2007-08-10

2007-08-09 (木) 放射線量

 骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を受けるに当たって、放射線(radiation)の全身照射(whole body irradiation;total body irradiation)というのがあった。内容は3日間に渡って、全身に総計12グレイ(gray)の放射線を浴びるというものだった。

 骨髄移植の時は、通常の化学療法(chemotherapy)よりもっときつい治療がなされる。移植直前に致死量(lethal dose;fatal dose)を超える化学療法(抗癌剤投与)と、これまた致死量を超える放射線の全身照射治療によって、自らの血球を殺してしまい、ドナー(donor:提供者)の骨髄液(bone marrow aspirate)受け入れ態勢を整えるのだ。移植直前にドナーからキャンセルが入る場合もあると言うが、その時はとにかく大変だという。なにせ、移植をする事を大前提に、致死量に及ぶ抗癌剤投与等の過酷な治療を施してきているのだから。

 ところで、この12グレイという線量(dose)は十分致死量だとは聞いていたが、例えば肝臓ガン (cancer of liver:hepatoma)とかで肝臓のガン細胞のみに集中的に放射線を当てる場合、もっと多い放射線量(例えば50グレイ等)になる。これは局所的に当てているので患者(patient)自身は死ぬ事なく、ガン細胞だけをやっつける、という効果を狙っているのだそうだ。しかし全身照射となると50も当てるとそれこそ本当に命にかかわるそうである。その話を聞いてから、一般に全身照射での致死量(放射線量)はどれ位なのだろうか、とずっと思っていた。

 昨夜、たまたまNHKの番組で原爆(atomic bomb)関連の放送をしているのを数分見た。そこでのナレーションで、致死量の何倍でした、とか言うセリフが聞こえ、慌ててメモを取った。『81グレイで致死量の10倍以上』、『0.24グレイで致死量の1/30(30分の1)』。。。

  単純計算すると、7.2~8.1グレイが原爆での放射線での致死量となる。数字だけを見るのなら、治療とはいえ、結構な線量を浴びていた事になる。ふと『諸刃の剣』という言葉が浮かぶ。生きる為に致死量を超える治療を受けてきた事に、改めて、なんともいえない溜め息が出る。


追記:8/13の通院時にKB先生に訊いてみた事を追記する。

・ 移植前治療で、放射線照射は総量12グレイだったが、例えば1回に12グレイ当てるのと2グレイを6回に分けて当てるのとの違いを訊くと、やはり少しでも時間を空けて小分けに当てる方が人体へ及ぼすダメージが少なくて済むそうだ。 

・ 被爆量は総線量の12グレイと考えるのか、それとも小分けに照射したので12より小さくなるのかを訊いてみた所、トータル12グレイになるそうだ。

・ 致死量を超える12グレイを全身に浴びているが、死なないのは何故かと訊くと、骨髄移植をしたから死ななかったので、していなければ死んでしまう、という。

確かに、骨髄移植の為に放射線治療を受けているのだ。なんだか頭が混乱していた。私がちょっと勘違いしていたのは、致死量と言っても、即死という訳ではなかったという所か。とにかく自分の体ながら、大変な治療を受けたのだという事と、人体の強靭さ柔軟さに驚く他は無いかもしれない。

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