 54(高)、LDH 229、AMY 164(高)、
Fe 248 (高)[40~148]、UIBC 22 (低)[129~316]、フェリチン 704.5 (高)[150未満]、 
※私の場合、Feとフェリチンは基準値より高い程、またUIBCは基準値より低い程、悪い事を示す。[ ]内は私の性別・年齢での基準値。

2008-12-24

2008/12/22 (月) 通院記録 甲状腺エコー

 今日は年末のせいもあろうが、非常に混んでいた。駐車場入り口は東側角にあるのだが、病院西南角の南側の通りに西方向から駐車出来るまで、なんと1時間半近くもかかってしまった。対面通行のその通りに並んでいた車はほぼ全て、この病院に向かう車の駐車待ちの列だった様だ。

 検査の予約時刻前には病院の前にまで来ていたのに、刻々と時間だけが過ぎていく。電話を掛けたいが、すぐ後ろの車がパトカーである。しばらく悩んだが、一向に車の列が動かないので、思い切って車を降り、後ろのパトカーの警官に、「病院へ検査時刻に間に合わないと携帯で電話を掛けたいのですが、車を(路肩に)駐車してから掛けないと違反になるのでしょうか」と聞いてみた。同じくこの渋滞に巻き込まれてしまっていたパトカーの警官達はにこにこと、「車が動いていない状態ならOK、少しでも動いてしまった時点でアウト」と教えて貰った。それならば赤信号待ちの交差点の中でも、車が動いていなければ携帯を掛けられるのだなと瞬時に思いつつ、お礼を述べ、車に戻って病院へ遅れる旨の電話を入れた。

 さて、今日の午前は、甲状腺(thyroid gland)のエコー(echo)検査があった。約1ケ月前の耳鼻咽頭科受診時に、念の為に、一度調べておきましょうと言われた検査だ。検査そのものは簡単で、甲状腺のある喉に検査器具を当て超音波で調べるというものである。皮膚と器具の滑りを良くする為、検査する部位にゼリー状のものを塗るので、検査が終われば、皮膚に残っているゼリー状のものをティッシュでぬぐって、終了である。

 病気で入院してこのかた、肝臓と心臓のエコー検査を受けた事があったが、その時は、器具を当てられている部分に、何とも嫌な不快感を覚え、早く終わってこの不快感から解放されたいとひたすら願っていた記憶がある。これは超音波が気持ち悪いとかいう類のものではなく、先生が検査する臓器を探る様にして、エコーの器具を検査部位である肝臓や心臓ににグイ、グイ、と押し当てる、その動きに物理的(?) な嫌悪を覚えたのである。その為、今回のエコー検査でもまたぐりぐりっと嫌な感覚があるのかなと、少し緊張していたが、それほどでもなく、すぐに終了した。検査部位が喉だったせいかもしれないが、もしかすると、この検査も先生によってうまい下手があるのかもしれない。

 検査後、耳鼻咽頭科の先生の診察となった。この病院ではエコーの検査をする先生と診察する先生が違う。検査結果は、ごく小さい白い物が映っていた様だが(エコーはレントゲン写真の様に白黒映像であるので、白いものと表現している)、これは問題のないもので、異常なしとの事であった。

 次に口内の診察。喉の膿栓(Tonsillolith;tonsillar crypt)は相変わらずあるが、これも前回一般菌である事が判明しているので問題なし。

 右頬裏にあるごく小さな白いしこり(前回私はこれも膿栓かと思っていたのだが、膿栓と違って少し硬く、見た感じも違うそうだ)には、前回処方されたデキサルチン軟膏を塗り続けてきたのだが、消えもせず、大きくなるでもなく、変化はなかった。先生は人差し指用のゴム手袋を付けて(5本指の手袋ではなく、指サックでもなく、人差し指を突き出した形で手の甲まで覆う、指一本専用の手袋があるらしい。前回気がつかなかったが、初めて見た)、触診(palpation)し、やはり変化なしとの事。もう少し様子を見て、場合によっては細胞診(cytodiagnosis)をしましょうと言われる。とても小さいので、細胞診の為にその部位を取ったら、そのしこり全部が取れる事になるだろうから、それで終わりになってしまいませんか、と訊いてみるが、そうかもしれないが、採った場合は一応検査に回しましょうと言われる。「頬裏の組織を切り取るのだから、少し出血しますが…」との事。

 デキサルチン軟膏は、また次回の診察迄塗り続けるのかを確認すると、「効果も無かったし、ステロイド入り軟膏なので、もうやめましょう」と言われ、初めて(steroid)入りである事を認識した。ステロイド入りだから、改善もみられない患部に漫然と塗り続けるにはよくないのだろう。 イソジンガーグル(Isodine gargle)アズノール(Azunol)うがい液の、2つのうがいは今後も続ける事になる。

  次回予約は1月末。もう来年だ。一回でおしまいと思っていた耳鼻咽頭科、まだしばらく続きそうだ。

2008-12-21

2008/12/21 (日) ナノバブル

 忘れないうちにと思っているうちに、早や2週間も経ってしまったが、12月7日に、TVで「ナノバブル」という言葉を知った。バブル(bubble)は泡であるが、ナノ(nano)というのはその大きさの単位で、1mmの100万分の1の大きさが1ナノ(1nmと書き、1ナノメートルと読む)、つまり0.000001mmという非常に小さな泡という事が分かる。ちなみに、マイクロという単位もあるが、これはナノよりも大きい単位である。1マイクロメータは1μmと書くが、1mm=1,000μm=1,000,000nmとなる。

 この「ナノバブル」とは一体何なんだろうかと聞いていたが、非常に興味深かったので、ちょっとだけメモしておこうと思う。

 ナノバブルは文字通り、ナノサイズの泡の事で、小さ過ぎて目に見えるサイズではない。ペットボトルに入れた水を、いくらシャカシャカ振ってみても、到底ナノサイズの泡は出来ないと想像出来るので、世の中にはまだまだ知らない面白い技術もあるものだと感心したが、TVでは、そのナノバブルを発生させた水の新しい能力が話題になっていた。

 最初は他の目的で開発・使用されていたこのナノバブルの水には、不思議な現象があり、例えば、使用後のナノバブルの排水溝付近で、その水に接触している(水草だったか、雑草だったか聞きそびれたが)草の成長が著しいというのである。それに注目したある研究者が、調べていくうちに、シャーレに培養したガン細胞(cancer cell)をナノバブルで作った培養液で培養(culture)してみると、通常の水で作った培養液では死なない癌細胞(通常なら培養液中で増える)が、かなりの割合で死んでしまう事を発見したという。

  どういう作用機序で、癌細胞が死滅するのかはこれから解明が進められるのだろうが、色んな意味で応用が効きそうな、面白い現象だと感じたので、書き留めておく。

2008-12-18

☆ナイキサン(Naixan)錠・ナイキサンカプセルについて

 『ナイキサン錠100mg (Naixan Tablets 100mg)』は、鎮痛・抗炎症剤で、痛み止めとして処方された。

 白色錠剤で” TA124”と刻印されていている。直径約7.0mm、厚さ約3.5mm、重量約0.125g(錠剤1錠分の重さ)。劇薬・指定医薬品に区分され、販売開始年月は1978年3月と書かれている。



※『ナイキサンカプセル300mg (Naixan Capsules 300mg)』もあり、自分は入院以前からこちらの方を良く飲んでおり、錠剤があるとは知らなかった位である。こちらの形は硬カプセル剤(1号)で、頭部:青色不透明、胴部:白色不透明、長さ19mm、径6.9mm、重量0.41g、” TA302”と印字されている。販売開始年月:1987年12月。
※100mg又は300mgというのは錠剤やカプセルの重さではなく、主成分の含有量である。
※一般的名称はナプロキセン製剤で、ナプロキセン(Naproxen)を含有する(錠剤は100mg、カプセルは300mg)。

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○用法、用量:
・ 成人には、錠剤なら3~6錠を2~3回に分け、カプセルなら2カプセルを2回に分け、空腹時を避けて服用する。
・ 年齢、症状により適宜増減する。
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 薬局から貰った注意書き(薬局が作成したもの)等を転記する。
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【薬の作用】
 炎症を和らげ、痛みを抑えたり、熱を下げる薬です。炎症や痛み、発熱の原因であるプロスタグランジンの生成を抑える事により、抗炎症作用や鎮痛、解熱作用を示します。

【注意事項】
・ 腹痛、胃痛、胃の不快感、気持ちが悪い、吐く、食欲がない、発疹、かゆみ、むくみ、下痢、口内炎、眠気、めまい、頭痛等が現われる事があります。
・ 胃腸障害の発現を少なくする為、空腹時を避けて服用して下さい。また、食道につかえると粘膜を傷つける事があるので、多め(コップ1杯)の水で服用して下さい。
・ 今までに鎮痛剤や解熱剤を服用して、発疹が出たりぜんそくを起こした事のある方、気管支喘息のある方は医師、薬剤師にその事を伝えて下さい。
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 最後に、添付書類に書かれている禁忌等を一部転記する。
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【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1. 消化性潰瘍のある患者(ただし、慎重投与の項参照)〔胃粘膜の防御因子の一つであるプロスタグランジン(PG)の生合成を阻害し、胃潰瘍を悪化させるおそれがある。〕
2. 重篤な血液の異常のある患者〔副作用として血液・肝障害が報告されているため、さらに悪化させるおそれがある。〕
3. 重篤な肝障害のある患者〔副作用として血液・肝障害が報告されているため、さらに悪化させるおそれがある。〕
4. 重篤な腎障害のある患者〔腎血流量を低下させることがあるので、腎障害をさらに悪化させるおそれがある。〕
5. 重篤な心機能不全のある患者〔腎血流量及び水・電解質代謝の調節作用を有するPGの生合成を阻害することにより、Na・水分貯留傾向があるため心機能を悪化させたり、血圧をさらに上昇させるおそれがある。〕
6. 重篤な高血圧症の患者〔腎血流量及び水・電解質代謝の調節作用を有するPGの生合成を阻害することにより、Na・水分貯留傾向があるため心機能を悪化させたり、血圧をさらに上昇させるおそれがある。〕
7. 本剤の成分又は他の非ステロイド性鎮痛消炎剤に対し過敏症の既往歴のある患者
8. アスピリン喘息(非ステロイド性鎮痛消炎剤等により誘発される喘息発作)又はその既往歴のある患者〔気管支筋拡張に関与するPGの合成を阻害することにより、気管支のれん縮が引き起こされ喘息発作を誘発する。〕

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【併用注意】 薬剤名等
1. ヒダントイン系抗てんかん剤(フェニトイン)
2. クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)
3. スルホニル尿素系血糖降下剤(クロルプロパミド、トルブタミド、グリベンクラミド)
4. プロベネシド
5. メトトレキサート
6. 降圧剤(β遮断剤、利尿剤、ACE阻害剤等)
7. カプトプリル
8. リチウム製剤(炭酸リチウム)
9. ジドブジン
10. ニューキノロン系抗菌剤等(エノキサシン等)

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 重篤な副作用に、急性腎不全・血小板減少症・無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)・間質性腎炎(尿細管間質性腎炎)・出血傾向・薬剤性貧血・再生不良性貧血・スティーブンス・ジョンソン症候群がある。

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以上。

 最後に余談だが、入院以前から痛み止めは腰痛・椎間板ヘルニア(disk herniation)等に良く服用していた。自分にはロキソニン(Loxonin)錠60mgとナイキサンのカプセルが良く効く様に感じていた。退院後は、主治医からロキソニンは肝臓に負担がかかる可能性があるからと言われ、我慢して中断してみたり、逆に痛くて普段より多く飲んだ時もあったが、肝機能値に変化が見られず、肝機能(liver function)に影響が無いらしい(あくまでも私の場合である)と結論している。私にはロキソニンは合っているらしい。

 また、ロキソニンの代わりの痛み止めを試してみようと言われた時、私が希望したのはナイキサンであった。しかし、カプセルタイプはこの病院の処方できる薬の候補に無く、錠剤(100mg)を毎食後1錠の割合(1日3錠)で処方され、4ヶ月程飲んでいたが、以前飲んでいたナイキサンカプセル程の効果が感じられず、ロキソニンに戻して貰った経緯がある。調べてみると、ナイキサンの有効性分が、錠剤で100mgに対し、カプセルは300mgなのだから、効き目が弱いのも当然である。

 そこで一般的上限の1日600mgに、即ち錠剤を1日6錠に増やして欲しい(カプセルなら1日2カプセルに相当)とお願いしても、先生は増やして下さらなかったので、ロキソニン(1日2錠)に戻して貰った次第だが、出来れば、退院時のレベル、即ちロキソニン1日3錠に増やして欲しいと思っている(これも頼んでも増やして貰えない)。手持ちの痛み止めを勝手に追加で飲もうかと何度も思うのだが、それは原則、我慢している。
※どの薬にも個人差があり、この余談は一般的な参考にはならないので、服用の際は必ず主治医と相談されたい。
参考:ブログ内の参考ページ:2008/05/08(木) 現在処方されている薬と薬価等

【備考】・製造販売元:田辺三菱製薬株式会社。

2008-12-12

☆デキサルチン軟膏 (Dexaltin Ointment )について

 『デキサルチン軟膏(Dexaltin Ointment) 5g (口腔用)』は、口腔粘膜疾患治療剤である。 ステロイド(steroid)入りの軟膏なので、必ず先生と相談しながら、決められた期間は塗り続け、症状が改善しない様なら中断する事にし、自己流(自分勝手な判断)で安易に使用しない方が良いと思われる。

 びらん又は潰瘍を伴う難治性口内炎又は舌炎に効果があり、通常適量を1日1~数回患部に塗布する(症状により適宜増減)。

・ 1g中、デキサメタゾン(Dexamethasone)を1.0mg含有の、白色のなめらかな軟膏剤で、無臭である。
・ 2g入りもあるらしい。
・ 室温保存する。一般名称:デキサメタゾンで、元々は白色~微黄色の結晶又は結晶性の粉末である。

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 薬に添えられている使用法の説明書を以下に転記する。これはイラスト入りで解説しているので、写真も載せておく。
【デキサルチン軟膏のつけ方】
1.まず、手を洗い指先を清潔にして下さい。
2.口の中をすすいできれいにして下さい。
3.患部を薄くおおう程度の量のデキサルチン軟膏を指先にとります。
4.指先にとったデキサルチン軟膏を患部にすりこまないよう、静かにのばすようにつけてください。
5.デキサルチン軟膏をつけたあと唾をはいたり、うがいをしないでください。つけた後30分ぐらいは飲食をひかえてください。
6.食後やおやすみ前につけるのが効果的です。
7.デキサルチン軟膏をつける回数は症状によって異なりますが、1日1~数回つけてください。
8.つけたところからはがれたデキサルチン軟膏を、飲み込んでも体に害はありません。
9.使用後はチューブの口及びその周辺に付着した軟膏をふきとった後、キャップを締めて保存してください。
※ デキサルチン軟膏をつけた後で、何か異常がありましたら先生に申し出てください。また、先生から特別に注意されたことはお守りください。

 以上である。

 更に参考までに、これを使った人しか理解出来ないかもしれないが、付けた後の指を水で洗おうとすると、この軟膏のぬめりがなかなか取れない。これが取れるまでしっかりと指を洗うのはかなり面倒だ。最近では、綺麗な面棒を取り出し、指の触れていない方の面棒の先に軟膏を付けて塗ってみている(軟膏が足りない場合は、新しい面棒を使用する様に注意する事)。当然、付けた口の中(頬の裏とかの患部)も、歯にくっ付いたりと奇妙な感覚であるが、治療の為なので、軟膏が長く患部にとどまる様にイメージして、根気よく毎日続けよう。また、注意書きにも書いてあるが、この軟膏をとる時の指は清潔にしてから、蓋を締める時も、清潔なティッシュ等で綺麗に拭き取る様にして、軟膏に雑菌がつかない様にしよう。

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 これは入院中に処方された薬なので、薬局からの注意書きが無い。
 最後に、添付書類に書かれている禁忌事項を転記する。
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【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
本剤に対し過敏症の既往歴のある患者

【原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)】
・ 口腔内に感染を伴う患者
・ 感染症の増悪を招くおそれがあるので、これらの患者には原則として使用しないが、やむを得ず使用する場合には、あらかじめ適切な抗菌剤、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。

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【備考】
・ 薬価基準収載年月:1984年6月
・ 販売開始年月:1984年6月。
・ 製造販売元:日本化薬株式会社
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2008-12-06

☆イソジンガーグル(Isodine gargle)について

 『イソジンガーグル(Isodine gargle) (うがい薬) 7%』は口腔内殺菌消毒薬で、黒褐色透明の液体で、特異な芳香がある。
・ 咽頭炎、扁桃炎、口内炎、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防、口腔内の消毒。
・ 一般的名称はポビドンヨード(Povidone-Iodine)で、1ml中にポビドンヨードを70mg(有効ヨウ素として7mg)を含有する。
・ 使用方法は、15~30倍(本剤2~4mlを約60mlの水)に希釈し、1日数回含嗽する。
・ 直射日光を避けて、室温保存する。
※ 重大な副作用に、ショック症状やアナフィラキシー様症状がある。
※ ボトル及びボトルのラベルに目盛りが打ってあり、1目盛りが約2mlとなっている。使用時は、ボトルを逆さにし、1~2目盛り分を約60mlの水に希釈すれば良い。

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 薬局でイソジンを貰った時、「うがいQ&A」という紙が一緒に入っていたので、その写真を掲載しておく。

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 添付されている説明書から、使用上の注意等を少しだけ抜粋して、以下に転記する。
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・ 本剤によるアレルギー症状を起こした事がある人は、使用しないで下さい。
・ 本人または家族がアレルギー体質の人・薬によりアレルギー症状を起こした事がある人・口内にただれのある人・甲状腺機能障害の診断を受けた人は、使用前に医師又は薬剤師に相談して下さい。
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 薬局から貰った注意書き(薬局が作成したもの)等を転記する。
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【薬の作用】
・うがい薬です。口内の感染予防や消毒に使います。
・のどや口の中の細菌、病原性のカビ(真菌)、ウイルスを消毒するうがい薬です。遊離されたヨウ素の酸化作用により、細菌、真菌、ウイルスを死滅させます。

【注意事項】
・ 吐き気、口内・のどの刺激感、不快感、口内が荒れる、口内のただれ、口内が焼ける様に熱い、発疹等が現われる事があります。
・ 気分が悪い、口の中や喉の刺激感、口の中があれる、発疹等が現われる事があります。
・ 使用する直前に15~30倍に希釈(約60mlの水に2~4mlを加える)してからうがいして下さい。希釈後は早めに使用して下さい。
・ 抜歯後等、口中に傷がある場合は、激しくうがいはしないで下さい。
・ うがい用以外には使用しないで下さい。
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 最後に、添付書類に書かれている禁忌事項を一部転記する。
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【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
 本剤、又はヨウ素に対し過敏症の既往歴のある患者

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 この他に、甲状腺機能に異常のある患者[血中ヨウ素の調節ができず甲状腺ホルモン関連物質に影響を与えるおそれがある]には慎重に使用する事、とある。点眼しない事(目に入れない事)とも書かれている。

参考:ブログ内の参考ページ:2008/05/08(木) 現在処方されている薬と薬価等

【備考】
・ 販売開始年月:1965年11月
・製造販売元:明治製菓株式会社。
【薬価】・2008年12月時点の薬価は、3.5円/ml、これは30ml入りなので、1本当たり3.5円×30ml=105円。2008年5月時点より0.1円安くなっている? 3割負担ならこれに更に0.3を掛ける。但し薬局では、この他に調剤技術料とか薬学管理用等がかかる。

2008-12-05

☆アズノール軟膏 0.033% (Azunol Ointment 0.033%)について

 『アズノール軟膏0.033% (Azunol Ointment 0.033%)』は、炎症性皮膚疾患治療剤である。
・本剤は淡青色~淡青緑色の軟膏剤で、わずかに特異なにおいがある。
・一般名は「ジメチルイソプロピルアズレン(Dimethyl Isopropylazulene)」、
・慣用名は「グアイアズレン (Guaiazulene)」、
・遮光して、室温保存する。
・天然物由来の為、色合いが違う事がある。また、一部液化する事があるが、効能その他に変化はない。
・湿疹、熱傷・その他の疾患によるびらん及び潰瘍に、通常、症状により適量を1日数回塗布する。
※私は、ガーゼを止める紙テープ等に皮膚がかぶれた時に処方(prescription)された。また、化学療法(chemotherapy)で弱ってしまった肛門を守る塗り薬が無いかとお願いした時も、これが処方されている。
※頻度は少ないが、皮膚に過敏症状を起こす人もいるらしい。
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 これは入院中に処方された薬なので、薬局からの注意書きが無い。

 最後に、添付書類に書かれている禁忌事項を転記する。
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【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

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【備考】
・販売開始年月:2005年8月。
・製造販売元:日本新薬株式会社

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※本ブログ内参考:『2006-07-10 (月) アズノール軟膏』
※同名のうがい液がある。これについては『☆アズノールうがい液4%(Azunol Gargle liquid 4%)について』を参照の事。

2008-12-04

☆アズノールうがい液4%(Azunol Gargle liquid 4%)について

 『アズノールうがい液(Azunol Gargle liquid 4%)』は、その名の通り、うがい液で、咽頭炎、扁桃炎、口内炎、急性歯肉炎、舌炎、口腔創傷等に処方される。このうがい液は濃青色で、メンソールの様な匂いがある。遮光して冷暗所に保存する。火気厳禁。一般名はアズレンスルホン酸ナトリウム水和物(Sodium Gualenate Hydrate)である。
※ 私の場合は、嚥下違和感とか、むせ易くなった症状を話した時に、処方された。患者によっては、これでうがい(gargle)すると、それらの症状が和らいだという人もいるからなのだそうだ。
※ 耳鼻咽頭科の先生は、処方される前に「メンソレータム(Mentholatum)の様な匂いは嫌いですか?」と確かめてから(私は好きだと即答した)、私に処方された。このにおいが苦手という人には処方されないのだろう。この匂いは成分にハッカ油が含まれるからだと思う。薬局でこのうがい液は、遮光用の青い袋と一緒に渡された。光によって変化する性質があるからなのだと思われる。尚、この液は濃い青色であるが、着色料の色ではなく、薬成分自体の色だそうだ。

 使い方は、容器の蓋を取って逆さにし、5~7滴分をコップに入れる、或いは、容器のてっぺんに指を置いて逆さにし、1回だけワンプッシュして出た液(丁度5~7滴分の量になる様にボトルが設計されているらしい)をコップに入れ、100ml位の水で薄めた液を使用し、数回に分けてうがいをする。1日に数回うがいする。年齢や症状によって使用量を調整する。適性に希釈した場合のpHは6.5~8.5。
※ 先生は、これは間違って飲み込んでしまっても大丈夫な薬だと説明された。少し位なら、のどに行き渡らせる感じで、ゆっくりと飲み込んでみても差し支えないとの事。
※ 私の場合は、朝起床時と、就寝前にうがいする様にと処方された(1日2回)。
※ 抜歯後等の口腔創傷がある場合の使用は、主治医と相談した方がよさそうである。
※ 私の様に、イソジンのうがいも併用しているのなら、イソジンの後にすぐにこれでうがいしたら、せっかくのイソジンの殺菌作用(bactericidal activity)も薄れてしまうと思うので、イソジンうがい後、10分位経ってから、こちらのうがいをした方がより効果的だと思う。

薬局から貰った注意書き(薬局が作成したもの)等を転記する。
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【薬の作用】
うがい薬です。口の中やのどの炎症を抑えます。

【注意事項】
・ 口の中や喉の刺激感、口の中があれる等が現われる事があります。
・ 水で指示された濃度まで薄めて使用して下さい。
・ 抜歯後等、口中に傷がある場合は、激しくうがいはしないで下さい。

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薬に添えられた使用説明書と注意書きを写真と共に、以下に転記する。
【アズノールうがい液4%の使い方】
※容器を立てた状態では、お薬は出ません。
1.外キャップを回して外し、出口を確認して下さい。
2.出口を下にしてノズルの先端を押し、一回押し切り分、または5~7滴をコップに滴下して下さい。
3.コップに水(約100ml)を入れて希釈して下さい。
4.数回に分けてうがいして下さい。

【注意】患者さまへ
1.用法は医師の指示に従って下さい。
2.のお薬を目に入れない様にして下さい。目に入った場合は、水で洗浄後、医師の診察を受けて下さい。
3.小児の手の届かないところにおいて下さい。
4.火に近づけないで下さい。

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○このお薬は濃い青色の液剤(うがい液)です。
・ 水やぬるま湯でうすめてご使用下さい。
・ この色は添加物などに色ではなく、お薬そのものの色です。
・ 手や皮膚に付いた場合は、水で洗い流せます。
・ 衣服に付いた場合も、水洗いで落ちます。また水洗い出来ない様なもの(ウール、絹など)はドライクリーニングで落ちます。
・ 容器が汚れた場合は、ご面倒ですが、ティッシュペーパーなどでふき取って下さい。
・ 液もれによる汚れを防ぐ為に、使用後はキャップをしっかり締めて下さい。またバッグなどに入れて持ち運ぶ時も、キャップがしっかり締まっている事を確かめて下さい。

○この容器は、中のお薬を誤って目などに入れないようにするために、このような形や仕組みになっています。
・ 容器を分解しないで下さい。
・ キャップをはずして容器を「さかさま」や「ななめ」にすると、出口から液が垂れる事がありますので、ご注意下さい。

○このお薬は室温で、保存用(携帯用)袋に入れて保存して下さい。

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 ところで、私は入院して、ガーゼを止める紙テープにかぶれてしまった時、『アズノール軟膏(Azunol Ointment)』を処方(prescription)された事がある。同名のうがい薬があるとは知らなかった。確かあれも青い色をしていた様な気がしたので、探してみたら、とても薄い水色の軟膏であった。この色も、着色料ではなく、薬本来の色だったのだなぁと、今回これを書いて知った次第だ。『2006-07-10 (月) アズノール軟膏

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【備考】
・ 販売開始年月:2002年8月。
・ 販売:日本新薬株式会社
・ 製造販売元:株式会社 日本点眼薬研究所

【薬価】
・2008年12月時点の薬価は、54.7円/ml、これは5ml入りなので、1本当たり54.7円×5ml=273.5円。3割負担ならこれに更に0.3を掛ける。但し薬局では、この他に調剤技術料とか薬学管理用等がかかる

2008-12-03

2008/12/ 02 (火) 通院記録2 骨粗鬆症の検査

 午後は骨粗鬆症(osteoporosis)検査である。昨年末に詳しく検査して貰って、丁度丸1年経過している。腰(腰椎)と大腿骨頸部の2か所をX線撮影したのだが、その時の結果は、自分の予想外に骨量が減少していた(同年齢の基準値内ではあったが、どちらも平均よりも少なく、大腿骨頸部の値は下限に近かった)。この年齢で既にこれだけ減少している事に危機感を覚え、先生に相談して、骨粗鬆症治療薬を飲んで様子を見る事になったのだった(参照:『2007-12-04 (火) 骨粗鬆症の薬:フォサマックについて』)。

 ちなみに、大腿骨頸部(femur neck)の骨折(fracture)は、治り難い部位らしく、骨量の減ったお年寄りが転倒してここを骨折すると、寝たきりになってしまう事が多いと聞いた事がある。また、私の場合は、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を受ける為に放射線(radiation)の全身照射を受けているのだが、これも骨粗鬆症の原因の一つなのだそうだ。

 ところで、骨密度(bone density)を増やす為には食事もさることながら、適度な運動と軽い日光浴(紫外線)等が有効とされている。そしてカルシウム吸収に必要なビタミンD(vitamin D)は食事から摂る他に、日光浴によっても人体で作られるという。しかし、全身放射線治療を受けた私は、直接日光にあたるのは避ける様にと指導されている。これはどうやら、皮膚癌のリスクが高くなっているせいらしい。

 処方された骨粗鬆症予防薬はフォサマック錠(Fosamac) 35mgで、1週間に1度服用するタイプのものである(毎日服用するタイプのフォサマックは1錠5mg)。昨年末の肝機能(liver function)の異常上昇時に、短期間中止した時もあったが、ほぼ1年経つ12月に再検査をお願いしていた。果たして改善している(骨密度が増加している)かどうかが、気になる所である。

 どんな検査だったかというと、検査着に着替え、先ずは腰の骨の撮影という事で、検査台に仰向けに寝る。次に大きな立方体のクッションを持ってこられ、脚(太もも)は寝台に対し垂直に、その先のふくらはぎは90度(つまり寝台に対してほぼ平行)になる様に、そのクッションの上に載せた姿勢である。丁度背もたれつきの椅子に座った格好で、そのまま椅子の背を後ろに倒した形である。 後は1分位で、撮影が終わるまで、じっとしているだけである。
検査時は丁度こんな感じの姿勢→  ○__I

 次に、大腿骨の付け根付近(大腿骨頸)の撮影は右脚側だけ行なわれた。引き続き仰向けに真っ直ぐ寝た状態で、検査する方の右足首を45度程内側に傾けた状態で、その足が動かない様に固定され、その姿勢のままで撮影が行なわれ、検査はすぐ終わった。

 今日は主治医のKB先生の診察がない日の為、この結果を訊くのは次回年末の通院日まで待つ事になる。

  以前なら、検査台に仰向けに寝るだけでも、背中や腰が痛かったが、苦痛無く検査を受ける事が出来た。こんなところにも、体力の回復を感じている。

2008-12-02

2008/12/ 02 (火) 通院記録1 耳鼻咽頭科受診 鼻からファイバースコープ!

 本日午後は骨粗鬆症(osteoporosis)検査があるのだが、前回の耳鼻咽頭科受診(『2008/11/17 (月) 通院記録1  耳鼻咽頭科受診』)で行われた検査結果が出ているので、ついでに結果を聞きに来て下さいと言われていた。2回目の受診である。前回と受診曜日が異なるので結果説明は違う先生になると聞いていたが、順番が来て診察室に入ると、今回は男の先生だった。

 喉奥から出てくる白い物は、一般に誰もが持っている膿栓(Tonsillolith;tonsillar crypt)で、心配ない事が分かったのだが、念の為にと、一部採取して、菌検査に回されていた。結果は、問題なし(要するに、特に珍しい菌は検出されなかったという事)。安心材料は多いに越した事はない。

 次に、口内の診察後、改めて色々と問診があったが、嚥下違和感については、「一度カメラで診てみましょうか」とノートパソコンの電源コードの様な太さのファイバースコープを用意され始めた。「それで喉を見るのですか?」と訊くと、なんと、鼻からそのコードを挿入してみるというのだ。「えっ! そんな太いのを?!」と私がひるむと、「なに、これは細い方で、胃を見るカメラの場合はこれよりもっと太いですよ」と言われる。「そりゃあ、口から挿入するのだから、もっと太くても痛くはないでしょうが、それは鼻の穴から挿入するのでしょう?」と、私には十分太く見えるそのファイバースコープを見つめた。すると先生は、胃を調べる為の、もっと太いファイバースコープも、鼻から挿入するのだと説明され、私はしばし絶句してしまった。

 先生はカメラの付いている先端から順に、コードに経皮麻酔薬であるキシロカイン(Xylocaine)ゼリーをたっぷりと塗り始めたので、「い…、痛くはないですが?」と恐る恐る訊くと、「大した事はないですよ、それに、胃に入れる方のはもっと長いですが、これは喉の所まででいいので短いでしょ」と。大急ぎで覚悟を決め、先生の方を見ると、その頭上にTVがあるのに気が付いた。「あれに映るんですか?」と質問すると「怖くて見たくないという患者さんもいますが、見ますか?」といって、スイッチを入れて下さった。

 先生は私の顔を一瞬ジッと見た後、「左の鼻から入れましょうか…」といわれた。左の方が鼻の穴が大きそうに見えたのだろうか等と考える間もなく、TV画面には私の鼻の穴が近付いてきて、あっという間に鼻腔の奥に進んでいった。と同時に「い、痛い!」と叫んだら、更に痛くなった。「叫ぶと余計痛くなりますよ…」と先生が言われるのを聞きながら、たった今、身を持って体験致しました、と心の中で呻いた。『痛っ!』と緊張すると鼻の穴も縮こまってしまい、余計痛くなるのも無理はない。

 喉に達したカメラ画像を、涙目で見ると、先生が、「三角に開いたり閉じたりしているのが声帯で…」と説明を始められた。結構ピンクで新鮮な色をしているな、と思ったが、鼻からコードが出た状態で、下手にしゃべると痛いので、じっくり見たり質問したりする余裕はなかった。先生も「きれいだし、特に問題は見えませんね」、と言ってすぐにファイバーを抜いてくれた。またまた検査で思いもかけない面白い画像を見る事が出来たものだ。

 嚥下違和感については、喉もとあたりにちょっと居座ってからググッと胃へ下りていくイメージだと説明すると、「喉の位置っていうイメージや感覚は、結構いい加減なもので、本人が喉と思っていても食道だったりする。右が痛いと思っているのに、左に異常が見つかったりというのに似ていますね。ちなみにあなたが指している部分は喉ではなく、もう食道ですよ」と、何やら面白い先生だ。水などを飲んだ時でもつっかえる感じがする時があると話すと、意外にも、液体の方が詰まり易いのだそうだ(??)。先生は「もし嚥下(deglutition)が気になるとか悪くなる様なら、胃カメラを入れて食道の検査をしてみてもいいでしょう…」と説明されるが、今日のファイバースコープより太いのを鼻から入れられるなんて、想像するだけでも痛そうで嫌である。

 その他、最近食べる時にむせ易くなったという話をすると、「むせるのなら心配はいりません」との事。誤飲によって気管に異物が入ってしまうと、肺炎等を起こしてしまうので、むせる事が出来ているのなら問題ないという説明である。どこまで納得したらいいのか悩むところだが、取り敢えずはなるほどと安心してみる事にする。

 以上の様な症状を聞いた先生は、もう一つうがい薬を新たに処方され、「あなたの様な症状を訴える患者さんがこれでうがいすると、人によっては喉の具合が改善されたという患者さんもおられるので、一度試してみて下さい」と言われる。イソジンうがいが口内殺菌をするのに対し、これは粘膜保護の役割をするのだそうだ。起床時と就寝前に各一回使用する事になるが、どちらを先にすべきかを訊くと、余り厳密に考えなくてもいいが、順番を決めるとしたら、イソジンのうがい後、一番最後にすればよく、また、万が一この液を飲み込んでしまっても大丈夫で、なんだったら、喉全体に行き渡らせる様にゆっくりと飲み込んでも良いとの説明を受けた。※診察後、薬局で処方されたそのうがい薬の名前を見ると、アズノールうがい液とあった。アズノール軟膏(Azunol Ointment)は以前処方された事があるが、うがい薬もあるらしい。

 最後に、電子カルテを見て甲状腺検査も受ける事を確認されてから、「甲状腺の異常や病気は男性より女性に多く発見されます」と、甲状腺(thyroid gland)が首前面下方にある事を説明され、「左右ある甲状腺の左側が少し大きくて食道(esophagus;oesophagus)を覆う様にあり、これが腫れたりすると、食道が押されて狭くなり、嚥下の異常感を起こす事もあるので、それを調べる為の検査でしょう」と教えてくれた。この説明で、やっと、何故甲状腺エコー検査なのかという謎が解けた。

  ところでこの説明を聞いていて「食道って首の真ん中を通っているのではないのですか?」と訊いてみた。てっきりど真ん中を通っているのだと信じていた。先生の説明によると、気管支はほぼ真ん中を通っているが、食道は心臓との位置関係もあって、少し左寄りにあるのだそうだ。知らなかった…(ちなみに首を前から見て、甲状腺は気管を覆っており、その後方に食道があるという配置)。でも、よく考えてみると喉には気管も食道も通っているから、どちらもど真ん中を通っている訳ではないのだから、分からないではない。人の感覚というか、思い込みというものは当てにならないものなんだと思った次第だ。

2008-12-01

2008/11/30 (日) 足の爪はネコの爪?!

 その後の足の爪の記録を少々。

 入院後、きつい化学療法(chemotherapy)を何度も受けるうちに、手足の爪には横縞が生じ、変色していき、更に足の爪は、横縞に沿って凹凸も出来、しまいには、ある程度爪が指先から伸びてくると、ポロリと剥がれる様になった。入院中、使用された薬剤が完全に体から抜けるには、2年位はかかるだろうと聞かされていたが、手の爪は足に比べると、成長が早い分、退院後比較的早い時期に、ほぼ正常に戻っている(爪自体は少し脆く弱くなった等、まだ完全ではないが、色も横縞も無くなってきれいな色になっている)。

 足親指の爪は、成長するのに時間がかかる為、現在は随分マシになったとはいえ、未だ横縞、凹凸、変色が少々残っている(親指の爪は根元から半分位はほぼ正常な色形になってきている)。また、入院後期に悩まされた、足親指の巻き爪予防には、深爪をせず、親指の指先からはみ出て伸びた分だけ爪を切る様にと指導されていたが、それを守ろうとしても、そこまで伸びる前に、勝手に爪の先端が指からポロリと勝手に取れてしまい、しかも、足親指の先端から4分の1から3分の1位が、生爪が剥がれたかの様に爪下の皮膚がむき出しになってしまうというのが、退院してもずっと続いていた。

 最近では、足親指の爪が随分伸びても、ようやく勝手に剥がれる事が無くなり、それでも切らずにいたら、靴下に当たって穴を空けてしまう位に伸びてきたので、退院後としては初めて足親指の爪を爪切りで切り、今後はもう剥がれ落ちる事はないのかなと思っていた。

 ところで、2週間程前、少し旅行に出て、自分では退院後初めてでないかと思われる位、たくさん歩いた。身体の疲労もさることながら、右足親指の隣、2番目の指の爪は内出血を起こしてしまうほど負担がかかっていた様だ。この影響は、他の指爪にも起こっていたとみえ、今日、急に左の靴下の中で何かが当たると感じて、脱いでみると、靴下の中から、大きな爪のかけらが出てきた。足親指の爪の先端が取れていたのだ。

 今回は、爪の下の皮膚がむき出しになるほどではなかったので、かなり正常に近づいてきたのだとは思うのだが、勝手に爪が先端から剥がれ落ちるなんて、まるで猫の爪の様だな、と思うと、なんだか少し可笑しくなった。

2008-11-30

2008/11/17 (月) 通院記録3 肝臓のGVHDに瀉血?

 私の場合おおむねGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)の症状は免疫抑制剤(immunosuppressant)を服用している限り、軽い方で経過している様だ。その一方で、GVHDが全くと言って起こらないよりは、軽いGVHDが起こっている位の方がGVL効果(graft-versus-leukemia effect)というものが起こって、完全に治る(根治)確率が高くなるという臨床結果があるそうだ(※GVHDは本人以外の血球(造血細胞)が移植された事によって、移植された側の患者自身の体が異物と認識され攻撃される為に、患者の体に起こる症状の総称なのだが、免疫抑制剤を飲む事によってその攻撃力を弱めている。GVHD症状の軽い患者ならば、早めに免疫抑制剤を減らして(要するに軽めのGVHDが起こる程度に調整して)、移植した血球に、残存しているかもしれない白血病細胞(腫瘍細胞)もやっつけて貰って根絶してしまおうという考えがGVL効果)。先生はその効果を期待して、早く免疫抑制剤を減薬、そしてゼロにしたいと考えておられるのだが、減薬も最終段階に至って、私の肝機能(liver function)が敏感に反応してしまう(肝臓にGVHDがきつく起こってしまう)ので、現在、1日50mgからなかなか減らせないでいる。焦って減薬しても、白血病細胞(leukemia cell)よりも先に私の肝臓がやられてしまっては元も子もないから、仕方がないが、前回先生から頂いた「幸い、再発(recidivation)ではないので、いいですね」といった内容の言葉に、妙な感慨を覚えている。

 さて、今回の肝機能検査結果(GOT、GPTはまだ中程度に高いながら、全般に下げに入っている)を一緒に確認した後、不意に先生が次の様な話を始められた。

 今月、先生は色々な学会に参加されていたのだが、その中の報告の一つに、慢性GVHDで肝機能が悪化する原因に鉄が関与しているというのがあったそうだ。それならば瀉血(bloodletting)は本当に有効な方法の様に思われると先生(よく分からないが、確かこんな感じの内容だったと思う)。

 鉄関連の血液検査には、鉄(Fe)やフェリチン(ferritin)、UIBC(不飽和鉄結合能:Unsaturated Iron Binding Capacity)といった項目がある。私の肝機能検査値上昇時には時々先生がこの検査項目を追加している。肝機能値が異常に高くなった時等は、フェリチンの値も異常高値を示しており、鉄が肝臓に負担をかけているらしい事を、昨年末からの肝機能値異常高値の時に先生が説明されておられた。そしてなかなか改善しない私の肝機能値、下がらないフェリチンの値を見て、「恐らく瀉血をすれば、この値も一気に改善するのではないか」という話をされていた。要するに鉄が肝機能値異常高値の原因の一つなら、血を抜くだけで効果がある筈だというのだ。もう少し詳しく説明すると、血液の赤い色には鉄分が多量に含まれているので、体内で鉄過剰(フェリチンが高値)ならば、血を抜くのが手っ取り早く鉄分(フェリチン)の値を下げる方法だという。そして、肝臓に負担をかけている可能性のある鉄分が減るので、肝機能もより早く回復に向かうだろうという考え方だ。どれ位抜くのかというと、献血(blood donation)並みの量で十分という。

 瀉血といっても、献血同様、単に血を抜くだけなのだという話を聞いて、それならば是非抜いて下さいというと、瀉血という治療行為は、特定の病気にしかしてはいけないという決まりがあるらしく、確か、私に瀉血をすると保険適応外になるとか何とか言われたと思う。「保険適応外で高くついてもいいので、本当にこの肝機能値が改善するかどうか確かめてみたいのでして貰えませんか? それに今ならば、瀉血による変化が出るかどうか、顕著に分かる位の高い値ですよ」といってみたのだが、どううしてもダメで、治験(clinical trial)という形を取らねば出来ないとか何とか……、それでは治験でいいので、と患者である私の方が、更に食い下がって粘ってみたが、実現する事は無く、時間をかけて肝機能値改善を待つ事となったのだった。(参照:『2008/01/11(金) フェリチンの結果』)

 ところが、今回、難攻不落だったKB先生の方から「次回フェリチン(鉄)の血液検査もしてみて、高かったら瀉血をしてみますか」と言われるのである! 学会で刺激を受けられたのだろうか? 珍しく積極的である。こんな機会はめったにないので、試して確かめてみたい、という気持ちが、またもふつふつと沸き上がる。しかし私の記憶では、一番最近調べたフェリチンの値は、年始の結果と比べると、かなり下がってきていた筈だったので、一体どれ位の値でフェリチンが高いと見なすのかを訊いてみると「1,000以上……、場合によっては500以上でも高いとみる」、と言われる(この返答のされ方あたりにも、瀉血についての意欲を少し感じる)。しかし、今日の肝機能検査結果から、現在既に回復に向かっている(しかも今回は原因が分かっているので、前回程悪化する前に手を打っている)ので、果たして、次回500以上あるかどうか分からない。500以下の方が検査結果としては(当然患者の健康上は)いいのだが、せっかく先生が試してみられる気になられているのに、試す事が出来ないとしたら、それも少し残念である。

  「前回の高かった時に、試しておけば良かったのに」、というと、普段、血液の病気の患者に対しては輸血というのはあっても、血を抜くという、いわば通常の治療とは逆の行為である「瀉血」という発想は、患者さんの気持ちを考えると、なかなか難しいものがあって、ためらってしまう(それ以外の治療法を検討する)のだそうだ。今年初めの時、あれだけ先生に、抜いてみて下さい、といった私って、ちょっと変な患者?!

2008/11/17 (月) 通院記録2 今年の予防接種は見送り

 今日の病院は非常に混雑していて、午後になっても珍しい位、待合席に人が一杯いた。私は午前中に耳鼻咽頭科を受診していて、午後は主治医によるいつもの診察があった。体調はいつも通り、喉奥から出てくる白い物体は膿栓(Tonsillolith)というもので、その一部を菌検査に回された事と、嚥下異常関係なのか、甲状腺エコー検査を受診する事になったと伝える。後者に関しては、BMT(bone marrow transplantation;骨髄移植)によって、甲状腺(thyroid gland)機能低下が起こる事もあるとKB先生。へえー、ほんまにこの病気になってからなんでもありやなぁ……と心の中で感心する。口内の膿栓は無害なものらしいと分かったので、前回先生が言っておられた様に、ミコシストカプセル(Mycosyst)を再開するのかと訊くと、中止のままにするとの事。

 話はそれるが、全く自分の興味から、免疫抑制剤(immunosuppressant)の血中濃度であるシクロスポリン(cyclosporin A;CyA)の値は現在どうなのだろうか調べて欲しいとお願いしていた。退院後、免疫抑制剤が初めて25mgに減らされて以降、測定値は25未満となり、測定する必要が無くなったと言われ、以来ずっと測定していなかったが、免疫抑制剤が再々度50mgに増えたので、25以上になったのだろうかを知りたくなったからだ。去年の記録を見ると、1日50mgだった5/14から10/1迄の値は40~60位が多かった。そこまで増えているだろうかと今日の結果を見てみると、25未満であった。去年との(服用薬の)違いを考えると、ミコシストも飲んでいたか(去年)否か(現在)である。以前の先生の話によると、ミコシストは免疫抑制剤の効果を強める事があると聞いていたので、私の体内でその様な作用をしている可能性があるのかもしれないと、更に少し納得した結果であった。ただ、免疫抑制剤を再開する度に、以前とは違った新たなGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)らしき症状がおこったりしているので、本当は一概に結論を出せないのだが……(これはあくまでも自分での解釈であって、主治医の解釈ではない)。

 さて、今回の肝機能(liver function)検査値は、GOT(AST)やGPT(ALT)等が、まだ中程度に高いとはいえ、全般に減少に転じており、免疫抑制剤増量(1日25mgから25+25=50mgに増量)の効果覿面(てきめん)である。となると、私の現在の体にとって、免疫抑制剤(immunosuppressant)の量は今くらいが丁度良く、均衡を保っている事になる。減薬はもっともっとゆっくりとしていかなければならないだろうが、取り敢えずは肝機能検査値が正常に戻ってから検討していく事になると思うので、それはまだ先の話になる。

 ところで、去年は丁度免疫抑制剤を完全中止にした狭間(約2ヶ月間の間)にインフルエンザ予防接種(protective inoculation;prophylactic vaccination)を受けた(年末になって肝臓のGVHDの為に免疫抑制剤を再開した)が、今回はまた免疫抑制剤を服用していて受けられない(接種しても、免疫抑制剤の影響で、ワクチンが定着し難いという)。免疫抑制剤が1日25mgを維持した状態だったら、ワクチン(vaccine)の効き目は悪いだろうけど、受けてみたらと言われていたが、肝機能悪化の為その免疫抑制剤の量が倍に増えてしまったからだ。一方で、新型インフルエンザ爆発懸念のニュースが流れている。

 そこで、万が一インフルエンザ(influenza)に罹った時の心得を先生に訊いてみた。「インフルエンザならば、即、タミフル(Tamiflu)を飲む事(1日でも一刻でも早く)」と言われる。薬の服用は早ければ早いほど良いそうである。その場合、すぐに近くのお医者さんに診て貰えばいいという事も確認する(引っ越してしまったので、通院している病院は遠いので)。タミフルは特効薬ではあるが、色んな副作用(side effect)のニュースが流れているので不安でもある。飲まずに済む様、インフルエンザに罹らない様にこの冬は一層注意したい所である。

 次回の通院日は12月下旬になったので、欠勤延長の為の診断書を作成して貰った。延長すると決めた場合、次回通院時に作成して貰ってからの提出では間に合わないからである。前回作成して貰った時点(9月)では免疫抑制剤が25mgであったし、このままいけると自分でも思う一方で、念の為に6ヶ月延長分の診断書を書いて欲しかったのだが、先生はもう復職してもいいのではないかといわれ、3ヶ月は休職する必要がある旨の診断書を貰っていた。その時から免疫抑制剤が50mgに増えてしまい、薬で免疫力も弱めている状態(程度の差こそあれ、風邪(cold)とかインフルエンザに感染(infection)し易い状態、予防接種も受けられない状態)で、冬の気密性の高い職場へ戻る事に不安を感じている。少々の風邪くらいなら、みな出勤する職場で、かつての自分もそうであった。だが、今の自分が職場復帰したら、周囲の風邪に感染しない様に一層気を付けなければいけないだろう、或いは自分がいる事で職場の仲間に気を遣わせる事になるのではないか? 等など、どうしたら良いか未だ悩んでいる。12月の初め頃にでも、この診断書も携えて、欠勤を延長するか否か、どの様な形で復職していけば良いか等、ボスと産業医に相談しに行こうと思っている。

 診察の最後に、少し旅行に出るので、その間はまた飲酒解禁にすると先生に伝える。実は今年6月にドタキャンとなった、きょうだいで遠く離れた北の大地にあるご先祖さまの墓参りを兼ねた旅行を今週する事になっている。前回ドタキャンで、私一人が行く結果となり、大事な用事も私が代わりに済ませておいたので、次の機会は2~3年後になると思っていたのだが、今年の母の命日に3人で集まった折、改めてこの話が決まったのだった。きょうだい3人だけの旅など、人生初の出来事であるが、まさか1年に2回も北へ旅行するとは思ってもみなかった。しかし復職したら、のんびり旅行などと予定を組むのも難しくなる(休職が長い為、年休が無くなっている等など)と思うので、いい機会だと思う。そこで、せっかく行くのなら、生ものは我慢して未だ食していない(生食禁止を続けている)が、お酒くらいは気持ち良く飲みたい。先生は何故か、きょうだい3人(全員)がそろって行く事を確かめられ、気のせいか少し安堵の色を浮かべられた様に見えた。そして、いつもの様なお酒に関しての注意は特に言われなかった。もしかしたら、私の耳が、都合のいい様に調節して聞こえなかっただけかもしれないが……?!

【血液検査の結果】11/17:
WBC(白血球数) 3.8、HGB(ヘモグロビン) 12.2、PLT(血小板数) 189、
GOT(AST) 106(高)、GPT(ALT) 137(高)、γ-GTP 69(高)、LDH 247(高)、AMY 153(高)、P 4.6(高)、K 5.4(高)、CyA(シクロスポリン) 25未満

2008-11-27

2008/11/17 (月) 通院記録1 耳鼻咽頭科受診

 体調はいつも通り、こむら返り(leg cramp)や喉痛の他に、喉のイガイガと喉奥から何か白い物が出てくる(2~3日に1回位の割合)のも相変わらず。さすがに気持ち悪いので色々と調べたら、この症状と一致しそうな記事と写真を見つけた。どうやら膿栓(Tonsillolith;tonsillar crypt)というものらしい(Wikipedia『膿栓』)。俗に臭い玉・くさい玉といって、非常に臭いそうだ。私はどんなに鼻を近付けてみてもそんなに臭いとは思わなかったので、試しにまた出てきた時に指で潰してみて嗅いでみたが、確かに少し臭いにおいがした。昔ニキビが潰れた時のあのにおいに似ているかもしれない。ただ、その他色んな記事に書かれているほど強烈に臭い(悪臭がする)と感じないのだが…。

 この実際に喉の奥から白いものがどんな物かを前回の通院記録から再掲すると、『ゴマ粒大の白い塊で、食べカスでもなく、水に入れると、沈み、脂肪分でもなさそうで、余りふやけたリボロボロにほぐれたり水に溶ける事もなく、爪楊枝でつついても変形する訳でなく結構しっかりとしていて、ゆで卵の白味位の固さというのが一番イメージに近いだろうか』

 少し見苦しいが、写真を撮ったので、載せておく。順に喉奥(舌の根元位)に白い物体の頭をのぞかせている所、何度も咳をしてたくさん出てきた時の写真(拡大写真)、指に載せた状態(だいたいこれ位の大きさである)、放置していて乾燥した時の状態(拡大写真:薄茶色で、半透明になる)。

 ちなみに膿栓ならば、健康な人でも普通に持っていて、病気ではないそうだ。それにしても、入院する迄、こんな物が出てきた事もなかったので、膿栓だなんて、ある意味、テンションが下がってしまう。それに、退院前後から気になっていた、『この頃、口臭がする? 少しきつくなってきた??』というのも、もしかしたらこれが原因だったのかもしれない。(匂いに過敏になってきたというのもあるかもしれないのだが……)

 さて、午前中は前回予約して貰っていた耳鼻咽頭科を受診した。お初にお目にかかる女医さんに、喉のイガイガ感が最近少しだけ多くなってきて、時々ゴマ粒位の大きさの白い物体も出てくると説明し、デジカメ写真を見て貰うと、果たして、これは膿栓であった。口臭(halitosis;bad breath)がする様な気がするのにも関連があるという。

 喉を診て貰うと、「ああ、膿んでますね (と聞こえた??) 膿栓に間違いないですが、ご自分で無理に取ったりしないで下さいね」との事。念の為に、膿栓を一部喉奥から採取して、検査して貰う事になる。膿栓対策としては、口をこまめにすすぐとかイソジンでうがいをするのがいいらしい。喉奥から白い物が出てきて以来、なんだか気持悪いので、久々にイソジン(Isodine)のうがいを(自主的に)再開していたが、毎食後に増やす事になった。

 右頬の裏にも白い物が最近出来たというと、触診(palpation)もされ、少し硬いのでこちらは膿栓ではなさそうとの事。こちらは何なのか不明で、取り敢えず、デキサルチン軟膏(Dexaltin Ointment)を塗って様子を見る事になる。この軟膏は入院時に処方された事があるのだが、塗り方が少し面倒である。それもあり、こちらは就寝前に1日1回の塗布でいいと言われ、次回受診時の状態を見て、場合によっては細胞診(cytodiagnosis)をするかもしれないという話になった。

 嚥下異常の話もしたが、耳鼻咽頭科は初診という事もあり、先生にもすぐには原因が分からなそうであった。「私は骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を受けましたが、そのGVHDで粘膜系の障害が出る事が多いそうなので、それが関連しているかもしれないと言われてます」と話すと、興味深そうに話を聞かれ、何やらカルテに書き込まれておられた(PC入力)。

 膿栓はごく普通のものらしいが、私の主治医(血液腫瘍科)には何だかわからず、耳鼻咽頭科の先生はGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)の一般的だと思われる粘膜系の障害の話を興味深く聞かれる… 患者側からすると、お医者さんは何でも知っていると考えがちだが、案外、専門分野が違うとこういうものらしい。そう自分では分かっているつもりだが、他科を受診する時は、(この先生の診断の参考になったのかどうかは知らないが)念の為に話してみるのも必要だとは感じた。

 話はそれたが、嚥下異常の原因を調べる一つとしてなのか、先生は甲状腺が腫れていないか、首を触診されてから、念の為にエコー検査も受けてみましょうと、予約を取って下さった。甲状腺エコー検査は来月下旬の予約になったが、膿栓の検査結果は来月初めに予約している骨密度(bone density)検査の受診日にはもう出ているので、聞きに来て下さい、との事。甲状腺(thyroid gland)は首の前面中央で、男性なら、喉仏(のどぼとけ)の下あたりと書けばよいだろうか。大切な内分泌腺の一つである。どういう関連があるのか知らないが、またまた不思議な部位のエコー(echo)を受診する事になったものである。

 さて、せっかく耳鼻咽頭科を受診しているので、右耳がボーっとする(数分から数十分持続する、但し最近治まっている)事があったのだが、と話してみたら、ささっと耳の中も覗いて下さり、「綺麗な鼓膜をしてますよ」といわれた。結局、見た目での原因は分からなかったのだが、『自分は鼓膜が綺麗なんだ…』と、内心、意味もなく嬉しく感じている、相変わらず単純な自分がいた。

2008-11-14

2008/11/11 (火) 難しい見舞いの言葉

 ドラマ『白い影』が再放送されていて、久しぶりに見ている。原作は渡辺淳一の「無影燈」で、かつて母に勧められて読んだ覚えがあるが、昔の事なので、詳しい内容はあまり覚えていない。ただ、自ら医者という経歴を持つ渡辺淳一の医療を扱った小説は、非常に良く出来ているという母の言葉通り、医療を題材にした作品は、どれも面白かったという記憶はある。

 物語は、若い医師が、主人公である直江医師のやり方・考え方に反感を覚えながら、次第に直江医師の人間性に惹かれていくのだが、実は直江医師自身末期癌に侵されている事を隠して医師として患者の治療に当たっている、というストーリである。物語の伏線として、ある末期癌患者が登場するが、どれだけ病状が悪化してきても、直江医師は患者に癌(cancer)で余命幾ばくもない事を告知せず、「悪い所は全て取り除きました」といって接し続ける事に、若い医師の方は、何故本当の事を患者に教えないのかと反発しているという所があった。昔は「癌=死」というイメージが強かった。現在では癌の治癒率が高まり、癌告知はかなり多くなった様に思われるが、原作が書かれた当時は、確か、医師が患者に癌告知するか否か、深刻な問題であった時代だったと思う。そのTV版を漫然と見ていたのだが、ふと、次のセリフが耳に留まった。

 若い医師がその末期癌患者と会話を交わし、(取り敢えず)元気そうなのを確認してから、「頑張って下さいね」といって病室を去ろうとした時、患者がぽつりと「直江先生ならいつも『大丈夫ですよ』と声掛けをして下さる。」「病院の人はみんな、頑張れ頑張れというが、患者は皆、言われなくても、みな頑張っているんですよ」と言われ、その言葉に若い医師がハッとする、そんな場面であった。

 これと似た話は、時々聞く事がある。例えば、「がんばって」と言われるより、「辛いね…、苦しいんだね…」と相槌を打ちながら、話を聞いてくれた人がいて、辛さが和らぐ程とてもうれしかったという話も聞いた事がある。もちろん、十人十色という言葉がある様に、この「がんばって」という言葉を励みに闘病に励まれる人も多いだろうから、全てにおいてこの言葉を悪いと考えているのではないが、この様に「頑張って」と言われるのが辛いという話は少なくない様だ。これが別に病人に限った事ではないと知ってからは、不用意に「がんばって」という言葉を使わない事にしようと思う様になった。しかし、医者でもない私が「大丈夫ですよ」とか「大丈夫、大丈夫」等と声をかけるのも、なんだか無責任な感じもするので、状況をよく見極めた上で、その言葉を使っていいかどうか判断した方がいいかもしれない。

 晩年の母が時折「見舞いに来てくれる人の心遣いは嬉しいが…、皆が皆、『元気そう』といってくれる気持ちも分からなくないではないが…、この何とも言えない痛さ、だるさというのを本当に理解してくれる人は少ない…、時々何ともやりきれなくなる」といった内容をぼやいていた事がある。まだ癌になる前の、別の病気での自宅闘病中の事である。もちろん母はその事をわざわざ見舞いに来てくれる人にそんな事を言う気もない人で、私にも心配かけまいと、簡単に弱音を吐かない人であったが、余りに痛みが続くらしい時等に、つい、ぼやきの様に私に話す事があった。「この痛い、というのは表面(顔・表情など)から見えないから仕方がないけれど…」と。この話を聞いて、当時頭では理解していたつもりだったが、自分も病気をして以来、まだまだ理解の度合いが足りなかったなと感じる。副作用(side effect)といえばいいのかGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)と考えればいいのかよく分からない、この持続する痛み(それでも母が経験していた痛みと比べると、はるかにはるかに軽いと思われる)に悩まされる様になって初めて、今なら、もっと母の気持ちを理解してあげられただろうに、と思ってしまう。だから、『元気そう』という言葉も不用意に使わない様にした方がいいなと思っている。でも、そうなるとどんな励ましの言葉があるだろうか、なかなか難しい…。

 「頑張って」とか「元気そうで良かった」という言葉は、心底心配してくれている人が、見舞った相手の元気そうな顔を見て安堵して、心から喜んで発してくれるお見舞いの言葉なのかもしれない。私も入院中から現在に至るまで一杯かけて貰った言葉で、わざわざ見舞ってくれた事が嬉しく、ありがたく受け止めていた。ただ、どうしても嫌な言葉があった。「前向きに頑張って」とか「前向きに考えよう」という言葉だ。私を励ますつもりで発せられた言葉とは十分に分かってはいるのだが、こう言われると、なんだか自分が病気に対して後ろ向きで、治療にもちゃんと向き合っていないと言われている様な気がして、内心、耐えられなかった。日々体が不自由になる母の為にも、一日でも早く退院出来る様にと必死に励んでいるのに、それを全否定されている様に感じてしまうからだ。さすがに、一番自分の状況を理解してくれている筈の母からこれを言われた時ばかりは、つい毒づいてしまった事がある。母をいたわるどころか悲しませてしまった事が今でも悔やまれる。もしかすると、思いもかけない病になってしまった娘の事を、絶対に治ると母自身“前向きに前向きに…”と言い聞かせながら日々お祈りしてくれていて、それが言葉になって出たのかもしれない…。

 その一方で、今や「元気?」「大丈夫?」等と聞かれる立場になった自分はというと、その心配してくれている心遣いに対して、いつも感謝の言葉を返し、要らぬ心配を掛けない様にしている。ちょっと話はそれるが、関西には便利な言葉があり、例えば「儲かってまっか(もうけている・かせいでいる)?」と訊かれたら「ぼちぼちですわ」というのがある。この「ぼちぼちです」のイントネーション(発音や言い方)次第で、『儲かっている』と『かなり苦しい状況(儲かっていない)』の両方を表現出来る。なので、かなり近しい人から「元気にしてる?」等と聞かれた時は、よく「ぼちぼちやってます」(私の場合、「ぼちぼち無事に暮らしています」という意味合いを込めている)と返事する事も多い。

  未だ、誰かを見舞う時等、どの様な言葉を掛けたらよいか、悩ましい所であるが、直江先生が言った「大丈夫ですよ」という言葉、何とも心に響く思いがした。

2008-11-11

2008/11/07 (金) Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績

 今日、成人ALL(acute lymphocytic leukemia;急性リンパ性白血病)におけるHyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績という記事を見つけた。これは私が入院中に受けたのと同じ名前の治療法である。この記事を見るまで、私はHyper CVADという治療法を受けているとずっと書いてきたが、正式には『Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法』を受けてきたと書き直した方が良いかなと思った。

 入院当初の説明では、化学療法(chemotherapy)は計8回あり、それが終わったら、移植(transplantation)を考えた方が良いと言われていたが、全く同じ化学療法を8回受けるのではなく、実際は最初に【Hyper CVAD療法】を受け(1クールという)、それを終了すると次(2回目)は【High-dose MTX-Ara-C】という別の薬剤を扱った化学療法を受ける(1クール)。ここまでで1セット(即ち、合わせて2クール)である。この繰り返しで計4セットこなすと、合計8回の化学療法を終える事になるのだ。それは理解していた。

 この化学療法名は使われている主な薬剤の頭文字を使っている様で、詳しく書くと、Hyper-CVAD (hyperfractionated cyclophosphamide, vincristine, Adriamycin, and dexamethazone) / high dose MTX-Ara-C (high dose methotrexate and cytarabine)と、とにかく長い。確かに前半は「ハイパー・シー・ヴァッドを行ないます」と聞いた覚えはあるが、後者に関しては「メソトレキセート・アラ・シー」等という言葉ではなく、「二つ目の化学療法をします」としか聞いた覚えがない。その為、この化学療法の名称が「Hyper C-VAD」なのだと勘違いしていたのかもしれない。

 ちなみに私の場合は、化学療法最終段階(丁度、末期癌が発見された母の入院やごだごだ等が急に起こった時期にあたるのだが)で、それまで順調に経過していた私がひどい肺炎(pneumonia)を起こしてしまった為、先生は私に8回目にあたる最後の化学療法【High-dose MTX-Ara-C】を受けさせる事を断念され、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を急がれたという経緯がある。

 さて、今回見つけた記事は、自治医科大学医学部紀要で、ここで成人のALL患者(*)に実施された、Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績である。この抄録は2005年末に発表されており、その治療成績は2000年から50ヶ月分(4年2ヶ月)の統計であるが、無病生存率42%、全生存率(**)85%と良好であったという。発表時点で、いわゆる5年無病生存率迄は出ていないが、これを発表した病院で以前実施されていた治療法での長期生存率(多分、5年全生存率と思われる)が35-40%というから、それに比べると非常に効果のある治療法に思われる。この治療法は、寛解期の早い時期に、移植可能な患者には移植する事を前提としている様なので、その上での成績でもあると考えられるかもしれない。
*一般に、成人ALLと小児ALLとは区別して考えられている様だ。自分はいつも不思議に思っているのだが、同じALLでも、その治癒率は成人と小児との間に大きな開きがある。そして治療法も異なると主治医から聞いた事があるので、ここでの治療成績は、成人のものであって、子供のALLの場合とは別物と考えた方が良いと思われる。
**全生存率というのは、恐らく無病生存者と、治療後、何がしかの病気を発病したとか、具合の悪い人とかも全て含んだ、要するにその時点で治療後生きている全ての人の割合を指しているのだと思う(もしかしたら再発してもとにかく生存している人も含んでいるかもしれない)。


 私が治療を受けた病院もこの同じ治療法を導入しており、入院当初、4年迄の成績しか出ていないと先生から言われていた記憶がある。自分が入院したのは2006年3月なので、主治医から受けた説明とこの結果はほぼ同じの様な気がする。その当時私は、比較的新しく開発された治療法の一つなのだと理解していた。そして、血縁でHLA(骨髄の型;組織適合抗原:Human Leucocyte Antigen)の一致する人がおれば、移植する方向で治療にあたるともいわれていた点も、この抄録の治療方針と一致している様に思われる。

 参考までに、入院中主治医から訊いた話なのだが、日本の病院では、成人ALLの患者にこのHyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法を採用するグループと、JALSGというグループでの治療法を採用する病院の2つに大別されるらしい(もちろん、他の治療法もあるそうだが)。Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法は、外国で開発された治療法、JALSGは日本のグループが研究開発した治療法、との事である。

 私はこの2つの治療成績を比較するつもりはない。どの病院もきっと、これがベストと思われる治療を行なってくれていると思うからだ。特に初発の急性白血病の場合、大抵は緊急入院、即、治療開始となる事が多いと思う。すると、自然と入院した病院が採用している治療法になる流れとなるから、治療法選択の時間が無いと考えてもいいのではないだろうか? それに、病名宣告を受けたとしても、先ずはどんな病気なのかを知るのに手一杯で、どの治療法がいいか、等と悠長に調べている時間はないだろう。それが可能な人は最初の治療開始前に、初めから自分の納得いく治療を実施している病院へアクセスするがベストだと思う。

 治療成績も気になる所だろうが、緊急を要し、かつ長期にわたる治療となる病気なので、多分この状況で大事なのは、入院した病院の先生を如何に信頼出来るか、という事の方が大きいかもしれない。既に治療が開始されたが、どうも病院や先生に信頼が置けないと思ったならば、取り敢えず外出許可が出る位の状態になったら、転院する方向を考えてもいいかもしれない。しかし、一旦開始された化学療法を途中で変えるのでは無く、同じ化学療法を行なっている病院を探して移った方がいいのではないかと思う。というのは、運悪く、早期に再発(recidivation)してしまった場合、同じ薬剤を使った化学療法では白血病細胞(leukemia cell)をやっつける効果が余り期待出来ない為、他の化学療法を選択する事になると、かつて先生から言われた事があるからだ(寛解後5年位経過した後の再発ならば、再度同じ化学療法も検討の余地があるらしいが)。つまり、再発の場合、その薬剤耐性の白血病細胞であると考えられるので、違う薬剤を使った治療を検討する事になるらしい。だから、もし治療途中で転院し化学療法も別なものに変えてしまったのなら、万が一にでも早期再発した場合の、次なる治療法の選択肢が少なくなってしまうのではないかと思うからである(詳しい事は主治医にご相談下さい)。それに、自分に合っている治療法が何なのかなんて、比較する事等出来ない。それより、先生と病院を如何に信頼出来るかの方が、人間本来がもつ治癒力を高められそうな分、いい様な気がする。

 話がそれてしまったが、この化学療法の治療成績が出ている抄録が掲載されたアドレスを、参考資料として、最後に記載しておく。

 奇しくも明日は移植後丸2年、入院から起算すると2年7カ月以上が経過した事になる。幸い、再発せずに無事経過している。運もあるかもしれないが、この治療法は私にはよく合っていたのかもしれない。最後まで心配してくれていた母にも、心の中で、「無事ですよー」と感謝の祈りを捧げる一日である。

参考:『当科における成人ALLに対する地固め療法としてのHyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績 (Consolidation therapy of adult acute lymphoblastic leukemia with Hyper-CVAD / high dose MTX-Ara-C)

2008-11-06

2008/10/27 (月) 通院記録 肝機能値上昇止まる

 体調はいつも通り、のど痛や、首・腰・手足指関節痛(arthralgia)、だるい・しんどい等など。。。今回は脚のつりの他に、ひどいこむら返り(twist、leg cramp)が頻繁に起こり、これは起こるとかなり辛い。背腹と首(うなじ)に出来たGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)と思われる発疹(exanthema;eruption)・痒みは10月20日頃より治まっている。ムカムカや嚥下異常はしばしば、また以前も書いたが、喉の奥に何か引っ掛かった感じも相変わらずで、口をすすぐ時等に何か出る感じも続いており、一度、実際にそれが何かを見てみたら、食べカスではなかった。その後、何度か口をすすいでいて“何か出てきた”と感じる度に、指に取ってみると、やはり同じ様な白いものであった。一体何なんだろう…? これに関しては、先生にこれが何なのか教えて貰う資料として、デジカメに撮っておいた。

 そして早速、今日の診察で、のどに何か引っ掛かった感じが続いているが、実際に喉の奥から白いものが(複数回)出てきたという話をし、あらかじめ撮っておいた写真を先生に見て貰った。この白いものは、ゴマ粒大の白い塊で、食べカスでもなく、水に入れると、沈み、脂肪分でもなさそうで、余りふやけたリボロボロにほぐれたり水に溶ける事もなく、爪楊枝でつついても変形する訳でなく結構しっかりとしていて、ゆで卵の白味位の固さというのが一番イメージに近いだろうか。

 そんな私の説明を訊きながらデジカメ写真を見た先生も、「何でしょう?」と分からない様子。免疫力が低下した時等に起こると聞いた口内に出来るカビと言われるかもしれないと思っていたのだが、違うらしい。こんなものは出来ない様だ。「これは耳鼻咽頭科を受診して貰いましょうか」と先生。今日はもう受診出来ないとの事で、次回の診察日に合わせて、予約を取って貰った。

 さて、問題の肝機能(liver function)検査値であるが、GOT(AST)はやや下がり、GPT(ALT)は(少し上がったが)上昇の勢いが緩やかになっていた。アミラーゼ(AMY)等、微妙に上昇したのもあるが……。GVHDによる肝機能異常と考え10月6日にネオーラルを50mg/日に増量した効果が現われたという所である。先生も「今回、早めに免疫抑制剤(immunosuppressant)のネオーラル(Neoral)を再開したのが効いたみたいですね」と言われつつ、少し戻り具合が悪いと考えておられるのだろうか(それとも、ネオーラルが現在の50mg/日という量ならミコシストも飲んでいる方がいいのだろうか)、「う~ん……、薬減らすどころか増えてしまいますが、ミコシストも再開してみましょうか……」と言われる。私は「良く分からないですが、のどの白いものがなんなのか分かるまで、ちょっと…」、つまりミコシスト(Mycosyst)再開で、白いものが消えてしまっちゃうんじゃないか、そうなると結局何だったのか分からなくなるのではないかと暗に言ってみると、先生も了解して「耳鼻咽頭科の結果を待ちましょうか」という事になった。

 次回は3週間先だが、それ位ならミコシスト無しでも今の私の状態なら大丈夫だろうと、自分の中では考えている。

【血液検査の結果】10/27:
WBC(白血球数) 4.0、HGB(ヘモグロビン) 11.7、PLT(血小板数) 204、
GOT(AST) 126(高)、GPT(ALT) 166(高)、γ-GTP 80(高)、LDH 253(高)、AMY 165(高)、P 4.6(高)、

2008-10-20

2008/10/20 (月) Google地図に新機能

 2ヶ月程前にGoogle地図について書いた(2008/08/21 (木) Google 地図) が、その2、3週間後に検索でアクセスしたら、また何やら新機能が追加されていた。“ストリートビュー”という機能だ。

 Google地図画面の右上に追加されたこのタグを『なんだろう?』と思ってクリックしてみたら、地図上に人型マークが出て、全ての道ではないが、青色で道が縁取られた。『およよっ…?!』と思い、今度は人型マークをクリックしてみたら、なんと、そこに立っているような状態での写真が出てきた。

 その画面内の「全画面表示」ボタンで写真を少し大きくしてから(左半分にある検索結果と写真との境にある『<<』マークをクリックすると、更に大きな写真になる)、ビュー画面左にある、左に(又は右に)曲がった矢印をクリックすると、その場で向きが変わった。まるで自分がその場でちょっと首を動かしてみた感じである。面白くなって、次々クリックしてとうとう一回転。画面の写真内路上にある矢印をクリックすると、まるで数歩、歩いたかの如く場所移動。そこでまた一回転してみる…。

 それならばと、一旦ストリートビューの画面を閉じて、自分のかつての家はと思い、ダメもとで入力して航空写真で見てみたら、前回は既に無くなってしまっていた自分の家が写っているではないか! 

 涙が出る位、嬉しかった。まだ自分はそこにいた時の写真らしく、駐車場に車も写っていた。家のベランダに写る植物の影から想像するに、秋頃…、恐らく引っ越し目前頃であろう。いつ映像が更新されるかわからないので、すぐにその画像を保存した。

 更に淡い期待を抱いて、ストリートビューをクリックしてみたが、こちらに私の家はもはや無く、その敷地内に1軒建築中の写真が写っていた。航空写真とストリートビューとでは撮影時期に差がある様だ。残念ではあったが、せっかくなので、くるりと一回りしてみた。少し移動してまた一回りしてみた。慣れ親しんだ風景だ。こうして色々といじっているうちに、更に面白い事に気付いた。「ストリートビュー」内の画面でドラッグすると、回転はもとより、自分の目を足元に向けたり、上に向けたりする感じで、アスファルトの路面から、真上の空まで見上げる事が出来るのである。この時、ふと、ある記憶が蘇った。

 こちらへ引っ越して、今年に入ったまだ寒い冬の頃だったと思う。久しぶりに近くへ買い物に出た帰り、自分の住むビルの前に一台の軽自動車位の小さな車が止まっていた。中には2、3人乗っていたと思う。駐車自体は別段不思議でもない事なのだが、その車の屋根のど真ん中には一本の非常に長いアンテナが突き立っていたのである。その車には不釣り合いな位、長かったので、嫌でも目についてしまった。もう記憶があやふやであるが、近付くにつれ、アンテナの根元付近には何やら球体の様な(?)ものがくっついているのが見えた(と思う)。そしてその車の脇をすり抜ける時、車のボディー(扉)に『Google』のロゴがペイントされていたのだ。思わず立ち止まって、まじまじと眺めてしまったが、その時は、『Google地図はこうやって衛星と交信して正確な地図を作っているのかなぁ~??』『あの球体はもしかしてカメラで、“Googleアース”みたいな画像を作っているかな?』と思っていたのだが、やっとその変なアンテナの謎が解けた気がした。きっとこの車で、ちょっと進んでは画像撮影、またちょっと進んでは写真撮影を繰り返して、このストリートビューが出来たのだろう。早速、今住んでいるビルにもアクセスしてみたら、通りを歩く人々はみな冬服であった。もしかしたら自分も写り込んでいるかも、とビル周囲を移動したり、くるくる回転したりして探してみたが、写ってはいなかった。

 ストリートビュー表示中は、地図内に道が青色表示されているが、青色になった道の範囲内なら、このストリートビューが出来る様である。道路全部が網羅されている訳ではない様だ。また、車での撮影の為か、公道からの映像のみで、例えば大学構内とか寺院内等、敷地内までは入り込んでいない。てっとり早く見ている近辺を移動しようと思うのなら、ストリートビュー内の路面に見える矢印をクリックするより、人型マークを目的地にドラッグする方が良いだろう。元のGoogle地図に戻るには、もう一度ストリートビューというタグをクリックして、道路に沿って表示されている青色の線を消すといい。

 外国でもこのストリートビューのある地域と、まだない地域がある様だ。【エッフェル塔】ではビューがあるので、真下から見上げてみる事が出来るが、【ストーンヘンジ】だと、ストリートビューの替わりに“渋滞状況”というタグがあった。世界中くまなく、この車を走らせるわけにもいかないだろうし、走らせるとしても、多大な労力と時間がかかるだろう。でも、初めて行く場所の予備知識には便利かもしれない。地図以外にあらかじめ、付近の映像を頭に入れておく事が出来るからである。

 ミニ観光も出来そうだ。例えば観光名所の京都を見てみると、撮影時期は桜の季節であった。春や秋の観光シーズンにはどこもかしこも週末となると大渋滞して大変な所だが、例えば「京都国立近代美術館展示案内」と入力してみる。左に出てくる候補の中で「京都市国立近代美術館展示案内」をクリックしてからストリートビューにすると、仁王門通りから近代美術館を見る事が出来る。ストリートビューの画面も最大化にすると見ごたえがある。仁王門通りを東(画面右)へ移動するたびに、右手に見える朱色の鳥居が大きくなって見えてくる。この鳥居を真正面にして、今度は北へ向かってみる(神宮道を北へ)。橋の上(横断歩道付近、北上した直後)で左右を見ると疏水沿いの桜見物が出来る。京都は疏水沿い、河川沿いはたいてい桜が植わっている。元に戻って、朱の大鳥居をくぐり、ひたすら突き当たりまで北上すると、平安神宮正面である。丁度、そぞろ歩いている気分である。次にこれも観光名所の「嵐山渡月橋」と入力してみると、橋の上に来る。そこからぐるりと見回す事も、そのまま(例えば南へ)橋を渡ってみる事も出来る。桜はまだ満開前で寒そうだが、なんとまあ、観光客の多い事……。

  ちょっと使い勝手が悪く、使い慣れる迄に、画面移動等だけで、船酔いしそうに気分が悪くなってしまったが、何もダウンロードしなくても、誰にでも使える。それに、これだったら人混みの多い所でも、その場にいる気分で、ちょっと覗いてみる事が出来る。感染注意の時季にも、外出気分が少しだけ楽しめるかもしれない。また、出不精な自分には、案外合っているかもしれないツールだ。

2008-10-19

2008/10/19 (日) 団十郎氏 退院のニュース

 市川團十郎氏が、この10月14日頃、退院された様だ。今年7月に、氏の入院について本ブログでも少し触れたが、退院のニュースには気が付かなかった。報道されたのだろうか? 

 今ちょっと調べてみたが、『成田屋通信』というのに、本人からファンへの簡単な退院報告が出ていた。無事妹さんからの骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を受け、順調に経過し、退院された模様だ。

 ここしばらく、ちまたでは前代未聞といえる、株価超乱高下のニュース等が続き、殆んど取り上げられなかったのかもしれない。何やら、もう月末には復帰される気配? もしそうならば、なんと強靭な体力と精神力の持ち主なのかと、感服せざるを得ない。どうぞご無理だけはなされずに、と祈りたい。

  歌舞伎ファンというわけではないが、無事ご退院、おめでたいニュースである。

※関連記事:『2008/07/ 04 (金) 市川團十郎氏、再入院のニュース

2008-10-18

2008/10/18 (土) 白血病(leukemia)の新しい治療法開発記事

 先日、長姉から、白血病(leukemia)の新しい治療法が開発されているらしい、とメールを貰った。参照ページを見ると、骨髄性白血病や骨髄異形成症候群(MDS:myelodysplastic syndrome、DMPS:dysmyelopoietic syndrome)での予後不良因子である「Evi-1(転写因子)」の活性を抑え、化学療法(chemotherapy)を併用すると、より生存率(survival rate)を延長させる事が出来る可能性があるというものであった。

 ところで、自分は急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)である。入院当初「骨髄性の顔も少し持っている」と、にわか患者にとって理解不能な事を先生から言われたが、検査の結果、それは不良因子ではなかったと教えて貰えている。結局どっちなのかと聞くと「骨髄性の顔をちょっと持ったリンパ性(lymphocytic)であるが、リンパ性白血病と考えて下さい」とややこしい事を言われた覚えがある。そして、治療法は、リンパ性白血病の治療法が採られる事になった。その後、骨髄性(myelogenous)とリンパ性(lymphocytic)では治療法が異なる事、同じ白血病でも、成人の骨髄性とリンパ性との間で生存率に大きな差がある事、また、同じリンパ性白血病でも、子供が罹病した場合、成人よりもはるかに治癒率が高い事も知った。

 折角姉が、参考になると思って教えてくれた記事ではあるが、今の自分には関係ないなぁ~っと、ちょっと残念であった。しかし、自分も発病当初、自分の病気を知る為に、随分とあちこちにアクセスして調べた記憶がある。今回、骨髄異形成症候群という、聞きなれない病名が出てきたが、この病気は、治療の難しい貧血(anemia)で、白血病へ移行しやすく、骨髄造血細胞の異形成性がみられる疾患の総称だそうだ。この病気や骨髄性白血病の人が、偶然このブログを訪れた場合を考えて、この記事を紹介しておこうと思い直し、この文章を書く事にした。

  紹介して貰った記事は、「薬事日報」というページの『難治性白血病治療に光明-「Evi‐1」を標的に白血病幹細胞の増殖制御へ』という所にある。何かの参考になれば幸いである。

2008-10-17

2008/10/16 (木) 血液と骨髄液の違い

 血液(blood)と骨髄液(bone marrow aspirate)、これはどちらも赤い血の色をしているが、どう違うのだろうか?

 厳密的にどう違うのか、その定義は知らないが、感覚的に言うのなら、体中をめぐっているのが血液で、骨の中にある血が骨髄液と言えるかと思う。

 血液は、血液検査(blood test)でおなじみの赤血球(RBC:red blood cell)と白血球(WBC;white blood cell)、血小板(PLT:platelet)と、液状の血漿(blood plasma)で成り立っている。献血(blood donation)等で腕から採られる血液の事を末梢血(peripheral blood)という事もある。ちなみに、血漿はけがをした時に、血を凝固させて出血を止める役割をしている事で良く知られているが、タンパク質(protein)や脂質(lipid)、糖質(sugar)、各種ミネラル(mineral)で構成されていて、養分(nutriment)や老廃物(waste)の運搬役や、免疫機能(immunity;immunization)も持っている。

 一方で、骨髄液は骨の中にある部分と言おうか、鶏の骨等をポキンと割った時に、骨内部に見える赤い血の色をした部分を指し、そこで体中に流れている血液のもと(白血球・赤血球等)を作り出す「血液製造工場」になっている。つまり骨髄液には血液を作る能力のある、造血幹細胞(幹細胞(かんさいぼう:stem cell)というものが一杯あり、成熟した(完成した)血球が骨の内部から血管へ旅立って行く、というイメージが出来るのではないだろうか? 末梢血にもこの幹細胞は含まれているが、絶対的量が少ないのに対し、骨髄液中には大量に存在し、生まれたばかりの血球や、成熟してまさに体中に旅立とうとしている血球までが全部一緒になって存在していると考えられると思う。

 骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)やマルク(Mark:骨髄穿刺;bone marrow puncture)では、骨に針を突き刺し、その骨の内部にある骨髄液を採取して、移植、或いは検査をするという事になる。

 余談だが、入院当初、良く困惑した名前(医学用語)の一つに、骨髄液と脊髄液というのがある。どちらにも“髄液”という同じ言葉が入っている為、耳から説明や言葉を聞いていても、どちらがどっちだったかと、頭の中では混乱していたものだった。後者の脊髄液とは脳脊髄液(cerebrospinal fluid;CSF;liquor cerebrospinalis)とも呼び、ルンバール (Lumbar:腰椎穿刺)の時に採取される液の事である。この脳脊髄液は健康ならば無色透明の液体で、脳や背骨の中を通っている神経を、外部の衝撃から守る役目をしており、背骨や頭蓋骨の隙間に満たされている液と表現出来ると思う。ルンバールや脳脊髄液については『ルンバール(Lumbal)はどこに刺すのか』で詳しく書いたので、それを参照して頂きたい。

 ところで、昨夜、偶然NHK教育で『10minBOX』というものを見た。テーマは“理科2”の「血液の探求~血液の成り立ち」だった。

 このNHK教育の『10minBOX』というのは、中学・高校での学習に活用する為の番組らしい。たまに見ているが、どのテーマも、10分と短い時間の中で、簡潔にわかり易く解説されており、非常に良く出来ている。今回は血液がテーマと分かり、興味津々で見入った。

 入院して初めて、血小板という成分輸血を経験したのだが、輸血(blood transfusion)と言えば血の色、赤いとばかり思っていたのに、黄色(血漿の色)で少し驚いた記憶がある。落ち着いて考えれば、血小板も血漿も血液成分なのだから、輸血という表現は的確で全然不思議ではないのだが、“血は赤い”という先入観が錯覚を起こさせた。実際、採血した血をしばらく静置しておくと、赤血球等は下に、血漿成分(黄色く透明)は上に分離するのは知っていたので、成分献血の際は、比重の違い等を利用して、多分遠心分離で、血小板をより分けているのだろうと理解していた。

 番組では、献血の話から始まり、どうやって血液成分を分離採集しているかという、今迄あやふやだった自分の知識の所も、詳しく説明されており、更に、血球の誕生の様子や、血液を作るもとになる細胞、即ち幹細胞の説明、と続き、最後は白血病等の、血液の病気の話から骨髄バンクの話にまで触れて、終わっていた。

 文章で書く(説明する)と長くなってしまう内容も(それゆえ、難しく感じたり、読むのが嫌になってしまう内容も)、映像付きなので、非常に分かりやすい。見て正解だった。早速、再放送はいつあるのか、或いは次回放送内容は何かをネットで調べてみたら、「血液の探求」というテーマでこれから5回放送される事が分かった。自分は、偶然その血液シリーズの初回を見た様である。

 NHKのHPでは、『10minBOX』をビデオクリップという形で、パソコン画面で、テレビと全く同じ内容を再生して見る事が出来ると分かった。血液の事で何か知りたいとか、興味あるという人は、右の(→)「第11回 血液の探求~血液のなりたち」をクリックすれば、直接ビデオクリップへアクセス出来る。中学・高校の教材用と侮るなかれ、である。

2008-10-15

2008/10/12 (日) 今度は首が…

 背腹の発疹は治まってきたが、最近、首が痒く、発疹(exanthema;eruption)も増えてきた。首と言っても全体ではなく、うなじの方であるが、丁度、膏薬(plaster)を貼り続けている部分と同じだったので、慢性のGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)か膏薬かぶれなのか、判断しかねている部分である。

  体温が上がった時は比較的痒み(itch, pruritus)も増す様な気もするが、今日はずっと痒い。例のステロイド(steroid)入り軟膏(ointment)を塗ってもいいのかどうか、思案する所である。

2008-10-14

2008/10/06 (月) 血球数について

 通院で毎回血液検査(blood test)をして、その結果を見て診察を受けている。まれに他の検査を受ける事もあるが、例えば尿検査等は退院後1回のみである。まあ、血液の病気になったのだから、ある意味、血液検査結果が全てであるという所がある。

 さて、色々ある検査項目の中で、一番基本的なものの中に、血球数というのがある。WBC(white blood cell;白血球)とか、PLT(platelet:血小板)とかいうものであるが、その中のWBCは、入院前はもう少しあった様に思うのだが、なかなかそこまでにならない。今調べてみたら、2004年7月の健康診断(medical examination)で5,500個、2005年7月4,700個である。退院以降の値はこれ位の時もあるが、3,500前後の時が多い様な気がする。

 私の場合、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を受けたので、もしかしたら、血球数の分布もドナー(donor:提供者)の血球数比率に依存している(ドナーと同じ比率になる)のだろうかと思い、先生に訊いてみた。

 答えは、血球数については、私の場合、まだ治療経過観察中で、色んな薬も服用しているのも影響があると考え、ドナーの血球数とは無関係と考えるらしい。血球数等は、検査を受けた当人の生活や健康状態に左右され、例えばたばこを吸っている人はWBCが増加する傾向があり、アルコールを良く飲む人は赤血球(RBC:red blood cell)が大きくなる事があるのだとか…(しっかりメモしていなかったから自信がないが、こう聞いたと思う)。

 先生は更に、私のドナーである姉は、「非常に白血球数が多くて、骨髄液もたくさん採れましたね」という話をされた。そういえば、姉のWBCは基準値の上限の9,000位あったと聞いた様な記憶がよみがえる。そうなると、確かに現在の私の白血球数と全然違っている。そして同時に、あの移植(transplantation)時に、先生がとても嬉しそうに「お姉さんの骨髄、すごくたくさん採れましたよ」と言って、骨髄液(bone marrow aspirate)が入ったバックを持ってきたのを思い出してしまった。ドナーが女性の場合、男性の場合と違って、余りたくさんの骨髄液が採れない事もあるらしいが、骨髄移植の場合、移植される骨髄液は多い方が良い(※あくまでも私の場合の事で、全てに当てはまるかどうかは知らない)らしく、小柄な女性である姉から、果たしてどれだけ採れるか、先生方はそれも心配されておられた様だった。
※WBCが多いと骨髄液も多くなるのかどうかは知らないので、今度訊いてみなければならないが……

 姉はヘビースモーカーである。入院前は私もかなり喫煙していた。しかし発病前の私のWBC数は、姉と比べると特に多いわけではなかった。喫煙でWBCが増加するとかいう話にも、きっと個人差があるのだろう。先生から訊いた話は、あくまでも参考事項として、頭の片隅にとどめるとして、血球数の動きはホスト(宿主)、要するに私の体の、現在の状況を表わしていると考えたら、多分、よいのだろうと思う。

 病気になって、ほんまに人体の不思議を感じる事が多い。

2008-10-13

2008/10/06 (月) 通院記録 ネオーラル(Neoral)増量

 この2週間の体調は、だるい、頸や関節が痛い等、ほぼいつもと同じだが、きついこむら返り(twist、leg cramp)が起こる頻度が多かった(涙…)。背腹に現われた、恐らくGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)と思われる発疹(exanthema;eruption)に伴なう痒み(itch , pruritus)には、ネリゾナ軟膏(Nerisona ointment)がとても良く効き、3~4日に1回塗るだけで済んでおり、大部分で治りかけている感じである。

 さて、前回から2週間が経った。肝機能(liver function)検査値が昨年末みたいに急上昇する傾向が見られた為、いつもの様に4週間後では心配と言われ、通院が今日になったのだ。で、結果はと言うと、残念ながら上昇は止まっていなかった(軽度から中等度の高値になった)。時系列でグラフにしてみると、明らかに逆凸型の放物線(U字型)を描いて上昇しており、昨年末同様、倍増倍増の勢いで急上昇し始めた事は決定的であった。

 昨年末の肝機能検査値異常が始まった時は、原因を探るべく、痛み止め(painkiller, anodyne)を中止してみたり、服用し始めたばかりの骨粗鬆症(osteoporosis)予防薬のフォサマック(Fosamac)を中止してみたりと、肝臓に負担がかけていそうな原因を調べるのに色々時間がかかった。しかし今回は免疫抑制剤(immunosuppressant)を減薬した結果、肝臓に起こったGVHDにほぼ間違いない事が分かっている(しかも今回は同じくGVHDと思われる皮膚発疹も起こった)ので、免疫抑制剤であるネオーラル(Neoral)の量を増やす事になった。

 この病院で処方されているネオーラルカプセルの一番小さいものは、25mgしかないので、また1日50mgになってしまう。これは昨年末に急遽再開したレベルである。遡って手帳を見ると、退院後初めて50mgにまで減薬されたのが去年の5月頃であった事も考えると、私の中では、非常に治療の後戻り感が強い。

 そこで、50mgに戻すのをなんとか避けたいという思いから、ネオーラルは25mgのままにして、ネオーラルの効果を強める事があるという、7月に止めたミコシストカプセル(Mycosyst)をまた再開して、ネオーラル効果を強めるのに期待する事が出来ないかと先生に訊いてみる… ダメらしい …、では、ネオーラルの効果を強めてしまうらしいグレープフルーツを毎日食べてみるとかはどうですか、と訊いてみる(※ネオーラル服用注意事項に、グレープフルーツ等、食べてはいけない食物があり、その理由が、薬効を強める可能性がある為であるという)… これも確実性が無い(血中濃度の管理が難しい)為なのか、先生はなるほどとは言われるが、不採用。ならばと、液状のネオーラルを併用してもいいので、計50mgより少ない状態で調整出来ないだろうかと先生に提案してみたが、この上昇を止めるには、少々薬の(有効)濃度を上げても効果が出難いので、50mgまで一旦戻して、先ず肝機能値を正常にした方がいいとの事。こう言われると、もう観念するしかない。私の肝臓を守る為だ。焦っても仕方がない。ちなみに、久しぶりに検査した鉄(Fe)やUIBC(不飽和鉄結合能:Unsaturated Iron Binding Capacity)、フェリチン(ferritin)の結果も、少しだけだが、前回より悪化しており、肝炎(hepatitis)の悪化を示唆していた。

 先生は、免疫抑制剤の量を増やすので、色々と感染症(infection)に気を付けて下さいと言われる。インフルエンザ(influenza)の予防接種(protective inoculation)は、免疫抑制剤の増量で、当然見送りになってしまったので、風邪(cold)等の感染症にはより注意しなければならないが、今回はカビ(molds;Fungi)関係の感染にもより注意をしなければならない事になる。何故ならば、今までと違って、今回はカビ感染予防に服用していたミコシストを中止したままだからだ。でも、カビってどこにでも存在するし、今ひとつ、どうやって感染予防をしたらいいのか、イメージが湧かないものである。今迄感染してこなかったのだから、今後もカビに感染しません様に、と楽観的に考えるのが一番かなと思ってみる事にする。

 今迄の経緯をみると、私の体では、免疫抑制剤のネオーラルの量が、50mgでは安定しているが25mgに減らすと、てきめん肝臓にGVHDが出る様だ。そこで先生が言うには、肝機能値が落ち着いてきたら、少し面倒でしょうが、1日置きに薬の量を25mg、翌日は50mg、と繰り返す減量というのを試してみましょう、という事になった。

 どうやら私には25mgの壁がある様だ。

【血液検査の結果】10/06:
WBC(白血球数) 3.5、HGB(ヘモグロビン) 11.4、PLT(血小板数) 184、
GOT(AST) 131(高)、GPT(ALT) 161(高)、γ-GTP 56(高)、LDH 269(高)、
Fe 187(高い)、UIBC 76(低い)、フェリチン 580.7(高い)

2008-10-08

2008/10/04 (土) ガンの5年生存率について

 昨日ニュースで聞いて初めて知ったのだが、『全がん協加盟施設の生存率協同調査』というものがあるらしい。これは「全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)」というものに加入している病院間で、一定の条件に達した症例について出した、各種癌の生存率(survival rate)だそうだ。

 早速調べてみたが、自分に関係する血液関係の癌(cancer)については、症例数が足りないのか(要するに、この協会が設定している数とか条件に達していないのだと思われるが)、掲載されていなかった。

 折角アクセスしたので、他の癌についてざっと見てみると、初期や早期に発見された生殖器系等の癌は比較的(かなり)治癒率(5年生存率)が高そうに感じた。その反面、膵臓癌は非常にというか、極端に低い事が見て取れた。

 ずっと昔に、母から「膵臓癌は触診でも見つけ難く、見つかった時は、既に手遅れである事が多く、覚悟せねばならない癌の一つだ」と教えて貰った事があった。そしてその後、実際に、私も知人の中で、3人も膵臓癌で亡くなられている(告知から5年は残念ながらもたなかった)。

 解剖模式図を見ると、膵臓は、胃(stomach)のすぐ後に続く十二指腸(duodenum)(腹の右側)に囲まれる様に膵頭という、膵臓(pancreas)の頭部(head)があって、体の左側にある脾臓(spleen)あたりに膵尾となって終わっているが、体の中心を通る、太い静脈(vein)や動脈(artery)の上を横たわる様にある。その大部分は胃や腸の裏側(奥の方)に位置するみたいだ。その為、肝臓等は一番内臓の外側にあるので触診(palpation)しても触り易いが、膵臓は肝臓(hepar、liver)や胃等の奥にあるので、触診では発見し難く、また沈黙の臓器と言われるだけあって、癌に侵されてもなかなか症状が出難いという点で、発見が遅れ、命を落としてしまう人が多いと聞かされたのを覚えている。そんな話を聞いている為、血液検査結果で膵臓の異常を知らせる指標になっているアミラーゼ(amylase:AMY)の値が徐々に高くなってきているのに、先生が何も指摘されなかったので、気になって、「この値は大丈夫ですか」とこちらから一度訊いた事があった位だ。※この時は、先生は検査を追加して下さり、結果、大丈夫だろうという事になっている。

 話を戻すが、現在は、母から話を聞いた時より抗癌治療も進んでいるとは思われるが、5年生存率の表を見ていると、それでもかなり低いのを見ると、未だに難しい癌なのだという事が分かる。

 今回公表された表に関しては、登録している病院ごとの結果も出ているそうだが、ニュースでも、またこのHP内でも言っているが、「治癒率=病院の良し悪し」、と単純に結びつけない様に、と注意を促している。全国の病院数から比べると、登録病院数はごく僅かであるが、公表された結果は、一般的な傾向の一つとして十分参考になると思うので、以上の点を良く踏まえた上で、みたい人はアクセスするといいと思う。【全がん協部位別臨床病気別5年相対生存率(1997-2000年:初回入院治療症例)

2008-10-04

☆ネリゾナ(Nerisona)軟膏について

 ネリゾナは外用の合成副腎皮質ホルモン(adrenocortical hormone、コルチコイド:corticoid)剤で、劇薬・指定医薬品である。

 同種の軟膏で販売名の違う3種があるようだ。 
先ず、『ネリゾナ軟膏(Nerisona ointment)』は、白色から帯黄白色の軟膏。
次に『ネリゾナユニバーサルクリーム(Nerisona universal cream)』は、白色から帯黄白色のクリーム状の軟膏。私がかつて処方されていて、家に残っていたのはこれである。
最後は『ネリゾナクリーム(Nerisona cream)』は、白色のクリーム。
いずれも1g中に吉草酸ジフルコルトロンが1mg含まれている。

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 私に処方された当時の覚書は以下の通り。
「湿疹、皮膚炎(日光による皮膚炎を含む)、痒疹等に、1日1回から3回塗布する。
※ 注意事項としては、大量使用で副腎皮質ステロイド(adrenocortico steroid)様症状が現われる。」

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 薬についている説明書には、次の様に書いてある様だ。

【効果・効能について】
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎を含む)、乾癬、掌蹠膿疱症、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)、紅皮症、慢性円板状エリテマトーデス、アミロイド苔癬、へん平紅色苔癬

 その他、重大な副作用には、目蓋の皮膚に使用すると、眼圧亢進や緑内障が起こる事が、また、長期にわたる使用や広範囲に使用する時に、後のう白内障や緑内障等が起こる事があるらしい。重大な副作用はもちろんだが、何か副作用・異常が認められた場合、すぐに使用を中止した方が良いと考えておいた方がいいと思う。これはネリゾナに限らず、ステロイド入りの軟膏ならば同様に考えて、長期使用等はいずれにせよ避けた方がいいと考えて使った方がいいと思われる。

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 最後に、この薬に添付されている書類(ネットで仕入れた情報)に書かれている警告、禁忌等の所を一部転記する。

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【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
(次の患者には使用しないこと)
(1) 皮膚結核、梅毒性皮膚疾患、単純疱疹、水痘、帯状疱疹、種痘疹の患者[症状を悪化させることがある]
(2) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
(3) 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎の患者[鼓膜の自然修復を阻害するおそれがある]
(4) 潰瘍(べ一チェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷の患者[上皮形成の阻害が起こる可能性がある]
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以上。

・ブログ内の参考ページ:『2008/10/03 (金) 発疹とネリゾナ軟膏

【備考】
・ 販売開始年月:1980年12月(クリームは1894年6月)。
・ 製造販売元:インテンディス株式会社。Made in Italy

2008-10-03

2008/10/03 (金) 発疹とネリゾナ軟膏

 通院日の9/22の診察で、慢性(chronic)のGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)と思われる皮膚発疹(exanthema;eruption)の痒みに良いと言われたネリゾナ軟膏(Nerisona cream)は、自宅にあったので、K都に泊まった月曜日から自宅へ戻る火曜日夜迄は痒さをじっとこらえていた。帰宅後一番にした事は、勿論ネリゾナ軟膏を探し出し、背腹の痒い所に塗る事だった。但し、首の後ろの発疹は未だに湿布を貼っている為のかぶれかGVHDなのか、判断しきれていないので、塗らない様にしているが。

 入院中の骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)後に現われた急性(acute)のGVHDと思われる皮膚発疹やかゆみでは、塗っても効いた感じはしなく、余りの痒さに、塗り薬以外に、確か、かゆみ止めのお薬か何かを点滴して貰っていたと思う。その為、軟膏(ointment)には正直あんまりその効果を期待はしていなかったのだが、今回の発疹にはよく効いた様だ。翌日から薬を塗らなくても痒く無くなったのである。

 その為しばらく軟膏を塗らずに過ごしていたが、9/29頃から再度痒くなってきた。発疹部分も背腹で少し増えている様である。最初はウエストラインの上の背腹に局在されていたが、ウエストラインより下の背腹にも広がり、背中の上部や脇腹、太ももにもポチっと、ひとつふたつ、それらしき発疹が出現しているが、へそやその周りには新たに出てきた発疹が少し多めで痒く、そこにはしっかりネリゾナを塗っている。痒みは、間もなく治まり、このまま1日は痒くないので、ネリゾナ軟膏は1~2日に一回程度、痒くなったら塗っている。

 移植直後に起こったGVHDによる発疹は顔には出なかった。今回のも、幸い、顔には出ていないのでほっとしている。そして、最初に現われた発疹部分は、回復傾向にある。しかし、まだゆっくりではあるが、広がりそうな気配もあるので、どうか顔には出ないで欲しいと、祈っている。顔に出てしまうと、きっと気分も滅入ってしまって、精神衛生上も、よろしくないのではないかと思うからだ。

  それにしても、発疹は急性GVHDと慢性GVHDとでは、発疹の痒みの度合いも薬の効き具合も随分違うらしい。

※ネリゾナ軟膏等、ステロイド入り軟膏を皮膚に塗布する場合、症状が治まれば塗布を止め、長期的に漫然と塗り続ける事は避ける様にされたい。不必要に大量に塗布したり、長期塗布により、深刻な副作用を招く事があるので、勝手な自己判断で塗ったりせず、必ず主治医に相談の上、使用する様にして欲しいお薬である。

2008-10-02

2008/09/22 (月) 久々の飲み屋

 この日は診察日だった。実は先月からこの日は、このままK都に泊まって、飲み屋に行こうと決めていた。

 飲酒に関しては春先に、時々自主解禁する事に決め、先生にもそう宣言していた。それでも検査に響いてはいけないと思い、診察日から3~4日は缶ビールを楽しんで、次の通院日まで禁酒をしている。なので、最近では、次の通院日が、ある意味、楽しみで待ち遠しくなっている。しかし、再度(再々度か?) 肝機能(liver function)の悪化の兆候が出始めたので、ビールは通院日の1日ないし2日位に減らしていた。先月は更に悪くなる気配がみられ、これ以上悪くなる様なら、またしばらくの間、飲めなくなるな(飲まない方がいいな)と思ってはいる。その一方で、一晩飲み歩きをしてみたいとずっと思っていたので、これ以上肝機能が悪くなる前にと、今回実行に移したのだ。

 退院後「飲める様になったら、どこか飲みに行きましょう」とずっと誘ってくれていた友人がいる。底なしの酒のみである。その人に先月メールをして、飲み歩きに付き合って貰う事にした。時々自主解禁して飲酒している事も、私の現在の状態等も伝えてあり、それを承知の上で飲みに行きたい旨を伝えていた。そして宿まで予約して通院に来ていたのだが、今回こんなに上がるとは思わなかった(昨年末に比べると上昇具合はまだ緩やかではあるが……)。肝臓の為を考えるのなら、先月の診察日に合わせて飲みに行く計画を立てた方がまだしも良かったのかもしれないが、こんな勢いで数値が上がると思っていなかった。

 診察後、先生には、今日は飲みに行く事にしていると報告したが、GOTもGPTも100前後なので、当然困ると言われる。そう言われるのは自分でも分かるのだが、検査値が倍増するとは想定外だった。「前回の時点で、次は良くなるか或いは(先月の状態で)現状維持する事に期待して、先月から飲みに行く約束をし、もう宿も予約して来ている」、と先生に伝えた。先生は「う~ん……」と小さく唸っておられたが、特に何も言われなかった(相変わらず不良患者ですみません)。

 さて、18時過ぎからK都の街へ繰り出し、かつて母やそのメンバーと飲みに行った事のある懐かしいビアホール、あるフィギュアスケート選手に似たマスターのいる立ち飲み屋、現代作曲家でロックギタリストでもある人の名の付いた怪しの居酒屋等を梯子(はしご)し、久々に楽しかった。梯子したと言っても、好きなだけ飲むのは自粛し、殆んどビールだけにして、強いお酒は飲まない様にしたが、6月の北海道一人旅の折、一人で飲んだビールよりもずっとおいしく感じた。ビールを一杯飲んでは次の酒場へというのが、とにかく楽しかった。

 昔はよく母と飲みに行ったものである(父もたまに連れて行ってくれる事があったが…)。今は亡き母は大酒のみであり、私がまだ未成年の頃から、色んな飲み屋に連れて行ってくれた。母の仲間達と宴会を開く事もあったが、皆よく食べ飲んだ。私は残念ながら母の様な大酒のみの“鉄の肝臓”を受け継がなかった様だが、母と飲むとか、皆で豪快に飲んで楽しむ、そんな飲み会が大好きであった。もちろん、家で一人酒も好きである(毎日好きなだけ飲んでいた)。

 私の主治医の方針では、「免疫抑制剤服用中は飲まない様に」で、私の場合は、退院後半年位で免疫抑制剤(immunosuppressant)の服用も終了するのではないかと考えておられた。私もその日を待ち望んでいた。そして、退院後に会う人の多くに「もう飲める様になった?」と聞かれるので、心置きなく飲める様になったら(つまりお薬から解放されたら)、いよいよ復帰時期かなと考えていた。しかし、減薬すると肝臓にGVHDと思われる反応が繰り返し起こるので、なかなか免疫抑制剤と“さよなら”する事が出来ないのが現状だ。
※今現在の心境としては、なかなか免疫抑制剤から解放されそうにもないので、今の最低量(25mg)で検査値が落ち着いてきたら、免疫抑制剤を飲みながらでも職場復帰出来たらよいかな、とも考える様になってきている。

 お医者さんによっては免疫抑制剤を服用していても飲酒は大丈夫という先生がおられる(但し飲み過ぎなければとの事だが)ので、せめて、「余り飲まない様に」と、方針を変更してくれないかと思うのだが、主治医から、はっきりとお許しが出ない。許可が出ないので、いくら(時々)自主解禁にしたとはいえ、心底おいしく飲む、という気分には至らない。それでも、たまに飲むビールはおいしく、とてもいい気分転換になる。

  今宵はよい酒であった。次の通院日も家で缶ビールを飲みたいものだ。その為にも、「次回の検査では、今度こそ、持ちこたえてくれよ、我が肝臓君!」と自分で肝臓を叱咤激励している。

2008-10-01

2008/09/22 (月) 通院記録 皮膚科受診、新たなるGVHD?

 この1ヶ月の体調は、相変わらずで、今回も嚥下(deglutition)時の違和感は時々ながら続いており、喉の奥に何か引っ掛かった感じがする事もある。後者に関しては、本当に何か残っている様で、口をすすぐ時に、のどの奥から何か小さな食べカスの様なものが出る事が何回かあった(一体喉の、どこに滞在しているのやら…)。先月(08/25(月))と違う所は、右耳がボーとする事が殆んど無くなった所だと思うが、代わりにと言ってはなんだが、9月5日頃から背腹に発疹(exanthema;eruption)が出てきて、これが痒いのだ(前回のブログでその詳細を記載)。発疹に伴なう発熱(pyrexia、fever)は無いのだが、とにかく痒くて困っている。今朝は背中に関しては少しマシな気もするのだが、腹の方の発疹がかなり赤く痒い。

 さて、診察の順番が来て開口一番、「背腹に発疹が出て痒いです」と先生に訴えた。先生は「だるさとかは?」と訊かれるので、相変わらずだるいが、今は痒さの方が勝っていると答え、背中とおなかの発疹を見て貰った。先生は、虫刺されではなさそうだが、これは先ず皮膚科を受診して貰いましょうと、今から受診出来ないかを調べて下さり、久々に皮膚科を受診する運びとなった。

 皮膚科受診は退院間際の時以来である。一階上の診察室前で半時ほど待ったが、診て下さった皮膚科担当の先生は、以前診て貰った先生とは違う先生だった。虫刺されではないかという私の質問( → ダニだと言われたらいい気はしないが、GVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)と言われるはより何となく退院後の経過としてはいいのでは、という心理が自分の中で働いているのかもしれない…)に対し、この先生もそうではなさそうとの返事。1週間程前に写したデジカメ画像を見て貰うと、背中に関しては少し治りかけかもしれないとの事。ならばやはりGVHDなのですかと訊くと、「はっきりした診断が必要ならば、生検(biopsy)が必要となります」とさらりと言われる。

 実は退院前に一度、GVHDかどうか判断する為に皮膚生検を受けた事がある。その時の心境は、同じ病気で闘っている人のデータの一つにでもなれば幸いという思いが第一にあった。生検は1mm角位の大きさ(実際はもう少し大きいかも)で発疹部分の皮膚を真皮層まで深く切り取り、切除部分を1~2針縫うものであったのだが、数日後に出た検査結果(採取された皮膚を組織学的手順で切片にしたものを染色し、顕微的な細胞形態から判断する)では‘よく分からない’、つまりGVHDかどうか断定出来ないというものだった。しかも、これは一般検査扱いというか、病院でのデータにもGVHDのデータにもならない(たとえGVHDと診断されていたとしても、何のデータにもならない)と後に知り、ガックリしたと言うか、がっかりした記憶がある。

 かつて大学での実験で、マウスの組織等から顕微切片(切片の厚さは数ミクロン単位:※1,000ミクロン(1,000マイクロ)=1mmである)を作製し顕微鏡で観察するという事をした経験があるので、1mm角の組織片から作製出来る切片を、もし端から端まで全部見るとした場合、膨大な切片数になり、非常に時間と手間がかかると知っている。また、こういった病院での検査では多くの患者さんの色々な検体(sample;specimen)を検査しなければならないと容易に想像出来るので、調べるとしても組織片の一部分のみを切片にし、そのうちの数切片を見て結果を出していると思われる(あくまでも推測であるが)。ランダムに作製されると思われるその切片内に上手く発疹部分が入っていれば診断もしやすいだろうが、当時強烈に発疹が密集して出ていた訳ではなく、確か、発疹の痒みも峠を越した頃だったと思うので、切片にしたところに、発疹部分がきれいに出ていなかったかもしれない。

 そういうもろもろの経験から、生検してもGVHDと確定出来るかどうかは(今回の発疹具合から考えても)、ある意味、運次第という気がするし、たとえそうだと分かったからと言って、処方等に大きな変化がある訳でもない事も、今では承知だ。だから生検を受けるつもりは私にはない(※生検しなければ治療のしようが無いというのならば話は別だが…)。そこで皮膚科の先生は、「GVHDの診断が必要な場合は、また受診して下さい。」と言われ、マイザー軟膏(0.05%、5g入り)( MYSER Ointment)を処方された。これはステロイド(steroid)入りだそうだ。私は「名前は違いますが、入院時に処方された軟膏が今もあるので、それを塗っても良いですか」と訊いてみると、過去私に処方された薬のデータから、マイザー軟膏の代わりに使えるのが『ネリゾナ軟膏(Nerisona cream)』である事を、PC画面で検索して下さった。これもステロイド入りなのでどれ位の間隔で塗ればよいか(もう随分前の事で忘れてしまった)を訊いてみると、痒ければ塗る、1日2回位というのを目安にと、さらりと教えて貰い、皮膚科での診察は終了した。

 さて、主治医のKB先生の所へ戻り、診察の続きとなる。皮膚科へ行く前に先生から手渡されていた今日の血液検査結果の紙を、皮膚科の待ち時間に見ていたのだが、肝機能(liver function)検査値のGOTとGPTが前回よりも悪く、値も倍増していた。先生は皮膚科の先生の所見とこの肝機能の結果を見ると、やはり免疫抑制剤(immunosuppressant)のネオーラル(Neoral) を減量した為に現われたGVHDと考えられるが、さて、どうすれば良いかと悩まれる。どうやら、ネオーラルを現在の1日25mgから50mgに戻すかどうかを検討されておられる様子だった。

 せっかく減らす方向に向かったのに、また50mgに倍増するのは、なんとかならないかと思い(この病院では、一番小さいネオーラルカプセルは25mgしかなく、それより少量を処方するとなると、液状のものになると以前聞いている)、10mgのカプセル(capsule)がある筈なので、何とかこの病院でも採用する様に働きかけてくれないかと再度お願いしてみるが、なんだか無理の様である。先生は「1日おきに飲むという風にしますか…」とつぶやく様に言われる。多分、1日1錠の25mgカプセルは続けて、その量を少し増やす意味で、もう1錠(25mg)を1日おきに併用するという意味で言われたのだと思われる。以前私が、10mgカプセルが無い(25mgしかない)のなら、減薬する最終段階では25mgカプセルを1日おきに、次の段階では2日おきに飲むとかして、徐々に減らせないかと質問した事があった。「その時先生は、1日おきでは血中濃度が安定しないのでちゃんとした効果があるかどうか、疑わしいといった様な話をされましたよね?」と私。しかし今回GOTとGPTが倍増で3桁台になったので、この感じだと、また急上昇してしまうかもしれないと先生は心配されておられる。

 先生の言われている事は分かるのだが、ようやく6月にネオーラルが25mgと半量に減薬され、もうそろそろ復職へ向けてと、欠勤の為の診断書も12月末までにしたというのに、1日50mgに戻されるのは、私には逆戻り感がかなりある。せめて25mg+10mg(即ち35mg)とか40mgとかにして、以前の50mgよりは減らした状態で、肝臓をGVHDから守りつつ、かつ減量もしていけないかと思うのである。

 そこで、手帳を繰りながら、前回からミコシスト(Mycosyst)が服用終了となったが、と先生に言ってみるが、再開される気配はない。更に手帳を繰って、7月初めにウルソ(Urso)が休薬となったが、と言ってみると「ウルソを止めてましたね。じゃあ、今回はウルソを再開して様子をみますか」とKB先生。ウルソ錠は肝臓を守る為の薬として1日3回各2錠処方されていたお薬だ。先生は、しばらくフェリチン(ferritin)の検査をしていないから、また調べてみましょうかと言いながら、次回の血液検査内容の注文をPC画面で入れておられる(注文という表現は変な感じがするが。この言葉を良く聞くので、検査部に血液検査等の予約・及びその検査内容を入れる事を「注文を入れる」という様な言い方をするのだと思われる)。
※フェリチンの検査は、例えば肝炎になると細胞破壊によりフェリチンが異常に放出されるので、肝機能検査としても用いられている。

 『よし、これでもうひと月、持ちこたえてくれよ』と思っていると、今度は2週間後に来て下さい、と先生。この調子で肝機能値が上げ止まらなかった場合を考えると、ひと月後の診察ではちょっと不安である、との事。もし次回も肝機能が更に悪化していたならば、きっと免疫抑制剤の増量となるのだろうなと心の中で考えていると、「でも再発はしていないから良いですね」という声が聞こえた。余りに唐突だったので、何の事かさっぱり理解出来ず、「えっ?」と訊き直してしまった。

 GVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)は、移植片(Graft:私の場合、骨髄移植を受けたので、ドナーが提供してくれた骨髄液由来の血球が移植片)、対(Versus)、宿主(Host;ホスト:即ち私の体)、病(GVHDのDはDiseaseのDだから、病気・疾患と訳せる)の略である。ドナー(donor:提供者)の骨髄(bone marrow)由来の血球が、ドナーとは別人の体の中に移植(transplantation)されているので、ホストである私の体を異物だと認識して攻撃する為に起こる症状の事で、移植による後遺症(適切な表現ではないかもしれないが)と考えてみると、まだイメージをつかみやすいかもしれない。今回の発疹も、その一つと考えられる。そして、私の場合、相変わらず、免疫抑制剤を減らすと肝臓にこのGVHDが顕著に現われるみたいである。だから当然、再発(recidivation)ではない。免疫抑制剤をなかなか減らせないで足踏みしているが、再発ではないので、良かったですね、という感じで言われたのだろう。

 再発するのかしないのかは神のみぞ知るところであるが、目下この痒いのを何とかしてという思いが自分の中の重要事項だった為が、ピンとこなかったのかもしれない。ある意味、それほど順調に回復している、という所かもしれない。

 さて、予約のついでに、もうそろそろ一年近くなるのでと、骨密度の再検査のお願いもする。この検査は昨年12月に受けたのだが、他科(即ちこの血液腫瘍内科)からの依頼だと、すぐに予約が取れないと去年聞いていたからなのだが、丁度1年になる12月初めに予約が取れた。骨粗鬆症(osteoporosis)予防薬を飲み始め、カルシウム(Ca)補給には、主にミルクを毎日採る様にしているが、増えているかどうか、気になる所である。

【血液検査の結果】9/22:
WBC(白血球数) 3.6、HGB(ヘモグロビン) 11.1、PLT(血小板数) 174、
GOT(AST) 92(高)、GPT(ALT) 102(高)、γ-GTP 41(高)、LDH 233、AMY 139(高)、
Ig-A 67.5(低い)、Ig-G 1267(基準値)、Ig-M 70.9(基準値)

【現在の処方薬】9/22:
ネオーラル1カプセル(25mg)/日、ビクロックス1錠(200mg)/日、バクトラミン1錠/日、ウルソ錠2錠×3回/日、ロキソニン2錠/日、フォサマック錠(35mg)/週、マグミット錠(25mg)適宜(※私は2錠/日で服用している)、芍薬甘草湯適宜(※最近はよくこむら返りを起こすので、1日1袋服用している)、ネリゾナ軟膏適宜、この他に、膏薬をほぼ毎日首に貼っている。

2008-09-22

2008/09/21 (日) かゆい!

 明日は通院日なのだが、ここ1カ月近く、背中とおなかに小さく赤い発疹(exanthema;eruption)が出て、痒い!

 最初に気付いたのは9月5日頃で、なんだか痒いと思って触った背中(ウエストラインの上側あたり)に発疹が出ていた。慌てて洗面所の鏡で一所懸命背中を見ようとしたが、よく見えない。湿疹なのだろうか、それともミコシストカプセル(Mycosyst)を止めた影響なのだろうか? もしそうなら、何かの感染症(infection)? それともダニの類の虫刺されなのだろうか? 

 真夏も峠を過ぎたのに汗疹(あせも)が今頃出たと考え難いし、ダニ等の虫刺されなら手首足首にもぶつぶつが出て良さそうなのに、背中なのである。またダニとかに咬まれたのなら、ぶつぶつの一つ一つに虫の咬んだ、2つの小さな穴が見えると聞いた事があるが、背中なので、自分で見て確かめられない。翌日には腹のウエストラインより上で左側にぽつぽつと発疹があるのにも気付き、それ以降、日々発疹(と痒み)が増加している状態である。

 昨日の時点で、背中の痒みは少し治まってきた様にも感じるが、腹側の方はウエストライン右上や下腹の方にも広がっていて痒い。薬を減らして薬の副作用(side effect)が出るというのも何となく変に感じるのだが、減薬が原因でGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)の一つの発疹が出ているのだろうか(去年年末の減薬時には出なかったのに…)? さっぱりわからない……

 主治医に電話をかけたら、通院日が早まってK都へ行かなければならなくなる可能性があるが、最近のガソリン高騰で気が重い。また、偶然なのだが、発疹に気付く直前の3日間、(たまには解熱(pyretolysis)作用もあるロキソニン(Loxonin)を止めて確認しようと思っていた)ロキソニンを我慢して平熱である事を確かめていたので、相当程度ひどくならない限りは痒みを我慢して待ってみようと、手持ちの軟膏(ointment)も何も塗らずに様子を見る事にした。

 次の通院日(明日:9月22日)迄にこの発疹が消失してしまったら、先生に質問も出来ないと思い、背中に手を回して自分でデジカメ写真を撮ってみたりもしたが、こういうものは見ない方がいいと少し後悔したのも事実である。『いやぁ~、こんなにぶちぶちが出来ている!!』と、却って痒さが増してしまったからである。 【写真上は9/10、写真下は9/14撮影分の背中の発疹。明らかに増えている。】

 引っ掻くのも極力我慢していたが、こう長引くとさすがに痒くて堪らなくなって、風呂の時等ついついナイロンタオルでごしごしとこすってしまっているので、一部小さなかさぶたになってきている。首のあたりも痒くなってきているのだが、こちらは膏薬(plaster)かぶれかもしれない。関係ないかもしれないが、昨日あたりから、左耳あたりも痒くなっている。

 自己流(自己解釈)で勝手に薬を塗ったりはしないで我慢していたが、痒いというのはなかなか厄介なものである。明日、先生に一番訊きたい内容はこの発疹である。見て貰って何なのか、ダニの歯形は無いのか、はたまたGVHDなのか確かめて貰って、何がしか、かゆみ止めのお薬が欲しいと思っている。

2008-09-16

2008/09/ 16(火) 爪 その結末

 6月20日の記録に、ぶつけた覚えもないのに爪が変色していると書いたが、7月3日に、どうやら内出血だった様だと一応結論していた。

 さて、それがどうなったかというと、シャワーでふやけてしまったのか、剥がれかけていた(8月10日)。指の爪をドアとかに詰めたりひどい血豆を作ると、生爪が剥がれるという話を聞いた事があるので、うわっ、爪が剥がれたの?! と驚いてよく見てみると、爪が剥がれたというよりは、一枚剥がれた様な感じで、浮いた爪の下にはちゃんと薄い小さめの爪があった。足の爪は成長が遅いので、下の爪の長さからすると多分、爪の変色(恐らくどこかにぶつけたのが原因)後に新しく出来たものではないと思っているのだが。

 写真は(ちょっとお見苦しいが)8月10日のもので、剥がれかけて浮いてしまった爪を、手の親指で少し持ち上げて、下にある爪を良く見える様に写している。これだけ剥がれかけているのに、爪は根元にしっかりくっついていたので、2、3日はそのまま無理に剥がさず、寝る時も布団とかに引っ掛からない様に気を付けて、そろりと靴下を履いて過ごした。結局、いつの間にかポロリと剥がれ落ち、無事終了と相成った。

 更にこの後日談として、長く湯船に入った後で、もう一度爪を見ると、この薄い爪がふやけてしまったのか、横波と凹凸が出来てビックリ! その形にかなり悩んでしまったが、それから一月、変な凹凸は少し残ったものの、根元から半分位はしっかりとした爪になってきているので、一応これで、今度こそ一件落着かと考えている。

2008-09-01

2008/09/01(月) 薬のラベルについて

 薬のラベルと言っても、このブログ内の薬のラベルについての事である。同じ薬でも、他のページに違った関連事項を書いている時があるので、参照して貰えればと思う。

 各ブログ右サイド(ちょっと下の方)にある“ラベル”という項目がある。その中から【薬】をクリックすると、また別の薬の事や、その時期に得ていた情報等を書いた項目が出てくるので、気になるラベルをクリックしてみて下さい。
・【「生亜紫路」の薬のラベル
又は
・【「生亜紫路2006」の薬のラベル

2008-08-31

補足:IVHカテーテルとCVカテーテルの違い

 先日、『IVHカテーテル(CVカテーテル)挿入法について』(「生亜紫路」版)、『IVHカテーテル(CVカテーテル)挿入法について』(「生亜紫路2006」版)について書いたが、その補足事項を以下にまとめておく。

 中心静脈に挿入するカテーテルについて調べると、IVHとCVという2つの言葉がよく出てくると思う。この2つは違うものなのだろうか、それとも同じ事なのだろうか? 入院当初は私もよく分からなかった。

 IVHとは医学用語のintravenous hyperalimentationの略で、訳すと、「中心静脈高カロリー輸液(法)」となる。一方で、CVとはcentral venousの略で、「中心静脈」と訳す事が出来る。ちなみに central venous nutritionとするとこちらも、「中心静脈高カロリー輸液(法)」という意味になる。

 このintravenous hyperalimentation(IVH)、或いはcentral venous nutrition(CV高カロリー輸液法)の意味は、口から栄養がしっかりと採れなくなった患者さんに、心臓近くの大静脈(主として上大静脈)内にカテーテル(管:catheter)を挿入して、直接栄養になる液を血中に点滴で体内に入れる方法の事で、非経口栄養の一つである(非経口栄養には、この他に鼻孔等から管を直接胃・小腸等へ挿入する方法もある)。その為、中心静脈へ挿入するカテーテルの事を、IVHカテーテルとかCVカテーテルと呼んでいる。ちなみに、hyperalimentationには「(点滴等による)過栄養」という意味、nutritionには「栄養物摂取、食物、(栄養作用)」等の意味がある。

 IVHには、上記の様な意味がある為、私の様に、抗癌剤(anti-tumor agent)を点滴する為に挿入されたカテーテルの事を指すのならば、IVHとか、IVHカテーテルと表現するのではなく、CVカテーテルと表現するべきで、その方がより正確だと書いたページを読んだ記憶もある。それを考慮するのなら、「H」を抜いて「IV」とすれば同じ様な気がする所だが、「IV」だけならば「intravenous」の略になってしまうから、単に「静脈(内)の」とか「静脈注射の」という意味になり、静脈ならどこでもいい感じになり、ここで言う「CV」(central venous:中心静脈)の意味合いが無くなってしまう。

 では、この中心静脈に直接栄養液や抗癌剤を点滴するというのには、どういう意味があるのかというと、色々辞書を読んでみて考えるに、次の様になる。まず、中心静脈とは心臓から一番近くて太い静脈で、上大静脈(superior vena cava)や下大静脈(inferior vena cava)を指している様だ。上大静脈は上半身をめぐる静脈の最終合流地点で、CVカテーテル挿入候補の内頚静脈(内頸静脈:internal jugular vein)も鎖骨下静脈(subclavian vein)も、腕の色んな場所にある静脈も、合流しながら、最後にはこの一本の太い上大静脈に合流して、心臓(右心房)に流れ込む。下大静脈は下半身からの静脈の最終合流地点と考えれば良いかと思うが、脚の色んな静脈や大腿静脈(femoral vein;venae femoralis)も、最後にはこの一本の太い下大静脈に合流して、これも心臓(右心房)に流れ込む様になっている。つまり、これら中心静脈の部分では、体中からの、大量の静脈血が流れ込んでいる事になる。

 臨時的に、腕とかの末梢静脈に針を刺した状態(カテーテル挿入ではない)で、点滴を行なう事もあるが、特に抗癌剤等は成分がきついので、点滴部位の血管壁にも負担がかかるそうである(末梢静脈だから、当然血管自体も細い)。そこで長期的に行なう場合は、心臓近くの中心静脈までカテーテルを挿入して、そこに直接点滴液が到達する様にする。そうすると、そこでは血量が多い為、静脈血によって点滴液が即、大量希釈されるので、血管に負担をかける事なく、持続的に点滴が可能となる様だ。それに心臓なのだから全身にも効率よく、栄養剤や薬剤が巡りそうな気もする。

 ここまで書いてきて思ったのだが、いくら大量希釈されるとはいえ、この静脈血は右心房(right atrium)→右心室(right ventricle)を経て、最初に肺(lung)に行く。そこで酸素を貰って鮮血の動脈血になり、左心房(left atrium)→左心室(left ventricle)から上行大動脈(ascending aorta)へ送られ、全身に流れる事になるので、抗癌剤なら、なんだか、肺に負担がかかりそうな気もするのだが、どうなのだろうか?

 さて、病院内で、先生やナース、患者間で、どの表現をしていたかを思い出すと、やはり人それぞれの、ごちゃ混ぜで、IVHと言う人もいれば、CVと言う人もおり、それらが同じ事を指しているという事に慣れる迄は、やはり「何かまた新しい言葉が出てきた」とか「違うものに変えるのだろうか」とか考えてしまい、理解する迄に(ある意味、安心する迄に)かなり混乱した覚えがある。

 結論を言うと、厳密に使い分けている所(病院や医師)もあるかもしれないが、IVHとCV、或いはIVHカテーテルとCVカテーテル等といった言い方は、同じ意味で使われている事が多いと考えていいのではないかと思う。

2008-08-29

2008/08/27 (水) 卵巣組織保存について

 未婚女性の癌患者にも卵子(egg;ovum)保存の道が開かれた事については、以前「生亜紫路2006」の『2006-03-27(月) 卵子保存について』という所で少し書いた。これに関係する内容であるが、今日、卵巣組織凍結保存・移植(transplantation)によって、妊娠が可能といった内容のNHKニュースが流れた気がした。丁度TVの電源を入れた時に、ちょっとだけ耳に聞こえたので、詳しい内容はよく分からなかったが、気になったので、インターネットで調べてみた。

 このニュースのおおもとは、卵巣組織凍結保存・移植によって、抗癌剤(anti-tumor agent)の治療後に閉経(menopause)してしまった女性の出産(birth)に、ベルギーの研究者らが成功したという2004年の研究だと思われる。ベルギーの研究者らの報告は、だいたい以下の様な内容である。

 きつい抗癌剤による化学療法(chemotherapy)や放射線(radiation)治療等を受けた女性の癌患者は、早期閉経と不妊(sterility)にみまわれる可能性が非常に高い。これの治療法として、癌患者が治療(化学療法)にはいる前に、卵巣(ovary)の組織片を採取凍結保存したという。癌治療後にその女性患者はやはり閉経してしまったが、その同じ患者の卵巣に、凍結保存していた卵巣組織を採取6年後に移植した結果、女性は間もなく月経(menstruation;menses)・排卵(ovulation)が再開し、11ヶ月後に妊娠(pregnancy)も確認され、無事出産したという。

 今日のNHKニュースでは、日本とアメリカとの共同研究らしい。臨床結果は、そこまでの成果ではなさそうである(患者から採取した組織片を他の人に移植している点)が、卵巣組織保存の技術は出来てきた様に読み取れる。

 急性の血液疾患等では、即時治療開始を迫られ、卵子保存にしても、最初の治療後、なるべく早い時期に、という。いくら早期に卵子採取が可能になったとしても、色々な壁があると思う。卵巣組織採取なら、卵子採取より更に確実に採取・保存が可能の様な気がする(よく知らないが)。入院時に、血が止まり難い等の症状がある人は、すぐの採取は難しいかもしれないが、卵子保存で悩んでいる女性患者にとっては、希望が増えたニュースではないだろうか? まだまだ研究途上という気がするが、もし卵子保存をするのなら、その時に卵巣組織も、卵子が無理でも卵巣組織だけでも凍結保存しておきたいと、自分なら考える。現在の日本なら、取り敢えずでも高い技術で冷凍保存さえしておけば、治療が終了する頃には更に卵巣移植技術や成績もアップしているのではないだろうかと思うからだ。採取する組織片はベルギーの論文では12-15mm×5mmの組織片5個だそうだ。今ならもっと小さくても可能かもしれないし、開腹しなくても(小さな切開で)取り出す方法があるのではないかと思う。治療によって閉経・不妊になってしまう可能性が高い以上は、(現時点では)残しておかない限り、あとで悔やんでも卵巣の移植治療のしようがない。

 原論文のタイトルは「Livebirth after orthotopic transplantation of cryopreserved ovarian tissue」(Lancet誌、2004年の論文)だそうなので、読める環境におられる方は、こちらもご参照下さい。

2008-08-27

2008/08/25 (月) 通院記録 更に微妙に…

 ここ数日、急に暑さがおさまり、昨日は肌寒い位であったが、今日は通院日である。血液検査の値は、4月頃にほぼ正常値になって以降、順調に経緯しており、6月の初めに免疫抑制剤(immunosuppressant)のネオーラル(Neoral)を1日1錠(25mg)に減薬されていた。ところが前回(4週間前)、微妙に肝機能検査値が上昇しており、減薬の影響かどうか、様子を見る事になっていた。

 さて、前回通院日から今回迄の体調は、例によって、ほぼいつもと同じである。頸、指、のど、腰の痛みは毎日で、頸が特に辛く、膏薬(plaster)を貼る日が多い。痛み止めを増やして貰えないので我慢しているが、膏薬は貼らないよりは、やはり貼った方が良く効くらしく、随分楽になるので、最近膏薬を再開し、良く貼っている。余りに貼り続けると、皮膚がかぶれてしまいそうなので、そこが悩みどころであるが。。。その他は、膝、肘、時に腕関節も痛み、全身筋肉痛(myalgia)の様な時もある。これらはだいたい朝一番が一番きつく、徐々に慣れてくるといった感じである。

 だるい・しんどいといった疲れやすい(易労感)のも毎日の如くで、これはほぼ一日中続くので、なかなか厄介である。

 脚の攣りやこむら返り(twist、leg cramp)は、頻繁に起こるが、殆んど起床時のみの事が多い。時にきつく起こる事があるが、通院日の最中に起こると、高速での運転が非常に心配になるので、処方されている芍薬甘草湯(こむら返りに効くという漢方)を、日々飲む薬と共に、常に持ち歩いている。「これって本当に効いているのだろうか」と思いつつ、あのひどいこむら返りが起こった時は、気休めでもいいから、とにかく飲む様にしている(速効性が余り無い様な気もするのだが……)

 右耳がボーっとする現象もまだ頻繁にある。嚥下(deglutition)時の違和感も時々起こるが、最近、いつもムカムカして、喉の奥に何か引っ掛かっている感じのする日が多くなった。別に吐く訳でもないのだが、食前・食後に関係なく、水を飲んでも嚥下途中で、ぐっと喉のあたりで留まる感じがする時がある。

 8月6日頃から、毎日の自主リハビリ(rehabilitation) (階段昇降をしている)での上りが非常に辛くなって、しんどい日が続いたが、自分に言い聞かせて、なんとか続けている。最近少しだけマシになってきたので、夏バテだったのかもしれない。

 さて、今回の肝機能(liver function)の血液検査結果は、前回よりもまたやや上昇していた。上がり具合は緩やかではあるが、またまた免疫抑制剤減薬の可能性がかなり濃厚になってきた。先生は、「なかなか減薬出来ませんね……もしかして、ウルソ(Urso)を止めにしたからか…」とか、何やら話されておられていたが、私は免疫抑制剤の影響が一番強いと感じている。ウルソを再開するのかと思って聞いていたら、「何かもっと薬を減らせないか」と言われ、ミコシスト(Mycosyst)を止めてみましょうとKB先生。

 ミコシストはカビ(molds;Fungi、真菌)による感染症(infection)を治療する(私の場合は、予防する為の)薬であるが、免疫抑制剤のネオーラル(Neoral)の効果を強める効果もあると説明された。すかさず私は、免疫抑制剤服用中に食べるのを禁止されている、例えばグレープフルーツの様なものなのか(免疫抑制剤の効き目を強くしてしまう性質があるので、禁食となっている)と訊くと、それと同じらしい。【※ミコシストには、ネオーラルの様なシクロスポリン製剤の血中濃度を上昇させるという報告がある。血中濃度を上げるという事は、言い換えるのなら、本来処方されているシクロスポリン(cyclosporin A;CyA)の量で予想される血中濃度より、実際は体内でより多くのシクロスポリンが作用している状態になってしまう、と考えたらよいだろうか。】でも、ミコシストによって、もしかしたら免疫抑制剤の血中濃度が高くなっていた可能性があるのを、ミコシストを止める事によってその可能性を無くすのだから、実際は、免疫抑制剤のネオーラルの現状維持か、減薬方向と考えられるのではないのだろうか? 

 先生は、カビ感染の心配は、移植(transplantation)して2年近くも経つので、多分もう大丈夫ではないかという判断で、免疫抑制剤の影響も減らそうという方針らしいが、ネオーラルを減薬したせいで肝機能の値が悪化した可能性が高いのに、どういう考えでそうされたのかが、良く分からない。今回、非常に悪化していたのなら、この変更に対しても、先生に色々質問を投げかけただろうが、こういった微妙な動き方なので、私も『まあ、これで、また4週間様子を見るか』という気分になってしまう。

 また、要らぬ事に、私が、「今晩はまた久々に一杯します」等と先生に言った為かどうかは知らないが、いつもなら「困ります」とか言われるのに、今日は、(私の)肝臓自体がもともと弱かったのではないかといった内容の事を言われてしまった。言いたい事は一杯あった。化学療法(chemotherapy)での抗癌剤(anti-tumor agent)投与や移植等によって、非常なダメージを受けてしまう(特に移植前処置の放射線治療によって肝臓を含め、内臓等に非常なるダメージを及ぼす)事は周知の事ではないか。 ~~(中略) ~~ それをここ今に至って過去の飲酒が原因の一つの様に言われるのには納得しかねる所があった。しかし、そんな話をしても仕方がないので、「先生、免疫抑制剤を減らしたので、移植由来のリンパ球が、(免疫抑制効果を減らした分)私の肝臓を異物だと思ってまた攻撃を開始しているという事ですかね?」と訊くと、「そうですね。お姉さんのリンパ球(lymphocyte)は、何かあなたの肝臓に恨みでもあるのでしょうかね?」等とKB先生。先生が珍しく冗談を言われた?! 予想外の返答に、まさか「姉も大酒のみです(今は知らないが)」と答える訳にもいかず、またまた頭の中に色んな思いが巡り、どう返していいのか困惑し、「そうなんですかねー??」と私。

 まあ、これだけ元気なリンパ球なら、尚の事、早く免疫抑制剤を中止にして、まだ私の体内に残存しているかもしれない白血病細胞(leukemia cell)をこのリンパ球に攻撃させて退治するというGVL効果(graft-versus-leukemia effect)をもっと強力にしたいと先生は望んでおられるのかもしれないが、こうも敏感に私の肝臓が反応してしまうので、なかなかゼロに持っていけないというのが現状なのかもしれない(白血病細胞撲滅前に私の肝臓自体がやられてしまったら、元も子もない)。

 その他では、体重減少が無いか問われた。多分嚥下違和感に関して聞かれたのだと思ったので、最大1kg以内で安定している事と、ムカムカしても吐くという事は未だに無い事を伝えると、これも経過観察となった。また、毎回同じなので報告する内容を遠慮して言わなかった関節痛等、一応言葉にして伝えると、先生は、「まだ肘や膝も痛む日があるんですか…、筋肉痛もあるんですか…」と言っておられた。この言葉を聞いた時、今更ながら、先生は多くの患者さんを見ておられるので、私の日常全部を把握出来る訳ではないという考えてみれば当然の事を、そして全ての症状はGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)が原因と思っていたが、薬の副作用(side effect)である時もあるかもしれないという事を感じ、今後は、たとえ毎回同じ内容であってもいいから、診察時にはその時の症状を全て話した方が良いだろうと思った。

 さて今回は、9月末に切れる欠勤届を延長するのに必要な診断書をお願いしなければならなかった。先生には、もう復職しても大丈夫なのではと言って貰えた。実は、ここしばらくずっと検査結果が良く、ネオーラルを減薬して1ヶ月後の値も安定していたので、このまま安定が続く様ならば復職を考えてもいいと思い、9月末頃がいいかもと考えていた。

 減薬した状態で次も安定していたら、いよいよその旨をボスに報告しようと考えていた先月、期待に反して、肝機能値に不安な動きがあった。その為、当初の予定とは文章を変え、肝機能値に嫌な動きがあったが、去年の悪化時よりは体力も付いてきていると思うので抑え込む事が出来るのではないかと思っている事、そしてこのまま何とか悪化せずに値が安定したら、復職を考えている事を報告していた。しかし、夏バテも重なってか、この8月の体調を考えると、またちょっと自信が無くなってきてしまっており、今日の更なるこの微妙な上昇である。先生は、GOT(※)が100位でも復職している人もいると言われるが、それを言うなら、私自身、白血球(WBC;white blood cell)数が8万近くなっても(正常値上限は9,000個)、なんだか変だと思いつつ働き続けていた。人間の体は強いものだというのは分かるし、これ位の少々の動き程度なら、どうって事ないと今では思っている。
 ※ GOT (glutamic oxaloacetic transaminase:グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ) = AST (アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ) の事。

 しかし、この数字には表れない体のだるさ・しんどさは、人が見ても、外見からではわかっては貰えないしろものだ。こんな症状を良く分かっておられる筈の先生にも、やはり私のこのしんどさ・だるさを、真には分かって貰えていないのが寂しい。肝機能値がこのまま、また上昇を辿れば、数値に比例した易労感(疲れやすい)も加わるのは必至である。私は復職後にそんな状態になる事を恐れてもいる。第3者にはそれを怠けている・甘えているとかしか見て貰えないのではないかという不安もある。これは同じ経験者でもない限り、(見た目は元気そう・普通そう・何でもなさそうにしか見えない事が多いせいか)なかなか理解して貰うのは難しいという事は、良く聞く話で、自身もそれを感じている。また自分も、晩年の母のだるい・痛いを一番理解していたとは思っているのだが、母よりも症状(だるい・しんどい)が軽いだろう自分でさえ、実際こんなにもしんどいものなのだから、母はどんなに我慢していたのだろうかと思うと、切なくなる。えてしてこういうものであるという思いから、とにかく復職で失敗はしたくないので、慎重に復職したいと考えている。

 先生には、ボスに復職に関して話をし始めている事と、夏バテなのか、この10月初めからの復職に自信が無くなった事だけを伝え、取り敢えず長めに年末までの診断書を書いて貰った。

 とにもかくにも、免疫抑制剤を続けているせいか、肝機能値が昨年末の様に急激な上昇をしなかったので、良かったと思う。ミコシストを減薬(ゼロに)して1歩前進である。次回は、このまま維持か、改善しています様に。

【血液検査の結果】8/25:
WBC(白血球数) 3.6、HGB(ヘモグロビン) 11.1、PLT(血小板数) 172、
GOT(AST) 48(高)、GPT(ALT) 48(高)、γ-GTP 47(高)、LDH 214、AMY 131(高)

2008-08-23

IVHカテーテルの形状詳細』に一文追加。。。

2008-08-21

2008/08/21 (木) Google 地図

 おなじみGoogle検索のオプションの中に、『Googleマップ』という、地図検索がある。

 これの凄い所は、好きな所を入力して、知りたい場所を検索出来る他に、地図の右上部にある‘航空写真’という所をクリックすると、写真版になって現われる所である。例えば「凱旋門」とか「ベルサイユ宮殿」、「東京タワー」等と入力し、アップを続けると、路上のバスや車、人影まで見分けられるほど近寄れる(場所によっては最接近出来ない地域もあるが…)。これで、半年程前にもアクセスして、かつて住んでいた家を、この地図で探して眺めていた。

 今朝というか、昨晩、なかなか寝付かれず、結局2時間も眠れずに目が覚めてしまい、諦めて起床し、早朝からPCでインターネットをしていて、また家を見てみようと思い、アクセスしてみた。最近立て続けに、物心ついた頃から住み育った家と、今は亡き家族の夢を見た事もある。そして、私の一存ではどうしても残して貰えず、引っ越し後、あっという間に取り壊されてしまった家が、この地図上では写っていたからだ。

 しかし、どうしても見つからない。。。あれ? と思い、落ち着いてもう一度良く見てみると、かつての敷地に家が2軒建っていた。今年3月に見に行ったので、1軒だけ建築に取り掛かっているのは確認していたのだが、なんと、もう2軒とも完成していたのか……

 Google Mapは世界中の地図を網羅している様だったので、そうすぐには更新されないだろうと、たかをくくっていたが、結構こまめに更新している様だ。

  参考までに、Google Earthというものをダウンロードすると、色んな地域を3Dで色んな角度で見る事が出来、それこそ、居ながらにして世界旅行気分が楽しめるという凄いものもある(しかも無料)。ちなみに、この機能には、宇宙へ視点を向ける機能もあり、色んな星や星雲を旅する事も出来そうだ。

2008-08-18

2008/08/18 (月) ルンバールについて

 ルンバールについて、まとめてみた。
 
 詳しくは「生亜紫路2006」の『ルンバール(Lumbal)はどこに刺すのか』に載せたので、興味のある方は、ご覧下さい。

2008-08-09

2008/08/06 (水) 雷光!!

 ここ1週間程、天候不安定で急に雷雨となったりする事がしばしばあった。

 カーテン越しにピカッと光る雷を見ながら、あの、光る瞬間をカメラで撮れないかなぁ~、と思い始めた。しかし、その日は、雷は丁度建物の真上あたりでゴロゴロ光っていて、撮影は無理だな、と諦めた。ところが、翌日も夜に結構雷が鳴っていたので、ベランダに出てみると、ピカッと光る稲妻が何回も、水平方向に長く走っていた。

 どこで光るか等は運に掛けるしかないが、縦に走っているのでないので、もしかしたらチャンスがあるかも…… ヨシ、撮ってみよう、と思い、デジカメを稲妻が走るだろう夜空に向けて構え、光る瞬間を待った。三脚がある訳でもなく、レリーズがある訳でもないので、窓のサンに腰掛け、殆んど体育座りに近い膝小僧に両肘を載せて手ぶれしない様に気を付け、待つ事しばし。。。

 一回目はシャッターを押すタイミングが遅れ、二回目は稲妻のあった向きとカメラが合わず、三回目でやっと雷光を捉える事が出来たが、ちょっと画面の端っこだった。今度こそ、と意気込んで雷光を待ったが、これが最後だったらしい。

 部屋に戻って、改めて写真を見ると、稲妻は実に複雑な動きをしているのが垣間見て取れた。真横に走っているだけと思っていたが、末端で少し逆戻りしているのが写っていた。願わくば、もうっちょっとアングルが下だったらなあ~、と思いつつ、まあ、当てずっぽうに初めて撮った割には、いい方かしらん? 

2008-08-06

IVHカテーテルの形状詳細

 前回、『IVHカテーテル(CVカテーテル)挿入法について』を書いたので、今回は、一部重複する所もあるが、自分の入院中に使用されていたIVHカテーテル(intravenous hyperalimentation catheter、中心静脈カテーテル)の形状について、自分なりに調べたり観察したりして詳しくまとめた結果を、写真を添えて残しておこうと思う。私の場合は、カテーテルを右鎖骨下静脈(subclavian vein)に挿入されていたので、おおむね、その前提でまとめる(※各写真をクリックすると少し大きな写真が見られる)。※今回の説明文は非常に長いので、もし闘病中の方なら、私自身入院中、文字を読むだけでも非常に体力を消耗してしまった経験があるので、斜め読み程度にして、どうぞ無理されます様に……

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 ここで紹介する写真のIVHカテーテルは、点滴する口が2つある、2叉に分かれたダブル・ルーメン(lumen)タイプである。形状から、アロー社製の中心静脈カテーテルと思われる。カテーテルは、この他に(アロウ社製のものでは)ルーメンが1つのもの、3つのもの、4つのものがある様だ。以下に説明する部分で、アロウ社での説明をもとに各部位の説明をするので、もしかしたら、製造元が違うと部位の名称(呼称)も少し違うかもしれない事にご注意願いたい。

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 まず、写真①で全体像を見ていこう。後半で個別に、もう少し詳しく説明をしていく。

・ 写真①左半分の2叉に分かれたものから白色カテーテルの、先端が青色で細くなっている部分(ブルーチップ)の所までがIVHカテーテルである(写真②)。
 
・ 写真①右半分に見える2つの透明な管(カテーテル)は、IVHカテーテルを実際に点滴に繋ぐ為の中継の管で、“延長カテーテル”とナースは呼んでいた。末端の水色の部分に、点滴の管を連結出来る様になっている(写真⑪、⑫)

・ 写真①左側に見える白色カテーテル(管)先端の、ブルーチップ(tip;先端)の所が、カテーテルの先端で、心臓の近くに留置されていた部分にあたる(写真③~⑥)。

・ 写真①左の白色カテーテルの途中に、青色のハネ(カテーテルクランプ)が付いているが(写真②、⑧)、これは、カテーテルが抜けない様に、皮膚に縫い付けて固定する部分である。つまりそこから先端までが体内に挿入されていた部分になる(写真⑦)。

・ これはダブル・ルーメンタイプなので、写真(①、②)では一見、2本のカテーテルが、一本の白色のカテーテルに合流している様に見えるが、実は、白色カテーテルの中では先端の方まで、2本の管に分かれており、血流に達する最後まで合流する事が無い様に作られている。そして白色カテーテル内の2本の管の直径(太さ)はそれぞれ違っている(これは入院中に先生に質問して教えて貰った事なので、実際にこの白色カテーテル部分の横断面を見て確かめてはいないのだが……)。同時に2種類以上点滴する場合等は、点滴の内容によって、直径の太い方を使うか、或いは細い方に点滴を繋ぐか、使い分けたりする。

・ 写真①の左中央に茶色のハネの部分(ジャンクションクランプ、写真⑦左下)があり、青色のカテーテルクランプと同様、穴が2つ空いているのが見えるが、私の場合(右鎖骨下静脈挿入)、皮膚に縫い止めたのは、ブルークランプの所のみであった。

・ 茶色のジャンクションクランプの所で、白色カテーテルは2本の透明な管(カテーテル)に分かれている。その先には茶色のハブ、又は白色のハブがあり、それぞれに延長カテーテル(写真①右半分に2つ見える)を繋いで、点滴ルートを2本確保している(写真①)。ハブ(hub)とは、管(カテーテル)と管(カテーテル)をつなぐ部分と考えたらよいだろう。

・ 写真①で、IVHカテーテルが延長カテーテルに連結している繋ぎ目、即ちハブが、写真①上の方が茶色(写真②上)、写真①下は白色(写真②右)になっているが、この色によってカテーテルの直径(太さ)を見分けられる様になっている。このカテーテルでは、茶色のハブ側の方が太い。

・ 写真①右の、延長カテーテル末端近くの管に通されている、青色のクリップの様なものは、カテーテルストッパー(写真⑮)で、点滴時は写真①の様に解放状態にし、点滴のない時は、このストッパーを閉じて、カテーテル内の液が漏れない様にしている。

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 次に、各部を詳しく見ていこう。

・ 写真②は、私に使われていたもの、即ち使用済みのものなので、文字はよく読み取れないとは思うが、2叉に分かれた、IVHカテーテルと延長カテーテルを繋ぐハブが白色の方(写真②右)の、透明な管の中央には、[proximal 18GA]と書かれている。

・ ハブが茶色の方(写真②上)の管には[distal 14GA]と印字されている。

・ 目安として、写真②で、先端のブルーチップから青色でハネのあるカテーテルクランプの所までが、体内(の血管内)に挿入されていた部分で、先端のブルーチップの所が、一番心臓に近い所にある、という位置関係になっている。

・ proximalとは近位という意味で、より点滴側に近い位置(皮膚寄りで心臓からは遠い位置)に、点滴の出口の穴(port;ポート)が血管内に空いている事を示す(穴部分の拡大は写真③、⑤)。近位の穴は、カテーテルの側面に空いている。18GAとは白色カテーテル内での管の径を表す(細い)。

・ distalとは遠位という意味で、proximalよりも遠い所、即ち最も心臓寄りに点滴の出口の穴(ポート)が空いている事を示す。写真には写っていないが、ブルーチップの先端部分に穴が空いている。更にこの側面にも、もう一つ穴が空いている(側面の穴部分の拡大は写真④、⑥)。14GAとはカテーテルの径を表し、白色ハブ側の18GAよりも径が太い。ちなみに、この数字が小さくなる程、径は太くなる。

・ 2つ以上の点滴を同時にする時、点滴の内容(種類)によって、カテーテルの太さによる使い分けがあった。抗癌剤(anti-tumor agent)は必ず、太い径の茶色のルートから行われ、赤血球(RBC:red blood cell)や血小板(PLT:platelet)の点滴も太いルートから、そして、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)の時の骨髄液(bone marrow aspirate)も茶色の太いルートから行われた。

・ 実際に穴(ポート)の形を見ると、側面のポート(出口の穴)の大きさは、必ずしもカテーテル(管)の直径と一致しているとは限らない様だ。写真③~⑥にポート(穴)の拡大写真を載せたが、ブルーチップ先端の穴は写っていないが、遠位では側面に丸い穴(ポート)が空いているのに対し、近位では楕円形のポート(穴)で、遠位と比べてやや大きい。

・ 長い入院中、次第にカテーテルの通りが悪くなる事がままあるが、ナースや先生によると、考えられる原因の一つには、実際にカテーテル内が何かで詰まってきて流れが悪くなったからというもの、そしてもう一つは、特に近位の場合だが、穴(ポート)が側面にある為、カテーテルが血管内壁にぶつかって丁度この穴を塞いでしまっているのではないか、というものであった。後者が原因の場合、患者本人が体や胸、腕等をわざとぐるぐる動かしてみたりすると、急に点滴の流れが良くなるという事があるそうだ。

・ 私に使用された2ルーメンタイプのカテーテルでは、遠位側の穴(ポート)はブルーチップの先端と管の側面の2か所に穴が空いていたが、ネットで見つけた説明書によると、先端に1つだけ穴が空いているタイプもあるらしい。3ルーメンタイプの場合は、遠位の穴(ポート)は先端のみ、近位はここで紹介した近位の穴と同じ位置、そして中間の所(即ち、紹介しているカテーテルの遠位側面にある第二の穴の所)は、3つ目の点滴ルートの穴となる様に作られている様である。

・ お気づきの方もおられると思うが、IVHカテーテル側面のこれら二つの穴は同一線上(同一面上)には無く、近位と遠位の穴は互いに180度反対側の裏面に存在しているので、両方の穴を同時に写真に収める事が出来ない(写真③と④、⑤と⑥)。

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 余談になるが、このIVHカテーテル(CVカテーテル(中心静脈カテーテル:central vein catheter)とも言う)を抜く事になった時、以前、先生から訊いていたIVHの先端構造を実際にこの目で確かめる事が出来るという思いから、担当医に「抜いたIVHを記念に下さい」と言って、本当に貰ってしまった。カテーテルの先は抜いたばかりなので、当然、自分の血で汚れている。個室だったので、自分でせっせとカテーテルの洗浄をしながら、先生から訊いた話では、遠位は先端に穴が空いていると訊いていたが、それ以外にもう一つ、側面にも穴が空いている事等を発見したりしていた。

 カテーテルの洗浄には、以前ナースに頼んで、使用済みの注射器(syringe)を貰っていたので、それを利用してカテーテル内を念入りに洗浄した。この注射器は、ヘパリン(heparin)という、カテーテル内の液を清浄にする(固まらない様にする)為の液を注入する『へパ・フラッシュ(とナースは言っていた)』(点滴のない日には毎日行われた)の時に、毎回使い捨てにされていたもので、どうせ捨てるのならと、使用済みの注射器を貰ったものである。※抗癌剤と違って、へパリンは体に安全なものだったので、貰っても良いと考え、貰った後はすぐに洗浄して取って置いた注射器である。

 しかし、どうしても血液を洗い流せない部分があった。それは、近位(proximal)の穴(ポート)から遠位(distal)迄の部分で、血液が残ったままであった。根気良く洗っているうちに、どうやら、カテーテルの近位は穴の所で終わっているのではなく、その近位の穴から遠位迄が盲管状になっている為、そこに入り込んでしまった血液が洗い流せないのだという事が分かった。量としてはごく少量だろうが、(素人感覚で考えると) 感染(infection)等に気を付けなければならないだろうに、血液が淀んだ部分(即ち盲管部)が存在していいのかと、ちょっと驚きであった(改善出来ないのかとアロー社に言い所だが……)。

 先生が回診(round)に来られた時に、早速、カテーテルにの遠位の穴は2つあった事と、近位側に盲管が存在する事を、洗ったIVHカテーテルを見せながら話してみた。先生は、普段、IVHカテーテルの挿入を行なう事はあっても、カテーテルの先端を間近で見るのは初めてらしく、興味深く眺めておられたのを覚えている。

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 さて、次に、カテーテルを皮膚に縫い付けて止める為の、青色のハネ(カテーテルクランプ)部分を見ていこう(写真⑦、⑧)。

 青いクランプ(clamp)は取り外せて、その下にもう一つ白いクランプがカテーテルを保持している。青クランプと白クランプを2枚重ねた状態で、皮膚に固定する。写真⑦・⑧は青クランプを外し、ひっくり返した様子である。このIVHカテーテルを抜いた時に、自分で洗ったので、クランプの位置は若干ずれているが、だいたいこの写真のクランプの位置から先端迄が、心臓に向けて挿入されていた部分にあたる。

 前回の続きになるが、『IVH挿入マニュアル』を読むと、挿入するカテーテルの長さは、右鎖骨下静脈(subclavian vein)穿刺で13~15cmである。右内頸静脈(internal jugular vein)穿刺では、穿刺(paracentesis;puncture)する部位により異なり、胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid)前縁中央からのアプローチで13~15cm、小鎖骨上窩の頂点からで11~13cmを指標とするらしい。また、大腿静脈(femoral vein;venae femoralis)からのカテーテル挿入の場合、成人で40~50cm位だとか。。。

 挿入した長さが分かる様に、カテーテルにはメモリが打ってあり、先端のブルーチップから初めにある黒の一本線の所迄が10cm、白色クランプあたりの[15]と刻印されている所が、15cmの長さ、15cm以降は4つ黒い点があるが、この間隔は1cm、茶色のジャンクションクランプ手前の黒二重線迄で20cmとなっている(写真⑧)。

 参考までに、私のカテーテル挿入状態(写真⑨)も載せておく。白カテーテルにある二重線や、黒の点のある位置から見ると、胸の中に挿入されたIVHカテーテルの長さは15cm位になっているのが分かる。一度、挿入時のレントゲン写真(an X-ray (photograph)を見せて貰った事があるが、右鎖骨下から英語大文字の「 J 」を丁度逆さにした様な形で、心臓のすぐそばまで挿入されていたのを覚えている。

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 また話を脱線するが、この写真⑨は、入院中、IVHカテーテルを抜く時に、一度だけ長姉が居合わせた事があり、その時にこの記録を残そうと、急に思い立ち、姉にカメラで撮影してと頼んだ時のものだ。あいにくこの日カメラを持ってきていなかった姉は、「うわぁ~~、怖い……」と言いつつ、携帯電話のカメラで撮影してくれた。

 この写真⑨では、右鎖骨下を撮影しており、私は仰向けで寝ている。頭部は写真の左斜め上の方、少々右肩(写真で言うと左側が右肩にあたる)が斜め下位の角度で写っている。チェック柄の布はその時着ていたYシャツで、右肩が隠れている感じである。この病院では、イソジン(Isodine)を消毒液としても使用している為、挿入口を中心に、消毒(disinfection)した所が茶色くなっている。普段はこの消毒後、すぐに、清浄で大きく四角いガーゼで、挿入部(ブルークランプ部分)・茶色のジャンクションクランプ部分全体を覆い、テープで止めていたので(要するに外気に直接触れない様に、ばい菌が入らない様にしている)、自分でもゆっくりと見た事は無かった。

 撮影日を見ると、母が亡くなってすぐの日付である。その1ケ月半位前の外出・外泊許可で帰宅した時、母の異変に気付き(詳しくは「生亜紫路2006」の『2006-07-21 (金) 外出、母の異変』)、入院して検査して貰った結果、誰もが想定だにしなかった末期の癌が母の体に発見されたのだった。母はホスピスに転院し、治療中で身動きの取れない私は、化学療法(chemotherapy)のクール(Kur)を終えて、やっと貰えた外泊許可(exeat;overnight)で、無理して、臨終が近かった母に最期のお別れをする為に会いに行き、その後ひどい肺炎(pneumonia)を起こした頃のものである。肺炎を起こした決定的な原因が分からないまま、抗生剤(antibiotic)の治療が続けられ、その間に母は天に召され、私は肺炎等の更なる悪化を防ぐ為にと、念の為にIVHカテーテルを抜く事になった日付である。写真を見る限り、カテーテルを止めていた痕等が、ブルークランプのまわりに見られる事より、2度目のカテーテル挿入の状態であろう。

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 話を戻すが、今度は、カテーテルと点滴をつなぐ延長カテーテルについて、みていこう。全体像を写した写真①に見られるIVHコネクタ(延長カテーテル)については、『生亜紫路2006』の『2006-07-11 (火) Aコース(3回目) 07日目 キロサイドのルンバール』にも少し説明しているので、それを参照して貰うとして、ここでは、もう一つ、違うタイプの延長カテーテルを紹介しよう(写真⑩)。

 私に付けられていたカテーテルは2ルーメンのものであったが、点滴を同時に3種類以上しなければならない時はどうするのだろうか、3ルーメンとか4ルーメンのカテーテルに挿入し直すのだろうか!? 三方活栓を利用するという方法もあるかもしれないが、私の場合は写真⑩の様な“延長カテーテル”を更に継ぎ足して貰っていた。

 詳しく見ていこう。 まず、写真⑩の水色端側(写真中央右下;ここではメイン・コネクタと名付ける事にする)は点滴に繋ぐ面(コネクタ面)で、写真①の右半分にあるのと同じ形状をしている。写真①と違って、写真⑩の延長カテーテルには、この水色の繋ぐ面(コネクタ面)と同じ形のものが、カテーテルの中央にもある(ここではサブ・コネクタと名付ける事にする)。これによって、1つしかコネクタ面がなかった1本のルートを、2種類同時点滴可能なカテーテルに変える事が出来る。但し、メイン・サブの両方のコネクタを同時に使う時は、点滴する2種類の液が互いに混じりあっても大丈夫なものを選ばなければならない。そして、同時に点滴された液は混合した状態でIVHカテーテルへと流れていく事になる。

 写真⑩の左下、水色のコネクタ面とは反対側の端末は、透明な繋ぎ部(写真⑪左)となっているが、この形状は、水色のコネクタ面と繋げる様になっている(写真⑪、⑫)。点滴を繋ぐ時も、点滴からの管の先端はこの透明な部分と同じ形状をしていた様に思う。

 延長カテーテル水色のコネクタ面(写真⑪右)で、カテーテルと接続する部分は、中央の白っぽく丸い所で、見え難いかもしれないが、縦一本に切れ目が入っている。この状態ではカテーテル内の液は漏れない構造になっており、そこに写真⑪左の透明部分と同じ形状のコネクタを押し込むと、管が一本に繋がり(写真⑫)、点滴が開始出来る。そして両方のコネクタが外れない様に、押し込んだ後は少し回してカチッと止める様になっていた。

 時々、どちらかのコネクタの不具合から、点滴の液が漏れていた事があったが、漏れを見つけたら直ぐにナースに連絡を取って報告したものだった。点滴によっては、特に抗癌剤等だったら、皮膚に触れると炎症(inflammation)を起こしたりする事等があるからである。

 この水色の点滴口(コネクタ面)は、点滴に使用するほか、何か注射が必要になった場合も、わざわざ注射針を腕に刺す事なく、先生方はここから注入していた。水色コネクタ中央の切れ目に注射器の先端を押し込むと、液漏れする事なく先端だけ管の中に突っ込む事が出来、引き抜くと、元通りに閉じる。急な発熱(pyrexia、fever)等で緊急採血(血液培養)が必要になった時は、腕と、ここ(IVHルート)からの計2か所の採血があった。入院中に貰って来た注射器を使って、そのイメージ写真を、写真⑬、⑭に載せておく。写真中の注射器の近くに、白いものを置いてあるが、これはへパリン液の入った注射器の蓋で、入院後半からこのキャップはねじ込み方式にデザインが変更されていた。

 参考迄に、写真⑨でIVHを抜かれたのは、IVHの先端(出口)付近で、何らかの原因で菌が繁殖する事もあり、そうなるとIVH自体が菌の繁殖源になるので、その危険性も避ける為にと抜いてみる事になったのだった。そして、そのIVHの先端は、血液培養の検査に回された(抜いたばかりで血だらけのIVHの先端をハサミで切って、検査用容器に回収していた)のだが、結局、そこから菌は検出されなかったと数日後教えて貰った。抜いて検査しなければ結果が分からない事は理解してはいたが、何も菌が検出されなかったのに抜いてしまったので、またカテーテル挿入をして貰わなければならなくなった事に、内心ため息が出たものだった。血液培養について詳しく知りたい方は、『2008/05/03 (祝) 血液培養について』をご参照頂きたい。

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 最後に、写真①や⑪で、水色コネクタの近くの管に、青いものが写っているが、これはカテーテルのストッパーである(写真⑮)。カテーテルの太さによって、大・小あり、色違いの白いのもあった(写真⑮)。写真では白色のものは一部私が緑色のペンで色を塗ってしまっているが、本当なら真白である。点滴に繋いだりしない限り、水色のコネクタから内部の液は漏れてはこないが、普段点滴のない時は、安全の為、更にこのストッパーで管を挟んで止める様になっている。

 カテーテルはこのストッパーの長軸方向の穴に通っており、丁度私が緑で色を付けた部分を両方から指で挟むと、パチッとかみ合い、その間を通っているカテーテルの管は押しつぶされる形になるので、内部の液の動きを止めるというものだ。

 点滴液を、手動で落下(点滴)させる時等は、このストッパーで取り敢えず中止する事が出来るが、装置を使い機械的に点滴液を押し流す場合、たまにナースがこのストッパーを外し忘れる事があった。装置を使って機械的に点滴を流すと、ストッパーを止めた状態でもちゃんと流れてしまうので、ナースもストッパーを外し忘れた事に気が付かない(要するに解除し忘れる)事がある様だ。

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 参考までに、普段点滴のない時、このIVHカテーテルは水色末端(繋ぎ口)が雑菌等に触れない様に、水色のコネクタ部分をカーゼでくるんでゴムで止めている。胸から出たカテーテルの末端はガーゼにくるまれゴロゴロしていて、ぶら下げるととても嫌な重みが挿入口にかかってくる。そこで、入院中はTシャツではなく、胸ポケット付きの前開きのパジャマかYシャツを着て、ガーゼでくるんだカテーテル末端は胸ポケットに入れていた。

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 長くなってしまったが、以上、こんな感じである。

 その他、IVHにまつわるトラブルや体験談等、入院中の出来事を知りたい方は、『生亜紫路2006』の右サイドにある【ラベル:IVH】をクリックされると、色々と出てくるので、ご参照下さい。

 尚、今回も、これと同じ記事を、初発入院時の体験を記録している(現在更新休止中)、もう一つのブログ『生亜紫路2006』にも載せている。