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2009-03-07

2009年03月07日(土) iPS細胞で血小板

  私が前から注目している、山中伸弥・京都大教授が開発したヒトiPS細胞作製法(皮膚等の体細胞から万能細胞を作製する方法)で、東京大学の中内啓光教授(幹細胞生物学)らが、世界で初めて血小板の作製に成功したというニュースを知った。

 白血病(leukemia)治療の化学療法(chemotherapy)の為、長期入院をせざるを得なかったが、その間、何度も輸血(blood transfusion)のお世話になった。その種類は、主に赤血球(RBC:red blood cell)と血小板(PLT:platelet)の2種類で、その時点で必要な成分だけを、輸血して貰っていた。それまでは、輸血と言えば赤いものとばかり思っていたのだが、血小板輸血というものは、ほぼ透明な黄色い液だったので驚いた記憶がある。この血小板をiPS細胞から作製したというのだ。

 入院する前は、ごくたまに献血(blood donation)をした事がある程度だったが、入院してからは、いつも新しい献血液の輸血を何度も経験し、しかも血液は長期保存が出来ないという事を知り(血小板は冷蔵も出来ず、使われなければ4日で破棄されるらしい)、自分ももっと頻繁に献血していれば良かったなと思いつつ、善意の献血に、感謝しきりであった。血小板は出血を止めたりするのに必要な成分である。

 また最近では献血する人も少なくなってきて、慢性的な供給不足になっているという。だからこの成果を実用化出来る様になったら、献血不足の解消になるというニュースは、非常に身近な、興味をひかれる情報である。

 現在のiPS細胞 (induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細胞)の問題点は、作製時に特定の遺伝子を入れる為、それが原因で癌化する危険性があるという。今回作製に成功したというものは、血小板を作り出す巨核球(megakaryocyte)というものである。そこから出来る血小板には核が無いので、必要な血小板だけ集めて輸血するのなら、この問題もクリアできるという考えだと思う。面白い。それに確か血小板は血液型に関係なく輸血出来たと思う。そうならば、毎日作る事によって、常時確保する事も出来る。

 これがうまくいけば、赤血球を作製出来る日もそう遠くは無いだろう。赤血球は、最初は核を持っているが、最終的には脱核するので、成熟した赤血球にも核が無いからだ。

 この病気になった自分は、(正確な情報ではないが)今後再発(recidivation)も無く、将来完治(complete recovery)したと言われたとしても、もう献血は出来ないと以前知ったが、研究治験(clinical trial)者の対象になれるのなら、その機会があれば、その方面で役に立ちたい、と秘かに思っている。

 iPS細胞研究は、色んな病気治療に大きな可能性がある研究だ。今後も期待していきたい。

2009-02-09

2009年02月09日(月) 細胞外マトリックス

 先日TVで、細胞外マトリックス(Extracellular Matrix)の粉を振り掛けると、切断して失くした指が生えてきたという、驚きの映像を見た。それも人間の指なのだ。

 TVに出た映像は、ヒトの中指の先端(中指第一関節のあたり)が切断されている写真と、指が生えて復元した写真が出ていたが、にわかに信じられない。番組が終わってからすぐに検索して調べてみた。

 なんでも、外国の由緒正しい雑誌に論文も出ていて、治療現場の実用化も近いとか何とか…… また、指を切断してしまって、この粉のお陰で生えてきたという本人がインタビューされている様子と切断された指が“生えてくる”過程の写真も出ている画像がBBCニュースのページにあったが、指の切断写真が真上に近い角度からのものなので、どれ位失ったのか、爪の根元は残っていたのかどうかが、やはりよく分からない。ただ、切断してしまった指先はどこへ行ったのか見つからなかったという。
※BBCニュース内の写真は生々しいので、血とか切断面を見ても大丈夫という人以外は見ないで貰いたいという事をご注意頂きたいが、見つけたBBCのニュース画像は、これ。 冒頭にアニメのCMみたいのが流れてから始まる。
※指が再生した人の記事を更に調べたが、どうやら爪を作る能力のある爪の根元部分は残っていて、そこよりは先の部分を切断していた様だ。それならば、爪に関しては、爪が元通り生えてきても不思議ではないと思う。

 そもそも細胞外マトリックスなんて、細胞の外(まわり)にある物質で、細胞は含まれていない(細胞と同様、生体維持にとって大切な物質は色々と含まれてはいるが)。念の為にWikipediaで細胞外マトリックスを調べてみたが、間違ってはいないと思う。細胞1つ1つがレンガだと例えてみるのなら、細胞外マトリックスはレンガ同士をくっ付けるセメント、レンガを積み上げて出来た塀や建物が指に相当する、といった感じだろうか? そのセメントに当たる細胞外マトリックスの成分で出来た粉を切断部位につけていたら、失ってしまった指先が、つまり指の細胞(骨、肉、爪など)も含めて元の形に再生したというのだから、驚きだ。一体どういう仕組みでそうなるのだろうか?

 肝臓は少々切り取っても、(同じ形、大きさかどうかは知らないが)元に戻る位、復元力が強いという話は知っているが、指はそういう訳にはいかない(肝臓の様に再生能力がある訳ではない)。それが細胞外マトリックスという魔法の粉を付けただけで元に戻るとは。。。それも、指紋も復元したという。なんだか凄い世の中になりつつあるのかもしれない。

 もしこれが本当なら、同様の事故で既に指先を失った人の指にも応用出来るではないだろうか? あくまでも自分のイメージだが、無くなった指先を、再度薄く切り開いて傷口を作って、そこにその粉を付けたらいいんじゃないか、と考えてしまう。

 そう思っている時に、舌癌(lingual cancer, cancer of the tongue)で舌を半分程切除してしまった知人に会う機会があった。無くなった舌を補う為に、自分の腕の皮膚を移植(transplantation)したそうだが、それでもしゃべり難そうである。その人にこの細胞外マトリックスが実用化されれば、舌を元通りに戻せる時代が来るかもしれない、と話してみたが、反応は薄かった。この人も科学分野の人だが、私と同様、急にこんな話を聞かされてもイメージし難かったのだろう。

  英語は非常に苦手であるが、もしこの原論文を手に入れられる機会があれば、読んでみたい気がする、非常に興味深い話の一つだ。

2008-12-21

2008/12/21 (日) ナノバブル

 忘れないうちにと思っているうちに、早や2週間も経ってしまったが、12月7日に、TVで「ナノバブル」という言葉を知った。バブル(bubble)は泡であるが、ナノ(nano)というのはその大きさの単位で、1mmの100万分の1の大きさが1ナノ(1nmと書き、1ナノメートルと読む)、つまり0.000001mmという非常に小さな泡という事が分かる。ちなみに、マイクロという単位もあるが、これはナノよりも大きい単位である。1マイクロメータは1μmと書くが、1mm=1,000μm=1,000,000nmとなる。

 この「ナノバブル」とは一体何なんだろうかと聞いていたが、非常に興味深かったので、ちょっとだけメモしておこうと思う。

 ナノバブルは文字通り、ナノサイズの泡の事で、小さ過ぎて目に見えるサイズではない。ペットボトルに入れた水を、いくらシャカシャカ振ってみても、到底ナノサイズの泡は出来ないと想像出来るので、世の中にはまだまだ知らない面白い技術もあるものだと感心したが、TVでは、そのナノバブルを発生させた水の新しい能力が話題になっていた。

 最初は他の目的で開発・使用されていたこのナノバブルの水には、不思議な現象があり、例えば、使用後のナノバブルの排水溝付近で、その水に接触している(水草だったか、雑草だったか聞きそびれたが)草の成長が著しいというのである。それに注目したある研究者が、調べていくうちに、シャーレに培養したガン細胞(cancer cell)をナノバブルで作った培養液で培養(culture)してみると、通常の水で作った培養液では死なない癌細胞(通常なら培養液中で増える)が、かなりの割合で死んでしまう事を発見したという。

  どういう作用機序で、癌細胞が死滅するのかはこれから解明が進められるのだろうが、色んな意味で応用が効きそうな、面白い現象だと感じたので、書き留めておく。

2008-11-11

2008/11/07 (金) Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績

 今日、成人ALL(acute lymphocytic leukemia;急性リンパ性白血病)におけるHyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績という記事を見つけた。これは私が入院中に受けたのと同じ名前の治療法である。この記事を見るまで、私はHyper CVADという治療法を受けているとずっと書いてきたが、正式には『Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法』を受けてきたと書き直した方が良いかなと思った。

 入院当初の説明では、化学療法(chemotherapy)は計8回あり、それが終わったら、移植(transplantation)を考えた方が良いと言われていたが、全く同じ化学療法を8回受けるのではなく、実際は最初に【Hyper CVAD療法】を受け(1クールという)、それを終了すると次(2回目)は【High-dose MTX-Ara-C】という別の薬剤を扱った化学療法を受ける(1クール)。ここまでで1セット(即ち、合わせて2クール)である。この繰り返しで計4セットこなすと、合計8回の化学療法を終える事になるのだ。それは理解していた。

 この化学療法名は使われている主な薬剤の頭文字を使っている様で、詳しく書くと、Hyper-CVAD (hyperfractionated cyclophosphamide, vincristine, Adriamycin, and dexamethazone) / high dose MTX-Ara-C (high dose methotrexate and cytarabine)と、とにかく長い。確かに前半は「ハイパー・シー・ヴァッドを行ないます」と聞いた覚えはあるが、後者に関しては「メソトレキセート・アラ・シー」等という言葉ではなく、「二つ目の化学療法をします」としか聞いた覚えがない。その為、この化学療法の名称が「Hyper C-VAD」なのだと勘違いしていたのかもしれない。

 ちなみに私の場合は、化学療法最終段階(丁度、末期癌が発見された母の入院やごだごだ等が急に起こった時期にあたるのだが)で、それまで順調に経過していた私がひどい肺炎(pneumonia)を起こしてしまった為、先生は私に8回目にあたる最後の化学療法【High-dose MTX-Ara-C】を受けさせる事を断念され、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を急がれたという経緯がある。

 さて、今回見つけた記事は、自治医科大学医学部紀要で、ここで成人のALL患者(*)に実施された、Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績である。この抄録は2005年末に発表されており、その治療成績は2000年から50ヶ月分(4年2ヶ月)の統計であるが、無病生存率42%、全生存率(**)85%と良好であったという。発表時点で、いわゆる5年無病生存率迄は出ていないが、これを発表した病院で以前実施されていた治療法での長期生存率(多分、5年全生存率と思われる)が35-40%というから、それに比べると非常に効果のある治療法に思われる。この治療法は、寛解期の早い時期に、移植可能な患者には移植する事を前提としている様なので、その上での成績でもあると考えられるかもしれない。
*一般に、成人ALLと小児ALLとは区別して考えられている様だ。自分はいつも不思議に思っているのだが、同じALLでも、その治癒率は成人と小児との間に大きな開きがある。そして治療法も異なると主治医から聞いた事があるので、ここでの治療成績は、成人のものであって、子供のALLの場合とは別物と考えた方が良いと思われる。
**全生存率というのは、恐らく無病生存者と、治療後、何がしかの病気を発病したとか、具合の悪い人とかも全て含んだ、要するにその時点で治療後生きている全ての人の割合を指しているのだと思う(もしかしたら再発してもとにかく生存している人も含んでいるかもしれない)。


 私が治療を受けた病院もこの同じ治療法を導入しており、入院当初、4年迄の成績しか出ていないと先生から言われていた記憶がある。自分が入院したのは2006年3月なので、主治医から受けた説明とこの結果はほぼ同じの様な気がする。その当時私は、比較的新しく開発された治療法の一つなのだと理解していた。そして、血縁でHLA(骨髄の型;組織適合抗原:Human Leucocyte Antigen)の一致する人がおれば、移植する方向で治療にあたるともいわれていた点も、この抄録の治療方針と一致している様に思われる。

 参考までに、入院中主治医から訊いた話なのだが、日本の病院では、成人ALLの患者にこのHyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法を採用するグループと、JALSGというグループでの治療法を採用する病院の2つに大別されるらしい(もちろん、他の治療法もあるそうだが)。Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法は、外国で開発された治療法、JALSGは日本のグループが研究開発した治療法、との事である。

 私はこの2つの治療成績を比較するつもりはない。どの病院もきっと、これがベストと思われる治療を行なってくれていると思うからだ。特に初発の急性白血病の場合、大抵は緊急入院、即、治療開始となる事が多いと思う。すると、自然と入院した病院が採用している治療法になる流れとなるから、治療法選択の時間が無いと考えてもいいのではないだろうか? それに、病名宣告を受けたとしても、先ずはどんな病気なのかを知るのに手一杯で、どの治療法がいいか、等と悠長に調べている時間はないだろう。それが可能な人は最初の治療開始前に、初めから自分の納得いく治療を実施している病院へアクセスするがベストだと思う。

 治療成績も気になる所だろうが、緊急を要し、かつ長期にわたる治療となる病気なので、多分この状況で大事なのは、入院した病院の先生を如何に信頼出来るか、という事の方が大きいかもしれない。既に治療が開始されたが、どうも病院や先生に信頼が置けないと思ったならば、取り敢えず外出許可が出る位の状態になったら、転院する方向を考えてもいいかもしれない。しかし、一旦開始された化学療法を途中で変えるのでは無く、同じ化学療法を行なっている病院を探して移った方がいいのではないかと思う。というのは、運悪く、早期に再発(recidivation)してしまった場合、同じ薬剤を使った化学療法では白血病細胞(leukemia cell)をやっつける効果が余り期待出来ない為、他の化学療法を選択する事になると、かつて先生から言われた事があるからだ(寛解後5年位経過した後の再発ならば、再度同じ化学療法も検討の余地があるらしいが)。つまり、再発の場合、その薬剤耐性の白血病細胞であると考えられるので、違う薬剤を使った治療を検討する事になるらしい。だから、もし治療途中で転院し化学療法も別なものに変えてしまったのなら、万が一にでも早期再発した場合の、次なる治療法の選択肢が少なくなってしまうのではないかと思うからである(詳しい事は主治医にご相談下さい)。それに、自分に合っている治療法が何なのかなんて、比較する事等出来ない。それより、先生と病院を如何に信頼出来るかの方が、人間本来がもつ治癒力を高められそうな分、いい様な気がする。

 話がそれてしまったが、この化学療法の治療成績が出ている抄録が掲載されたアドレスを、参考資料として、最後に記載しておく。

 奇しくも明日は移植後丸2年、入院から起算すると2年7カ月以上が経過した事になる。幸い、再発せずに無事経過している。運もあるかもしれないが、この治療法は私にはよく合っていたのかもしれない。最後まで心配してくれていた母にも、心の中で、「無事ですよー」と感謝の祈りを捧げる一日である。

参考:『当科における成人ALLに対する地固め療法としてのHyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績 (Consolidation therapy of adult acute lymphoblastic leukemia with Hyper-CVAD / high dose MTX-Ara-C) 』

2008-10-18

2008/10/18 (土) 白血病(leukemia)の新しい治療法開発記事

 先日、長姉から、白血病(leukemia)の新しい治療法が開発されているらしい、とメールを貰った。参照ページを見ると、骨髄性白血病や骨髄異形成症候群(MDS:myelodysplastic syndrome、DMPS:dysmyelopoietic syndrome)での予後不良因子である「Evi-1(転写因子)」の活性を抑え、化学療法(chemotherapy)を併用すると、より生存率(survival rate)を延長させる事が出来る可能性があるというものであった。

 ところで、自分は急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)である。入院当初「骨髄性の顔も少し持っている」と、にわか患者にとって理解不能な事を先生から言われたが、検査の結果、それは不良因子ではなかったと教えて貰えている。結局どっちなのかと聞くと「骨髄性の顔をちょっと持ったリンパ性(lymphocytic)であるが、リンパ性白血病と考えて下さい」とややこしい事を言われた覚えがある。そして、治療法は、リンパ性白血病の治療法が採られる事になった。その後、骨髄性(myelogenous)とリンパ性(lymphocytic)では治療法が異なる事、同じ白血病でも、成人の骨髄性とリンパ性との間で生存率に大きな差がある事、また、同じリンパ性白血病でも、子供が罹病した場合、成人よりもはるかに治癒率が高い事も知った。

 折角姉が、参考になると思って教えてくれた記事ではあるが、今の自分には関係ないなぁ~っと、ちょっと残念であった。しかし、自分も発病当初、自分の病気を知る為に、随分とあちこちにアクセスして調べた記憶がある。今回、骨髄異形成症候群という、聞きなれない病名が出てきたが、この病気は、治療の難しい貧血(anemia)で、白血病へ移行しやすく、骨髄造血細胞の異形成性がみられる疾患の総称だそうだ。この病気や骨髄性白血病の人が、偶然このブログを訪れた場合を考えて、この記事を紹介しておこうと思い直し、この文章を書く事にした。

  紹介して貰った記事は、「薬事日報」というページの『難治性白血病治療に光明-「Evi‐1」を標的に白血病幹細胞の増殖制御へ』という所にある。何かの参考になれば幸いである。

2008-08-29

2008/08/27 (水) 卵巣組織保存について

 未婚女性の癌患者にも卵子(egg;ovum)保存の道が開かれた事については、以前「生亜紫路2006」の『2006-03-27(月) 卵子保存について』という所で少し書いた。これに関係する内容であるが、今日、卵巣組織凍結保存・移植(transplantation)によって、妊娠が可能といった内容のNHKニュースが流れた気がした。丁度TVの電源を入れた時に、ちょっとだけ耳に聞こえたので、詳しい内容はよく分からなかったが、気になったので、インターネットで調べてみた。

 このニュースのおおもとは、卵巣組織凍結保存・移植によって、抗癌剤(anti-tumor agent)の治療後に閉経(menopause)してしまった女性の出産(birth)に、ベルギーの研究者らが成功したという2004年の研究だと思われる。ベルギーの研究者らの報告は、だいたい以下の様な内容である。

 きつい抗癌剤による化学療法(chemotherapy)や放射線(radiation)治療等を受けた女性の癌患者は、早期閉経と不妊(sterility)にみまわれる可能性が非常に高い。これの治療法として、癌患者が治療(化学療法)にはいる前に、卵巣(ovary)の組織片を採取凍結保存したという。癌治療後にその女性患者はやはり閉経してしまったが、その同じ患者の卵巣に、凍結保存していた卵巣組織を採取6年後に移植した結果、女性は間もなく月経(menstruation;menses)・排卵(ovulation)が再開し、11ヶ月後に妊娠(pregnancy)も確認され、無事出産したという。

 今日のNHKニュースでは、日本とアメリカとの共同研究らしい。臨床結果は、そこまでの成果ではなさそうである(患者から採取した組織片を他の人に移植している点)が、卵巣組織保存の技術は出来てきた様に読み取れる。

 急性の血液疾患等では、即時治療開始を迫られ、卵子保存にしても、最初の治療後、なるべく早い時期に、という。いくら早期に卵子採取が可能になったとしても、色々な壁があると思う。卵巣組織採取なら、卵子採取より更に確実に採取・保存が可能の様な気がする(よく知らないが)。入院時に、血が止まり難い等の症状がある人は、すぐの採取は難しいかもしれないが、卵子保存で悩んでいる女性患者にとっては、希望が増えたニュースではないだろうか? まだまだ研究途上という気がするが、もし卵子保存をするのなら、その時に卵巣組織も、卵子が無理でも卵巣組織だけでも凍結保存しておきたいと、自分なら考える。現在の日本なら、取り敢えずでも高い技術で冷凍保存さえしておけば、治療が終了する頃には更に卵巣移植技術や成績もアップしているのではないだろうかと思うからだ。採取する組織片はベルギーの論文では12-15mm×5mmの組織片5個だそうだ。今ならもっと小さくても可能かもしれないし、開腹しなくても(小さな切開で)取り出す方法があるのではないかと思う。治療によって閉経・不妊になってしまう可能性が高い以上は、(現時点では)残しておかない限り、あとで悔やんでも卵巣の移植治療のしようがない。

 原論文のタイトルは「Livebirth after orthotopic transplantation of cryopreserved ovarian tissue」(Lancet誌、2004年の論文)だそうなので、読める環境におられる方は、こちらもご参照下さい。

2008-05-13

2008/05/13 (火) レストア腎移植(restore kidney transplant)に動きあり

 愛媛の宇和島徳洲会病院で万波誠医師が行なったレストア腎移植(restore kidney transplant;修復腎移植)関連で、動きがあった様だ。『2008/02/13 万波医師の病気腎移植について1』と『2008/02/13 万波医師の病気腎移植について2』に、この万波医師の行なった移植について書いたが、自分は、これは素晴らしい医療技術の開発というか、発見なのではないかと考えている。しかし、日本が誇ってもいいと思われる成果に対して、厚生省はそれを詳しく調べもしないで認めようとはせず、それどころか万波医師から医者としての命をも断とうとしている。。。とてももどかしく思っていた件だ。

 今日ニュースで流れていたので、ネットで検索してみたのだが、その記事の一部をMSNの産経ニュースから引用する。
【厚生労働省が「原則禁止」の指針を示している病腎移植について、超党派の国会議員約80人でつくる「修復腎移植を考える超党派の会」(会長・杉浦正健元法 相)は13日午前、会合を開き、第三者による客観的評価などを条件として、容認できるとする見解案をまとめた。今後、厚労省や移植関連学会などと調整をはかりながら、議員立法化も検討するとしている。(後略)。】

  万波医師が行なった「病気腎移植」、改め「レストア腎移植」については、万波医師が所属する徳洲会グループが発行している徳洲新聞があり、そこのメディア情報の所で、『腎臓移植医療について』というページがあるので、興味を持たれた方の参考になるかもしれない。万波医師を応援する人が増えてきた様で、やっといい傾向が見え始めてきたのではないかと思っている。

2008-05-03

2008/05/03 (祝) 血液培養について

 入院中、急に38度を超える発熱(pyrexia、fever)があると、ナースが慌ただしく動き出し、すぐに先生が採血に来られる。毎回このパターンだったので、この緊急採血はナースに任せられない、先生の役目らしいとそのうち理解した。それも、朝の定期的な採血と違って、血液培養の為に必要と言って、たっぷりと(確か)2本も、専用の大きな瓶に採られるのである。そして、即座に抗生剤(antibiotic)等の点滴が追加され、その中には6時間おきに点滴するものもあるので、例えばせっかく治療の点滴から解放されていても、一旦抗生剤点滴が始められてしまうと、その時間には病室にいなければならないので、余分なストレス材料が増えて、嫌なものであった。また、抗生剤が効かず(合わず)、通常の血液検査で調べているCRP(C-反応性蛋白、炎症反応を見る:C-reactive protein)値が全然下がらない時は、抗生剤の種類が途中で変更されたりする事もあった。

 こんな感じで、いつも即座に抗生剤等の点滴を開始しているのに、すぐに結果が出ない血液培養(ナース達は『血培(けつばい)』と短縮して呼んでいる)を何故するのだろう、培養(culture)というのに何故こんなに血液を一杯採られるのだろう(培養なら血液も少しで十分じゃないのか)と、不思議に思っていた。そして、自分の場合、大抵数日後に、何も検出されなかった等と言われていたと思うが、それでも一旦、抗生剤の点滴が開始されると、ある一定期間は点滴を続けなければならなかった。

 これに対する回答にあたる内容が、ある医学新聞に出ていた。これは血培の検査基準というか、ガイドラインの事とかが書かれた記事である。

 まず、血液培養は、菌血症(bacteriemia、bacteremia、bacteraemia)の正しい診断の為に必要で、それによって血液内の菌(bacteria)が何かを調べて適切な治療を行なうものだそうだ。この血培から菌を検出する為に最も重要なポイントは、血液量で、多ければ多いほど菌の検出率が高くなる、とあった。ここで初めて、自分の勘違いに気が付いた。つまり、血培という言葉だけのイメージから、血液を培養するのだと思い込んでいたが、血液の中にいるだろう菌(発熱を引き起こす原因になった菌)を培養して増やし、それが何かを調べる検査だったのだ(…だと思う…)。つまり、血液量は血培の検出感度を最大化する為の唯一、かつ最大の重要要素で、2セットの血液合計量は少なくとも20ml、出来れば40ml欲しいだそうだ。

 次は、何故、何本も採血するのかという点だが、これは皮膚に常に存在する菌等が採血時に間違って血液培養の血液に混じってしまう危険性がある為、もし培養結果が陽性と出ても、1ヶ所から採血しただけの結果では、間違って混入してしまった菌なのか、本当に血液内にいた菌なのか分からない。その誤判断を避ける為にも別々の部位(出来れば3か所)から採血して、調べる必要があるのだそうだ。

 それから、血液内の菌とか微生物は、発熱後、時間が経つほど検出率が低下するのだそうだ。菌血症には3タイプあり、「一過性の菌血症」(一般に15-30分以内に解消される)、「持続性の菌血症」(これは常に菌が流入する為比較的発見され易い)、そして病院で最も良く扱うのが3つ目の「間欠性の菌血症」で、血液に予測不能な菌の流入があるらしい。これも15-30分以内に菌の排除があるというから、体温が上昇し始めてから1時間や2時間も経っていては検出率も落ちてしまうという事だ。体温が38度以上になってから血培というは遅いとも書いてあった(ただ病院のシステム上、38度以上と規定している所が多いらしい)。発熱したとわかったら間髪入れずに先生が採血に来られる理由は、この事から理解出来た。

 私は幸いにも、急な発熱から重篤になる事はなかったので、何故先生達は大騒ぎするのかと漠然と見ていた記憶があるが、場合によっては命にかかわる事もあるという。死亡リスクに関しては、先ずは総合的な諸症状等から判断して初期治療(点滴等)を実施し、次に血液培養の結果に基づいて、もし初期治療の種類が不適切と判明すれば、そこで適切な治療に変更するだけで、死亡率がグッと減るのだそうだ。その新聞に出ていたグラフを見ても、初期治療の判断が実は不適切であるのに、それに気がつかない(血培も行なわない)場合は、死亡リスクが約2倍以上に増えていた。

 あと、採血の至適タイミングという所に書かれていた事を参考までに転記しておく。
・ 血培の採血は悪寒(chill)や発熱が認められたら出来るだけ早期に行なう事。決して遅れない事(発熱後の時間経過が長い程、微生物検出率が低下する)。
・ 血培は5分以内の間隔で採取すべき。細網内皮系により一過性及び間欠性の菌血症の状態は15-30分で処理される。
参考:CLSI (Clinical and Laboratory Standards Institute)


  入院中は血を採られ続ける事にうんざりしていて、発熱しても血を採られる事にかなりストレス(stress)を感じていたが、全てにちゃんと理由があって、患者を守ってくれていたんだと、改めて感謝である(とはいえ、再度同じ状況に遭遇して血を採られる事になったら、きっとストレスを感じるだろうなとも思う)。

今回再認識した事は、たかが発熱と侮るなかれ、であるか。

2008-03-26

2008/03/24 (月) iPS細胞の件

 今回の診察の折にまたiPS細胞 (induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細胞)の事について先生に2、3訊いてみた。iPS細胞のニュースが流れて間もない頃に、初めてこのお話を先生にした時は先生ご自身余りはっきりとその内容をご存じでなかった様で、ES細胞(Embryonic Stem cells:胚性幹細胞)の事かと言われていた様に思う。その時私がiPS細胞は白血病(leukemia)治療にも応用可能ではないのかを訊きたかったのだが、以前急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)には急性骨髄性白血病(acute myelocytic leukemia;AML)で行われている様な遺伝子的治療が難しいとか何とかいう説明を受けた事があったと思うが、その時同様に無理(適応外)ではないかといった様な事を言われたと思う。何故無理なのかどうしても理解出来ないので、ここでうまく説明する事が出来ないのだが。。。

 先生は当然このiPS細胞研究をされておられるわけではないのでご存じなくても無理はないが、さすがに今日はご存じであった。そこでもし、その研究での組織提供者か何かを募集していたら、場合によっては協力したい旨を先生に伝えた。それというのも3月16日のテレビでiPS特集があり、その中で、将来、患者と正常者とのiPS細胞を作り比較検討もしながら治療応用への研究を進めると言った事が話されていたからだ。iPS研究がされている大学と同じ大学の病院だから、募集の話も真っ先にこの病院で働く先生方の耳に入ってくるのではと単純に考えての、一方的な申し出なのだが、私のイメージとしては、自分の細胞で自分本来の血液を作り、かつ白血病細胞(leukemia cell)を殺す遺伝子か何かを組み込んで戻す事が出来るのではないか(しかもそう難しくはないのではないか)と考えていると先生に話した。更に今後、万が一再発(recidivation)した時に、まだ治験(clinical trial)段階(これはあくまでも、その時せめてそこまで研究が進んでいて欲しいという希望的予測の段階であるが)だったら是非それに協力したいとも考えているとも話してみた(これは1月27日の所にも少し書いた)。

 現在の私の場合、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)をして自分の血液ではなくなってしまったのだが、こういった方法を使えば自分の血液に戻れるのではないかという事も少し話したのだが、これを聞いて先生は、それをするとGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)に有効かもしれませんね、といった感じの事を言われた。私も自分の血液に戻れたらGVHDが無くなるのではと思っていたが、もしそれをするとしてどんな感じで血液を戻す事になりますか、と仮定での話しをしてみると、作った自分の血液を今の私の体の中に入れて、血液を混ぜる様な形(共存させる様な形)になるのはないかといった事を言われた。先生の考えでは、移植した骨髄液(血液)でのGVL効果(graft-versus-leukemia effect:ドナーの造血細胞が腫瘍を攻撃する事による抗腫瘍効果)を狙いつつ、自分由来の血液を入れてGVHDを和らげる事が出来る可能性のある方法として言われたのだと思う(そういう感じに聞き取ったのだが、もし勘違いだったら失礼)。先生も私もiPS細胞研究の専門家ではないが、先生はお医者さんである。返ってきた答えの視点は私の思いとは少し違っていた。私は100%自分の血液に戻っても白血病細胞を殺す事がiPS細胞の技術で出来るのではないかと思っているのだが、理論的に無理なのだろうか? また夢ばかり先行して的外れの事を考えてしまっているのだろうか?? 

  それでもiPS細胞研究にはわくわくするものがある。

2008-03-16

2008/03/16 (日) iPS細胞特集

 今夕、TVでiPS細胞 (induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細胞)の特集があった。ヒトの皮膚から万能細胞が出来たという、あの素晴らしい研究の特集である。

 2月15日に流れていたiPS細胞の続報では、ヒト皮膚由来のiPS細胞は癌発生率が高いのが問題点だったそうなのだが、それが、マウスの胃や肝臓細胞から作ったiPS細胞では発癌率が大きく減少する成果を得たという内容だったと思う。まだヒトの細胞ではなくマウスでの実験段階だが、大きな前進と言えよう。

 私がこの研究に非常に期待している話は2008年1月27日にも既に記したが、この時点では漠然としたイメージ(直感)だけで私の病気にも応用可能だと思って書いていたが、今日の放送の中で、将来的に応用可能な病気の中に白血病(leukemia)の名前もちゃんと挙げられていた(書かれている順位は低かったが)。自分の解釈に間違いはなかったのだと安心した。ちなみに、このiPS細胞の医療への利用範囲は広く、心臓を始め、肝臓等の病気治療にも応用出来ると考えられている。

 血液の病気になってしまって、私の場合はもう自分自身の血液では再発(recidivation)の危険性が高いから、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を等と言われたが、実際、移植後に色んな形で現われるGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)という、一種の拒絶反応みたいなもの(移植した血球が、自分の体を攻撃する)が、退院後もずっと続き、こんなに痛く辛いものとは思いもしなかった(私のGVHDの症状は多分非常に軽いのだろうと思うので、こんな事を書いたら、もっときついGVHDと闘っている患者さん達に申し訳ない気もするのだが、だるくてしんどいのは真実なのでどうしようもない)。

 そんな中での今回のニュースである。私個人のイメージとしては、iPS細胞で血球を作るのは、他の臓器よりも比較的簡単な部類だと思う。そしてiPS細胞なら、単に自分の血球を作るだけでなく、その血球に、化学療法(chemotherapy)後にもまだ残留しているかもしれない癌化した白血病細胞(leukemia cell)を殺す遺伝子か何かを組み込んだキラー細胞(killer cell)みたいなものも作って他の血球と一緒に患者の体に戻す事で、GVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)の心配もない、体に優しい治療が早期実現可能になるのではないかと期待してしまう。

 iPS細胞の研究には大きなプロジェクトが立ち上がったという。今後ますますの成果を期待する。

2008-03-10

2008/03/10(月) へパリンNa製剤で死者?

 米国で、血液の凝固を防ぐヘパリンナトリウム製剤(米国バクスター社製)を使用した患者に死者が多数出、日本でもその原料供給元が米国バクスター社の場合と同じ企業から作っている製薬会社が、自主回収を始めたというニュースが流れた。『えっ、今なんて言った?!』

 このヘパリンナトリウムヘパリンナトリウム(Heparin Sodium)というのは、入院中は大変お世話になった液状の薬品で、私の場合はIVHカテーテル(intravenous hyperalimentation catheter、中心静脈カテーテル)の管(カテーテル:catheter)内で血液等が固まったりして詰まらない様にと通す液で、点滴前後はもちろんの事、へパフラッシュと称して、点滴のない日でも一日に一回は必ずナースにして貰っていた。半年以上、入院中ほぼ毎日である。人工透析(artificial dialysis)患者の方なら2日に一回はお世話になっているだろう。へパリンは、人体にも普通に含まれる多糖類の一種で、抗癌剤(anti-tumor agent)と違い、通常、どう考えても命にかかわる様な危ない成分とは思われないのに、40人以上が死亡したと聞き、と愕然としたのだ。
 
 これは、米国では昨年12月からアレルギー(allergy)反応や死者が出始めているそうだが、幸い日本ではまだ副作用が増加したという報告が無いと聞いて、一先ず安心したが、それでもニュースで聞いた、自主回収を始めた製薬会社名(扶桑、テルモ、大塚)が気になり、私は入院中どこのが使用されていたのかを調べてみると、見事この中の一社であった。現在自分の体調は何とも無さそうとはいえ、長期にわたって使用されていた者としては、余りいい感じはしない。

 もっと情報が知りたく、検索した結果、『宮崎正弘の国際ニュース・早読み』 というのに辿り着いた。ここに非常に詳しく書かれているので、興味ある方は是非読んで頂きたいが、このヘパリン製剤を作る基となる豚の腸由来成分を、原料供給元の企業は、なんと、中国から輸入しているというのだ。農薬入り餃子じゃないが、何ともやりきれない気分になる。まだそれが原因かどうかは解明されてはいないが、こう相次いで“中国”という言葉をマイナスイメージのニュースで聞くと、一体、昨年末に中国で何が起こったのだと勘ぐりたくなってしまう。

 いずれにせよ、人工透析患者の方々にとってこの製剤は必要不可欠であろうと思われるし、その他入院患者にも非常によく使われる薬剤と思われるので、一刻も早く安全な原材料でヘパリンナトリウム製剤を作って、今回の回収分を補って欲しいと願わずにはいられない。

2008-02-29

2008/02/29 (金) メタボ、メタボと言うけれど

 メタボ、メタボと騒がれているが、肥っていても健康に過ごしている人がいる。

 メタボとは、メタボリック・シンドローム(metabolic syndrome)の略で、代謝症候群と訳される。なんだかよく分からないのでWikipediaで調べてみると、メタボとは、『内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖症(hyperglycemia)・高血圧(hypertension)・高脂血症(hyperlipemia)のうち2つ以上を合併した状態をいう』そうだ。最近の使われ方では、太っている人を指しているイメージがあるが、太っていると成人病等、色んなリスクが増える確率が高くなる事から、リスクを減らす為にも、太り過ぎの人は痩せましょう、という運動か何かが始まるらしい(??)。

 しかし、世の中には丸々と太っていても、殆んど何の問題もない体質の人もいる様に思われる。それの回答の様な記事を今日見つけたので、ちょっと書き留めておこうと思う。

 昨年12月5日号のJAMAという雑誌に報告された論文(JAMA 298, 2507-2516, 2007)で、60歳以上の高齢者を対象に脂肪蓄積(肥満)・体力と死亡率(全死因を含む)の関係を調べたものらしい。なんでも12年間の追跡調査の結果によると、肥満も体力(fitness:健康増進の為に色々な身体運動を行なう事)も死亡率と有意に関係があったという。このデータを、太っている人と痩せている人、体力のアル・ナシを区別して調べてみると、体力のある人ほど死亡率が低くなるという結果が出たが、これに体型の要素を入れても死亡率に変化がなかったというのである(ちょっとややこしくて、うまく説明できないが)。つまり、太っていても痩せていても体力があれば死亡率が低いという事が分かったというのだ。当然、体力がないと死亡率は高いという結果になる。この話を読んだ時に、今まで不思議に思っていた事が何となく納得出来るなぁと感じた。『そうだ、きっと太った人で健康に過ごしている様に(私にとって)みえる人達は、体力があるんだ』と。

 これは60歳以上の高齢者を対象に調べた論文なので、60歳以上に限って言うならば、太っている人に、単に体重を減らす事を勧めると言うよりは、体力を付ける事の方が大切ですよ、と言えるのかもしれない。現在、肥満=悪、という風潮があるが、実は「肥満よりも運動不足の方が悪い」という可能性が示唆されたのだ。これからメタボ健診か何かが始まるそうだが、この論文の結果なども踏まえ、単に腹周り□□cm以上は駄目、というのではなく、体力面のチェックも入れて多面的に診断してみてはどうだろうかという気もする。

  ところで、現在の自分はと言うと、入院前よりは少々痩せてしまったが、体力面では非常ーーに無くなってしまった。病気に勝つにも体力勝負という感覚があるのだが、元来ものぐさな性格。痩せるのが辛いと言う人同様、なかなか実行(と言うより継続)が難しい。それでも少しずつ体力を付けていきたいと努力はしている。。。

2008-02-15

2008/02/13 万波医師の病気腎移植について2

 今日、愛媛社会保険庁は病気腎移植を原則禁止、万波医師に保険医登録取り消しのニュースが流れた。何と日本は情けないのか。。。愛媛社外保険庁に止めて欲しいと嘆願するにはどうしたら良いのか、私にはちょっと入口が分からず、どうかそうならないでと祈るばかりである。

 前回、『2008/02/13 万波医師の病気腎移植について1』を書いたが、私はもともと、自分の死後、誰かのお役に立てるのなら臓器を提供してもいいなぁとは思っていたが、自分自身は、原則、臓器の移植は受けたくないという立場を取っていた。拒絶反応(rejection)の事もあるが、提供される臓器が亡くなられた人、或いは脳死(brain death)状態の人からのものであるという点で、色々思う所があったからである。これは私個人の意見であって、移植を否定している訳ではなく、移植を待ち望んでいる人には一日でも早く良い適合臓器が見つかる事を祈る。提供してもいいなぁと思っているだけでなく、もっと早く行動に移す(登録する、臓器提供カードを持つ等)べきなのだろうと、自身反省している。

 重病で苦しみ、移植を待ち望む人に対して、日本はまだまだその提供数が足りないという。たとえ不幸にも亡くなられた人に臓器提供の意思があっても、色々な事情で出来ない場合も多いという(これは、何も亡くなった人だけに当てはまる事ではなく、骨髄移植の様に自身の死後でなくても提供出来る場合も然りである)。適合者が見つかるまで待っていられないと、血縁者が生体肝移植や生体腎移植を受けた、というニュースも今では珍しくなくなってきた様に感じる。

 そんな中、従来廃棄されてきた病気の腎臓が、移植に適応するという万波医師の発見である。そして、この移植によって非常に多くの患者さんが重篤な病気から解放されているというのである。例えば知人に人工透析(artificial dialysis)を受けている人があるが、週に3回、数時間かけて全血液を透析しなければならない。これは体験した人しか分からない辛さがあるらしく、透析中もその後も大変で、透析の日は一日だるくてどうしようもないという。当然私も頭の中で大変なのだろうと想像する位しか出来ないが、実際は相当しんどいそうだ。それが一生涯続くのである。そんな多くの患者さん達に、移植の窓口が広がるという、大きなニュースなのに、何故にこうも否定思考が先行するのだろうか?

 万波医師は日本で否定されているこのレストア腎移植の臨床結果等を海外で発表しようとしたら、発表出来ない様に、また日本のある学界から圧力がかかったというニュースもあったが、今年1月25日の国際移植学会(海外)で高い評価を得、クィーンズランド大学の二コル教授も40数例実施してみて、その後の癌の発生は今のところ無いという結果を得ているという。
※これは先にも書いたが、ドナー(donor:提供者)腎由来の癌の再発はないという結果で、移植された人は絶対癌にならないという意味ではない事にご注意頂きたい。レストア腎移植を受けた為に、その病気(癌)がレシピエント側(recipient:移植を受ける側)にも癌を引き起こす事はないと考えて欲しい。

 万波医師は腎移植経験(通常のものとレストア腎と両方を含むのだと思うのだが)650例以上、82歳という高齢の患者への移植成功の実績があり、いずれも日本記録だそうだ。豊富な経験から発見したであろう、今回のレストア腎移植、臓器が不足している日本だからこそ発見につながったともいえるこの手術を、もっと正しく理解し、広まっていってほしいと思う。世界の医学会も認めるこの万波医師のレストア腎移植、その成果を讃えこそすれ、非難されるところは無い。素晴らしい着眼点により見つけた新しい臓器移植の灯を消してないけないと思う。

 愛媛社会保険庁は一刻も早く、この理不尽な決定を取り下げるべきである。そして日本も、iPS細胞 (induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細胞)の研究と並び称される位素晴らしい(と私は信じる)、新しい移植治療を発見された万波医師に大きな拍手を送ろうではないか。

※追記:  自分は白血病(leukemia)になった為、今後献血(blood donation)はもちろんの事、臓器提供も出来ないと、以前、先生に質問した折、教えて貰った事がある。それでも何かないかと調べてみた角膜(cornea)バンクもダメだった(08/01/27参照)。しかし、ここ迄色々と書いてみて、『あれっ?もしかしたら、自分の臓器でも移植に使える可能性があるのかも?』という気がしてきた。現在の日本の状態ではもちろん使っては貰えないだろうが、何故病気腎が移植に適応しているのかという作用機序の解明が進めば、自分の様に血液の癌になった人の臓器も腎臓に限らず移植可能になっていくかもしれない。

2008-02-14

2008/02/13 万波医師の病気腎移植について1

 病気腎移植、初めてこの言葉を聞いたのは入院中(2006年暮れ)のテレビのニュースであった。何でも、病気で切除した腎臓を、腎臓の病気で移植を待つ他の患者(patient)に移植(transplantation)したのだという。それも1例や2例どころではなく、相当数に上り、移植した腎臓の中には癌(cancer)だったものも含まれるという衝撃的な内容であった。

 それまで、病気の臓器移植なんて聞いた事も無かったし、実際そういう事が可能なのかどうかを含め、さっぱり理解出来なかった。そして連日ニュース(というか、ワイドショー)ではこの事件をセンセーショナルに取り上げ、この移植を行った万波誠医師の事を、移植学会に正式な手続きも取らず未承認の医療行為をした医者だとか、患者を実験台にして病気の腎臓を移植したのではないかといった様な(悪や黒いイメージの)内容で報じたてた。カメラに追い回される万波医師は顔に困惑の色を浮かべ、黙して語らずであった。その映像を見て、一体この医師はどういう人なのだろうと不思議な印象を受けた。名誉やお金儲けの為だけで無謀な手術を行なったという人には感じられなかった。

 その後、この万波医師のニュースは確か去年、海外の医学学会で病腎移植の結果を発表するというのがあって、ホォー、やはり悪い人ではなかったのかな、と何となく納得した覚えがある。しかし、病気腎移植という内容については、本当に大丈夫なのかを理解させてくれる材料は未だ(私の中には)無かった。そもそも腎移植に使えるのなら、わざわざ取り出さなくても(摘出しなくても)、その腎臓の持主の中で病変部位を切除するだけで十分だったのではないか、という単純な疑問があった。愛媛の宇和島徳洲会病院、普段脚光を浴びる事も無かったこの病院で、一体何が起こったのか?

 私の疑問に対する答えは、ある雑誌によってもたらされた。それは新潟から発信される『ミ誌』という、非常にユニークな科学季刊誌である。そこには、たとえ移植された腎臓が、癌の為摘出された腎臓だったとしても、移植された人の中ではその癌細胞が再発する可能性は低いと書かれていた。私は専門家でもないので、うまく説明できないが、私なりに(長くなるので)少しだけまとめてみると、次の様になる。

 その解説者によると、癌細胞は遺伝子異常により、抗原(antigen)性が正常細胞とは大きく違っている為、特殊な型を除いて、臓器移植に用いても再発(recidivation、recurrence)・転移(metastasis)しない筈であるという、病理学的予測が立つと述べられていた。また癌でなく、ネフローゼ(nephrosis)を起こした病気の腎臓でも、その腎臓の持主(ここではドナー(donor:提供者)にあたる)の中では機能しなくなっているのに、移植された別人の体内(新しい環境――ここではレシピエント(recipient:受容体、被移植者)にあたる)では、その病気を起こす因子が無い為か、腎臓が正常に機能し始めるという。つまり病気の腎臓も適切な環境下におくと(移植すると)、自己修復機能が働いて正常に動き出すという。これが、何故病気腎臓が移植しても大丈夫なのかという事を説明していた。

 これを読んで、万波医師という人は、なんと画期的な移植治療を発見(開拓)されたのだと感心すると共に、何故世の流れは、世界初・日本発のこの偉業を称えずに、バッシングする方向に向かうのだろうかという思いが湧いてきた。せめて同業のお医者さん達はもっと万波医師を擁護してもいいと思えるのに、その動きも無かった(というか、一般人の私には殆んど耳に入らなかった)。もしかして、T大でもK大でもなく、その他有名な医大でもない、弱小病院(宇和島病院さま、失礼!) 発の大発見というのをやっかんでいるのであろうか?  (こういう嫉妬(例えば『丸山ワクチン』の事等が思い浮かぶが)は医学の世界に限らず、ままある事だとも想像してしまうが。)

  万波医師の病腎移植に未だ否定的立場をとる日本移植学会やマスコミに対し、『ミ誌』では、今まで廃棄されてしまっていた臓器のリサイクル、という新しい道を拓いた万波医師の偉業を称え、全面的に万波医師を応援している。そして、最近では、『病腎移植』の代わりに、『レストア腎移植(restore kidney transplant)』という言葉が提案されているそうで、その言葉でこの医術の説明がなされている。これは“修復された腎臓の移植”という意味である。確かに、一般人の私が、病腎移植と聞くと、移植されても病気のままの腎臓というイメージもあるので、レストア腎移植の方がはるかに良いと思う。実際移植後、ちゃんと機能してくれるのだから…… 早く世間一般にもこの言葉が浸透すれば、この病腎移植の誤ったイメージも変わってくるのではないかと思う。とにかく、マスコミの中にはスキャンダル的な扱いをするのではなく、この医術の正しい知識を知らせる機関がもっとあってもいいのではないかと思う。
参考:次回『2008/02/13 万波医師の病気腎移植について2』

2008-01-27

2008/01/27(日) iPS細胞と角膜

 最近注目しているiPS細胞 (induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細胞)のニュースで、マウスの体細胞(somatic cell)から角膜(cornea)になる前段階の幹細胞(stem cell)にまで分化させる事に成功したという記事を読んだ。実は今まで角膜は拒絶反応(rejection)がないから一番移植(transplantation)し易いと思っていたのだが、この記事の中で、拒絶反応があるという事を初めて知った。

 ところで昔から臓器提供の意思表示カードは持ってはいたが、当時まだ始まったばかりでよく分からない点も多かった事もあり、どの臓器にするか等を具体的に書き込むには至らなかった。色々思う所もあったが、それでも角膜や骨髄(bone marrow)ならバンクに登録しても良いと思っていた。骨髄は登録の数を増やす意味と何より自分が死ななくても自分の意思で提供出来、提供した骨髄は血液の様にまた元の量に戻るという点で脳死(brain death)の様な複雑な事情もないと思ったし、角膜なら拒絶反応がないと思い込んでいたからだ。

 私が白血病(leukemia)になって骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)が必要となった時、姉達の他、数名がすぐに登録してくれたそうで、その気持ちがとてもありがたく励ましになった。姉達は臓器提供意思カードも持ち歩いていて、色んな臓器に丸印が付いていた。しかし現在の私は白血病になった為、もうどの臓器も提供は無理で、献血(blood donation)も出来ない。しかし角膜だけは提供出来るのではと思って、日本アイバンク協会のHP(http://www.j-eyebank.or.jp/ )を見てみた。すると、眼内の癌・白血病の人は提供出来ないと明記されており、やはりという気持ちで少し落胆した。

  最近は、iPS細胞といった研究等が進歩して、免疫拒絶のない自分の細胞から必要な代替細胞が作れる様になり、将来△◇バンク等を作る必要のない世界が来る様になればいいなぁ~っと、思っている。今後、万が一再発した時、もしiPS細胞関連で治験(clinical trial)があれば、出来ればそれを受けて、一日でも早い安全な臨床適用の為の研究に役立ちたいとまで、この研究に期待している。

2007-12-08

2007/12/08(土) iPS細胞について 

 iPS細胞 (induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細胞)の可能性は大きい。

 iPS細胞とは体細胞から、心筋細胞や神経細胞等、様々な細胞に分化する能力を持つ万能細胞のことを言う。有名なES細胞(Embryonic Stem cells:胚性幹細胞)は卵子(egg;ovum)を利用するので倫理的に色々と制限が多くあるのに対し、今回の研究でのiPS細胞は皮膚細胞からでも万能細胞を作り出せるという点で、倫理的なハードルもかなり低くなるのではないかと思われ、今後の利用分野も広がるのではないかと、この記事を見て思ってしまった。

  生物の体は一つの細胞が何百ものいろんな細胞に分化して肝臓や心臓等をつくっていくのだが、この細胞の分化は一方向であると考えられていた。それが、ヒトの皮膚細胞という、分化の過程で完成してしまった状態の細胞からもう一度なんにでも成り得る万能細胞に戻れる事が証明されたというのが今回の研究の内容で、またそこが凄い点でもある。今後もこの研究から目が離せない。

2007-11-21

2007/11/21(水) iPS細胞、ヒト皮膚から万能細胞

 ヒトの皮膚からES細胞(Embryonic Stem cells:胚性幹細胞)に代わる万能細胞が作られたというニュースが流れた。京大の山中先生が実現したそうだ。皮膚なんて、細胞の中でももう充分に分化が済んでしまった部類だと思われるのに(もう皮膚になると運命づけられているので皮膚にしかなれない細胞だというイメージなのだが)、その細胞からもう一度、何にでもなり得る細胞に変身させたとは、なんだか凄い研究が出てきたみたいだ。

2007-08-25

2007-08 痛みの科学 

 痛み(pain)というのは周囲の人に理解され難く、その為、実際の痛みに加え、精神的にも苦しむ人も多いという。母が、色んな痛みで凄くしんどくだるいのに、来る人来る人に元気そうで安心したといわれ、誰もこの痛みは分かってもらえないらしいとぼやいていた事を思い出す。私もかなり理解していたつもりで、頭で随分理解しようと努めていたが、今リウマチ様関節痛(rheumatoid arthralgia)になってみて初めて母の痛みや辛さの一端を実体験として知る事となった。

 私もまた、いつも元気そうだと皆から言われ、心配かけずに済んでいる事は喜ばしいと思っている。そして私の関節痛(arthralgia)も、本物のリウマチ(rheumatism)等で苦しんでいる人とは比べ物にならない位軽いだろうし、痛みの進行も最近止まっている様なので、ありがたい事だと思っている。しかしこんな関節痛でさえ、なんとも痛くしんどく、ずっと持続しており、最近では飲み薬の痛み止めも余り効かなくなってきている。しかしこの痛みというのは、血が出る訳でもなく、腫れ上がったり熱を持ったりしている訳でもなく、あくまでも本人の感覚で、外から見ても分からないものである。しかし怠けていると見られたのか、さっさと引っ越して復職せよといった事を退院後、さほど日が経っていない時期にいわれた事は、非常なショックとして心に突き刺さっている。

 ところで昨夜、NHK教育の『サイエンスZERO』【解明進む痛みの科学】再放送を見た。前回偶然少しだけ見て気になっていた番組である。ガン(cancer)等の疼痛にモルヒネ(morphine)を使用しても中毒(poisoning)になり難いという番組の宣伝が気になっていた。

 将来、ガンでモルヒネのお世話にはならない事を祈りつつも、知識として情報としてモルヒネがどんな物なのか知る事はいい事だと思う。ちょっと番組の内容を自分なりに箇条書きで書き留めておく。

★ 痛み止めには消炎鎮痛薬、局所麻酔薬(local anesthetic)、麻薬(narcotic)の大きく分けて3種類あり、それぞれ効き方に特徴がある。

・ 消炎鎮痛薬は痛み物質・痛み(痛い所そのもの)に直接効く。

・ 局所麻酔薬は神経に直接作用して、痛みを感じさせなくする。

・ モルヒネ等の麻薬は脳で作用し、痛みが末梢神経(peripheral nerve)から中枢神経(central nervous system)へ伝わる時の痛みの信号をブロックする。

★ 何故痛みがあるとモルヒネ中毒になり難いのかという実験と、説明は次の通りだった(星薬科大学薬品毒性学教室鈴木勉教授、成田年准教)。

・ 健康なラットにモルヒネを注射すると、快楽物質であるドーパミン(dopamine)の量が倍に増えるのだが、脚に痛みを持つラットではドーパミンの量はそれ程増えないという実験結果がある為、痛みがあるとモルヒネ中毒になり難いと考えられる。

・ 脳の中には快楽物質であるドーパミンを分泌するドーパミン神経があるのだが、痛みの無い状態でモルヒネを投与し続けると、モルヒネはドーパミン神経の受容体(レセプター:receptor)を活性化する為、快楽物質ドーパミンの量がどんどん増え続ける。脳内にドーパミンが極端に多い状態が長引くと依存が生じ、その結果、いずれモルヒネ中毒になってしまう。

・ 痛みを感じると大脳で快楽物質であるドーパミンの分泌が抑制される。これは、痛みがある状態の時、ドーパミン神経の活性を抑える別の受容体、即ちドーパミン抑制受容体に、痛みによって出る物質が嵌まる為、ドーパミンの分泌量は抑えられる事になる。その一方でモルヒネは、痛みを抑える受容体に作用し、痛みが神経に伝わらない様にする。この為、痛みがある場合モルヒネを投与しても中毒になり難く、しかも痛みを抑える事が出来る。

・ 痛みがある時にはモルヒネを生体が欲しており、それを十分量補う事によって痛みを普通に近づける事が出来る、と考えている。

★ モルヒネで痛みそのものを抑えながら治療をすると、ガンそのものの症状が軽くなる事も見られるという。


 番組で気になる部分のまとめは以上である。痛みの仕組みは大体分かった。しかし問題は麻薬の処方(prescription)の仕方であろう。

 母がかつて話していたが、モルヒネは投与の仕方も結構難しいという。そして意外とその専門医は少なく、モルヒネの本当に効率的な使い方を知らない医者が多いとも言っていた。母は生前、もしガン等で入院する事があったら痛み止めのモルヒネを使ってほしいとも言っていたが、末期ガンの時はモルヒネの投与量が難しいのかもしれないが、母の場合、私が外泊許可を得て見舞った時には「よく効かなく、痛い」といっていたのと、効き過ぎてか(?)ずっと眠り続けている場面しかなかった。

  私の場合、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)後、粘膜やその他の激痛等にモルヒネの点滴があったのだが、中毒になるといけないと、最小限量しか点滴されず、痛みに効いているとは感じられなかった。ところがそのモルヒネをもうそろそろ中毒にならない為にも止める時期だといって急に止められた。すると、全身更にひどい痛みや形容し難い苦痛に苦しむ様になった。どうやら効いていないと思っていたモルヒネがそれでも効いていたらしい。それに加え、先生からはその痛みの原因の一つにモルヒネの離脱症状(withdrawal symptom)もあるかもしれない、とも言われた。そういう可能性があると分かっているのならば、いきなり止めるのではなく、徐々に減量していって欲しかったと思ったのだが。。。 ここら辺に先生と患者の間のギャップを感じる。なかなか理想通りに物事はいかないものである。

2007-08-12

2007-08-11 (土) 卵子保存についての記事

 未婚女性の卵子凍結保存実施についての記事を見つけた。既婚女性の卵子保存は認可されていたが、白血病(leukemia)等を含め治療で不妊(sterility)になる恐れのある未婚女性の卵子保存が認可されたのは今年1月の事だ。それが実施されたと言う報告の記事だった。この件では悩んでいた(そして私の時はまだ認可されていなかったが、一部試行されている所があるらしかった)だけに、同じ悩みを持っているだろう女性にとって、選択肢が増えて良いと思うので、まだ知らない人の為にも、ちょっと書いておこうと思った。

 その記事を見ていると、関連記事として『未成熟卵子、凍結保存し出産成功・カナダチーム、誘発剤不要』という見出しも発見した。その記事によると、排卵誘発剤(ovulation-inducing agent)を使わずに卵子(egg;ovum)を取り出し、それを体外で成熟(maturation;maturity)させてから凍結保存し、その後に授精(insemination)させて子宮(womb;uterus)に戻す方法で赤ちゃんを出産(birth)させる事に、カナダの医療チームが世界で初めて成功したという内容だった。知らなかったが、排卵誘発剤というものは体に負担が大きくかかるらしい。

 私の場合、緊急入院時に卵子保存の説明が1回あったが、卵子保存のタイミングは女性の場合、化学療法が終わり、移植を受ける前の時期だと聞かされていた。その時に再度詳しい説明があると思っていたのだが、結局、先生からの卵子保存のちゃんとした説明は無く、チャンスを逸してしまった。。。というより、移植直前に、卵子保存に十分な退院期間も無かった事に加え、早く移植(transplantation)を、早く移植を、という感じに周りからせき立てられる雰囲気で、私が卵子保存を希望しているかどうかの再確認も先生達からはして貰えなく、強く申し出る事がはばかれ、涙を呑んだ。年齢的に微妙であったからかもしれないが、私もすぐに良い卵子得られなければ卵子採取に時間がかかると言う話をどこかのHPで見た様な気もしたので、移植を急いでいる様子の先生に言い出し難かった。

 カナダチームの今回の成果は、未成熟卵子からでも最終的に妊娠(pregnancy)出来る道を拓(ひら)いた。この方法でも正常な妊娠出産が可能と知っていれば、もう少し詳しく、もう一歩踏み込んで、卵子保存について考えていたかもしれない。詳しい方法が出ていなかったので良く分からないが、排卵誘発剤を使用しなくても良く、しかも未成熟卵子なら、どのタイミングでも採取出来る可能性は大きいので、例えばケモ(化学療法:chemotherapy)とケモの間の、短い外泊時でも採取が可能になるのではないかと思う(実際はどうなのかは不明なので、あくまでも私の推察なのだが)。病気が分かって、ケモなどで卵子が傷つく前に、男性の様に治療の初期に卵子保存も可能になるのではないかと、期待出来る成果だと解釈している。

  最近、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を受けた女性でも、妊娠・出産した人もいるらしい事を知ったが、決して皆に当て嵌まる事とは言えない。病気の治療法自体も早く進歩して欲しいと願うが、QOL(quality of life)の一環として、選択肢が増えるのは患者にとっても朗報ではないだろうか。

2007-06-26

2007-06-22 (金) アポトーシスと癌治療

 NHK TVで「爆笑問題のニッポンの教養『ヒトはなぜ死ぬのか?~生化学 田沼靖一~』」という番組を偶然途中から見た。田沼氏と言えばアポトーシス研究で有名な先生だ。大学院でアポトーシス関連を研究テーマに実験等をしていた事があるので、そのままつい見入ってしまった。

 アポトーシス(apoptosis)とはプログラムされた細胞死(programmed cell death:細胞自滅)とも言われるが、怪我とかで細胞が炎症(inflammation)を起こして死んでいくネクローシス(necrosis:壊死)とは違い、オタマジャクシの尻尾がカエルに変態する時に消えてなくなる現象に例えられるが、細胞が予めプログラムされた時期に炎症無しに自ら細胞死を起こして除去される現象である。

 TVでは、なんでも先生はヒトのアポトーシス遺伝子を発見し、それを応用して、ガン細胞(cancer cell)にアポトーシスを起こさせる遺伝子を設計していると言う。つまり、ガン細胞をアポトーシスという現象で殺してしまえば副作用や炎症無しにガンを除去出来るではないか、という発想だ。

 いくら、とてもよく効く抗癌剤が出来てきたと言われても、それに付き纏う副作用は辛い。それは抗癌剤によってガン細胞のみならず、自らの正常な細胞も傷つけられ、恐らくネクローシスによって死んでいく為、炎症を起こしてしまう等という事もあり、痛く苦しいのだろう。それを押さえる為に一杯薬を投与する。しかし、その薬自体もまた別の副作用を起こす可能性があったりする。話で聞くのと、図らずも実際に体験してしまった現在とでは、更に思いが違ってくる。

 ガン細胞除去にアポトーシスを利用する方法、実現化にはまだまだ時間がかかるだろうが、凄く期待したい、なんだか嬉しいお話であった。尤も、この番組のテーマはそういう事ではなく、表題にもある様に『ヒトは何故死ぬのか?』というものだったのだが。。。