2008-07-24

IVHカテーテル ( CVカテーテル ) 挿入法について

 あんまり思い出したくない記憶だが、『生亜紫路2006』の更新を随分休んでいるし、まだ記憶が残っているうちに少し詳しく、調べた内容等も含めてまとめておこうと思う。

 白血病(leukemia)が発覚して初めに行われた事の一つに、IVH(intravenous hyperalimentation)カテーテル挿入があった。抗癌剤(anti-tumor agent)等を点滴する為の管を鎖骨下静脈(subclavian vein)に挿入するのだ。中心静脈CV(central vein) (主として上大静脈)内にカテーテル(catheter、点滴の管)を挿入し、そのまま留置する(留置カテーテル(indwelling catheter);要するに管の先端は血管内に置いたままにしておく)ので、CVカテーテル挿入とも言う。その時の体験・心情は、『生亜紫路2006: 2006-03-28(火) CVカテーテル挿入』で述べたが、こんな経験は2度としたくない。しかし、入院も長くなると、このカテーテルの(点滴の)通りが悪くなったり詰まったりして、再度挿入し直されたりする。自分も、1、2回あったが、最初にあの辛い思いを体験しているので、また挿入されるのには、非常なストレスであったのを覚えている。

 さて、退院して後、このブログで入院中の体験を記録に残そうと思い、当時の記録と記憶を辿りながら、IVHカテーテル挿入についてもネットで調べた事がある。それらを簡単に(自分なりに)まとめると、次の様になる。

 カテーテルの挿入部位には、主に鎖骨下静脈・内頚静脈(内頸静脈(internal jugular vein))・大腿静脈(femoral vein;venae femoralis)の3つで、肘静脈というのもある(肘正中皮静脈[ちゅうせいちゅうひじょうみゃくintermediate cubital vein]、尺側皮静脈[しゃくそくひじょうみゃくbasilic vein]、他に橈側皮静脈[とうそくひじょうみゃく、cephalic vein]等もある)。挿入部位の選択は病院によって方針が異なるらしく、私は鎖骨下静脈だったが、内頚静脈を第一優先にしている病院もある。読んでみた印象では、内頚静脈の方が、鎖骨下静脈より探しやすそうであるが、頸の根元(鎖骨の上あたりをイメージするといいかもしれない)に点滴用の管(カテーテル)が出る事になるので、患者にとってはやや不自由というか、そういう感覚が多い傾向があるそうだ。自分の場合、胸(右鎖骨下)から管が常時付いている状態で、これだけでも十分過ぎる程、苦痛であったが、首からカテーテルが出ている事を想像すると、首でなくてまだしも良かったと思ってしまう。患者にとってどちらがマシか等は比較しようがないので、これはあくまでも、一個人の感想・意見としてだけとらえて欲しい。

 穿刺(paracentesis;puncture)・挿入の方法はというと、解剖学(anatomy)的所見や触診(palpation)で、筋肉の走行や血管の位置を確認し、それに基づいて、目的の静脈を探り当てていく。施術される患者の頭や腕、下肢の向き等を正しい位置に向けておく事で、より確実に静脈にあたる様にしている。針を刺していくと筋肉と血管などでは弾力というか当たり(感触)に違いがある為、解剖学的な血管の配置や深度をもとに探し、静脈に辿り着いたかどうかは、逆血(注射器(syringe)等で引いてみて、血が出てくる)の有無等で確かめる。間違って動脈をいきなり刺してしまう事は少なさそうだが、病院によっては、エコー(echo)等で正しく静脈に挿入されたかを確認しつつ行なう所もある。静脈の血管に入れたカテーテル(管)の先端は一般に、心臓の近くまで挿入して留置する。そして最後にカテーテル挿入部と皮膚を糸で縫って固定する。施術終了後は、正しく挿入されているかどうか確かめる為、レントゲン写真(an X-ray (photograph)を撮ったりして確認する。

 以上、大まかな理論・手法は恐らくどこでも同じであろうが、病院や先生によって、少しずつやり方に違いがある様だ。ちなみに、自分の場合は、術前・術中にエコーもX線撮影も用いられず、全て終わってから、最後に確認の為の胸部X線(X-ray)撮影があった。いずれにせよ、(うまく挿入出来る様に工夫されている)IVHカテーテル挿入キットがあり、どの病院でもその類を使っていると思われる。後は、やはり施術される先生の技量かも……

 次に、自分が参照した、IVH挿入法の詳しい記載のあるページを、以下に紹介しておこうと思うのだが、医者向けの専門的なものであり、一般の人向けではない事にご注意願いたい。挿入された経験者でなくても、(人によっては)見るのが辛いと思われる図や写真も載っている。だから、血を見るのも怖いとか、針で刺されるのもイヤだという人は、これらは見ない方が良いと思う。特にYouTubeのビデオは施術手順を患者さん相手に、実際に行なっているのを映しているで、安易に見ない方がいいだろう。

 何故ならば、医者がどういう風に静脈を探して挿入しているのかを知りたくて調べた自分ですら、こういう風にされていたんだと理解出来たのはいいが、あの時の記憶も蘇えり、読んでいても涙が止まらなかったし、改めて見直してみても、やはり昔の記憶とリンクして、病気になってしまったショックと悲しみが思い出され、涙が出てくる。特に、今回新たに見つけたYouTubeの映像は、自分のとは違う、頸からのカテーテル挿入法ではあるが、痛みが想像される分、まともに見るのはかなり辛かった。痛みと言っても、もちろん、麻酔(私の場合は局所麻酔、全身麻酔する事もあるらしい)をかけてから行われるのではあるが、何とも嫌なもので、麻酔が切れた後も、それなりの痛みは生じるし、その後の不快感(体からカテーテルが出た状態)は、どうしようもない。

 とにかく以下に紹介するページは、医者向けの専門的なものである。今まさにこの施術を受ける人にとって、これを見て要らぬ恐怖感を与えてしまっては、(治療に差し支えたら)申し訳ないと思うので、詳しく知りたい方でも、この点を踏まえ、慎重に考えてから見るかどうかを決めて頂きたい。そして何より大切なのは、先生を信頼して任せるしかない、という事だろうか。


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 以下に、挿入マニュアルで参考にしたページを記載しておく(医者向け・専門的なので、見るかどうかはよく考えてから決めて下さい。青色の文字で下線がある所をクリックすれば、そのページに移れます)。

・九州大学医学部第3内科肝臓研究室の所から見つけた、『中心静脈カテーテル挿入の方法
※ 頸、鎖骨下、大腿部からの挿入方法と、注意点等が書かれている。私が一番初めに見つけて参考にしたページである。
※ 自分の場合は、右鎖骨下静脈に挿入されたが、初めての施術時に「頭を左に向けて」とか、途中から「上を向いて」とか言われた記憶があるので、九州大学医学部のマニュアルに近いのかもしれないが、施術される先生によって、やはり少しずつやり方が違っている。

名古屋大学医学部麻酔学講座の【研修マニュアル】の項に出ていた『中心静脈カテーテル挿入マニュアル 改訂第二版』。
※ これは40ページに渡り、非常に詳しく記載されているマニュアルである。

・同上の医学部から出されているビデオがあり、YouTubeでその映像を見る事が出来る。これは内頚静脈からの挿入法を、挿入キットの下準備から、留置後の挿入部位を糸で固定する所までを、簡単な説明を入れながら撮られた、約10分のビデオになっている。
※しつこい程、注意書きを繰り返すが、見るかどうかはよく考えてからにして欲しい。
名古屋大学医学部付属病院 中心静脈カテーテル挿入ビデオ




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 最後に、せっかくIVHカテーテル(CVカテーテル)挿入についてまとめたので、私が入院中に挿入されていたカテーテルの写真を載せておく。点滴する口が2つある、2叉に分かれたダブル・ルーメン(lumen)タイプである。形状から、アロー社製かと思われる。



・ 白い管の方で、先端が青色で細くなっている部分が、カテーテルの先端で、心臓の近くに留置されていた部分にあたる。
・ 白い管の途中に青色のハネが付いているが、ここで、皮膚に縫い付けて固定する部分である。つまりそこから先までが体内に挿入されていた部分になる。
・ これはダブル・ルーメンタイプなので、写真では見えないが、一本の様に見える白い管の中は、実は2本の管に分かれており、管の直径(太さ)がそれぞれ違っている。点滴する内容によって、使い分けたりする。

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 カテーテルがどの様になっているのかの詳細については、次回『IVHカテーテルの形状詳細』で、更に詳しくまとめているので、興味のある方は参照して貰いたい。

 尚、今回は、これと同じ記事を、初発入院時の体験を記録している(現時点、未完成)もう一つのブログ『生亜紫路2006』にも載せている。

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