2008-05-10

2008/05/10(土) ジェネリック医薬品について

 最近ジェネリック(generic) 医薬品とかいう言葉がCM等でも良く聞かれる様になった。効き目・成分は同じだが、値段が安いとかいう、要するに正規薬(オリジナル薬)のコピー商品(薬)だと自分の中では理解しているが、自分としては『ジェネリック医薬品は極力使いたくない(飲みたくない)派』である。

 普通に“generic”を辞書で引くと、『商標登録されていない』という意味等が出てくるが、ここでいうジェネリックとは、新しく作られた薬の特許期間終了後に、それをまねて製造・販売される、化学的には同一成分の医薬品の事で、俗にゾロ製品ともいうそうである(聞いた事ないけど…)。オリジナルの薬よりも安価である事が多いので、ジェネリックにすると薬代が安くなる。その一方で、いくら、有効成分・含量が全く同じであっても、製剤上の違い等から、生体内での吸収・代謝(metabolism)の動態が微妙に異なる事も多くあるそうで、安易にジェネリックに変更すべきではないとする意見もあるという。
※080530追記:例えば、『バクタ錠(Baktar)』と『バクトラミン錠 (Bactramin)』は有効成分の含量は同じだが、その薬の添加物(錠剤の形にする為の成分等だと思う)は両者で違っている。錠剤1個に含まれる添加物の量は、有効成分と比べると大きな割合を占めている。製剤方法も当然違っているだろう。添加物一つを見てもこうなのだから、いくら有効成分が同じだと言っても、作用が異なる可能性は、十分考えられると思う。

 さて前回、自分は『ジェネリック医薬品は嫌だ派(即ち、正規薬派)』と書いたが、これは母からの影響もある。当然母も正規薬派である。こんな事があった。

 ビタミン剤に【アリナミン F(Alinamin F)】というのがあるが、これのジェネリック版に【アリ▽△ン】という非常によく似た名前のビタミン剤がある(そう母から聞いたので、ジェネリックだと信じているが、もし違っていたら失礼)。疲れた時等に飲むと良く効くと、母が時々自分の貰っている薬から余った(飲まずに残った)分を私にもわけてくれていたが、アリナミンの方が値段が高いのでと言って、アリ▽△ンをくれる方が多かった。その時、母は「成分は同じと言うけど、アリナミンの方が効く様なので、アリナミンをお願いしても、往診に来て下さる先生の病院ではアリ▽△ンしか処方してくれへん」と言って、アリナミンの方は昔からのかかりつけのお医者さんに処方(prescription)して貰っていた。私はせっかくただで母から貰ったビタミン剤なので、それまではサプリメント(supplement:栄養補助食品)等飲む習慣はなかったが、腰を痛めてからは鎮痛薬(analgesic)の他に、アリナミン又はアリ▽△ンも1日1錠飲む様になっていた。

 ある時、体中とても疲れてしんどいと母に言った事があった。すると、「だまされたと思って、アリナミンを3錠飲んでごらん」と言われ、アリナミンの方だと念を押された。飲み方も、3回に分けるのではなく、1回に3錠飲めという。1日3錠位飲んでも大丈夫なのだが、そもそもビタミン(vitamin)は飲み貯めが出来ず、必要量より多く取っても余分なビタミンは体外に排出されるという話をこの時初めて教えて貰った。そういう仕組みなのに、何故か過剰摂取すると、疲れが取れるという。つまり母曰く、過剰投与によるショック療法(shock therapy)だそうだ。

 だまされたと思って3錠飲んでみたが、2、3時間経っていただろうか? 炊事でもしていたのだと思う。いつの間にか体が非常に軽快になっているのに気が付いた。そう、疲れが取れて楽になっているのだ。ビックリしてすぐに興奮気味に2階の母に報告しに行くと、「そうでしょ」と満足気。

 もう一つ、これに関連した話がある。それは家まで母の往診に来て下さっている先生から聞いた話だそうだが、「先生の患者さんの中で、このショック療法を知っている人がいるらしい」と母が言う。その患者さんは(多分在宅で)かなり具合の悪い人だそうだが、先生が勧める色んな点滴を断る(必要無しという)のに、時々、ビタミン剤の点滴を先生にお願いするそうだ。詳しい事は忘れてしまったが、多分アリナミンの類のビタミン剤を通常濃度の3倍か10倍か、とにかく母も驚く位の濃さで点滴の注文をするという。自分が体験して驚いたアリナミン3錠に含まれる量と比較にならない位の大量投与である。すると、その患者さんはしばらくは元気になるそうなのである。

 当時私は早速、職場で非常に疲れた時に、ビタミン剤のショック療法試してみた事があった。その時は手元にアリ▽△ンしかなかったので、それを3錠飲んでみたのだが、あの時の様な疲労回復が見られなかった。早速母にそれを報告すると、母は「そうやろうな」という。いくら成分が同じと言っても、作り方が違うと、必ずしも同じ効き目になるとは限らないと、今回ジェネリックについて調べた辞書での説明と同じ様な事を話してくれた。

 製薬会社が苦労して研究開発して作った薬の特許が切れると、同一成分で同様の薬(ジェネリック)が出現する。製薬会社が1つの新薬を作るのには莫大な資金が要るし、薬が出来たとしても副作用等の調査もクリアしなければなかなか市場に送り出す事が出来ない(更に発売後深刻な副作用等が報告され使用出来なくなる場合もある)のに対し、ジェネリック(後発薬)の方は比較的簡単に出てくる(と思う)。ジェネリックでも世に出て数年経っても良好な結果を得ているものであれば、ある程度安心出来るかもしれないが、果たしてジェネリック医薬品のうちどれ位が、正規薬と同じ効能を発揮するかは疑問である、といった感じの事等、母は製薬会社に勤めていた経験上、思う所が随分と多い様であった(『いい加減な事をして薬を作って出している所も無きにしも非ず(なきにしもあらず)……』といった感じの事を話してくれたのを覚えている)。

 ごくありふれたビタミン剤で、その大きな違いを体験した私は、それを聞いて、すっかりアリナミン信者になってしまった。もちろん、この時以来『正規薬派』になってしまったのは言うまでもない(別にその当時は色んな薬にお世話になっていた訳ではないのだが…)。そして、それ以降アリ▽△ンの事を「あー、(アリナミンに似た)【バッタミン】の方ね」等と冷やかしていって、母とニヤニヤとしあう様になったものだった。それでもビタミン剤であるのには変わりないから、普段はお安いバッタミンの方を、そして母から教えて貰ったショック療法(我々は『アリナミン・ショック』と名付けていた)をしたい(即ち、どうしようもなく疲れた)時は、必ずアリナミンという風に使い分ける様になった。

 ところで現在は、入院以降、ケモ(化学療法:chemotherapy)や、治療の為の飲み薬を多数処方された為、アリナミン等のビタミン剤は飲んでいないし、退院後も(その時点ではまだ原因不明だった) 肝機能(liver function)の値が安定しなかった為、先生の診断に雑音が入ってはいけないと思い、(自主的に)飲まない様にしている。でも、もうそろそろいいかな…? と考えている。
※ネットで調べてみたところ、アリナミンはビタミンB1欠乏症の予防や治療に服用し、私が飲んだアリナミンF (25mg)糖衣錠ならば、通常1~4錠を1~3回に分けて服用するが、必要(効果・効き目)もないのに漫然と飲み続ける事は避ける様にとある。また頻度は非常に少ない様だが、副作用(side effect)に胸やけや下痢等が起こる事があるそうだ。ビタミン剤といっても薬は薬なので、これを読んだ方は、無闇に真似等されず、ちゃんと説明書(処方)に従って服用願いたい。あるいは主治医に相談して頂きたいと思う。

  もう一つ、CMに『例えばどんな薬…、だけでなく、どこの薬か…、考えた事がありますか…』というのがある。控え目なCMなので、最初、気が付かなかったが、これはジェネリック医薬品を宣伝するCMに対抗するCMである様だ(多分そうだと思うのだが…)。はっきりと言葉にして言っていないが、暗に、ジェネリックではなく先発薬(新薬;正規薬、要するにオリジナル)を選びませんかと、婉曲に言っている様に思われる。自分も原則、先発薬に重きを置いているのには変わりない。どんなクスリ(薬)にもリスク(risk)は付き物だろうが、同じリスクがあるとしたら、それら(薬効や副作用について)のデータ数も当然多いであろう先発薬(オリジナル)の方が、後発薬(ジェネリック)よりも安心度(の確率)は高いと私は思っている。その一方で、正規薬の中には想像以上に非常に高価なものもあるのを知り、ジェネリックにしたい気持ちもわからないではないなぁ、と思ってしまうのも事実である。しかし、極端に値段が変わらないのなら、そして自分で薬を選べるのなら、今後も迷わず、先発薬(オリジナル)の方を選びたいと思っている。

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