2007-05-05

2007-05-05 (土・祝) 我が家の藤の花

 例年ならゴールデンウィークに見頃になる我が家の藤の花。近所ではちょっと有名な藤見スポットになっている。紫藤と白藤の2本が家のベランダをカーテンの様に覆っている。私が剪定していた頃は降るほどの藤の花が咲き乱れていた。最近は植木屋さんに頼む様になって花の量が格段減ってしまったのが少し(自分としては)不満だったが、それでも満開時は圧巻である。この時期はよく母と、藤見酒を楽しんだものだった。そして藤見の来客も多かった。時には母のかつての部下や仲間達を呼んでの大宴会を開いた事もあった。


 去年は入院していた為、初めて藤見が出来なかった。今年は晴れて母と共に藤見が出来る予定だったのだが、母も私の入院中、急逝してしまった。そして、家をそのままおいておく事も相続する事も反対され、ふるさとであるこの家は売りに出されてしまったので、来年はもう観る事が出来なくなった。骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)は成功し退院はしたが、自宅療養(通院)に変わっただけで、まだ経過観察の治療中であり、社会復帰までの回復には時間がかかる。それを分かってもらえない。すぐにでも荷物をまとめて家を出て行く様にとまで言われた。白血病(leukemia)は5年無病生存してやっと治ったと言われる。せめて2~3年は売却を待って欲しかったが、理解を得られなかった。相続して残す事は十分出来たのに。。。悲しい。辛い。苦しい。どうして家をおいておけないのか。ずっとここで育ってきたのに、大好きだった母との思い出も一杯なのに。

 家を閉じなければならないとか引越ししなければならないとか、そんな煩雑な事は、こんな辛い事は、今は考えたくなかった。治療に(療養に)専念したいし、早く病気を治したいからだ。一方で、どうしても体力が追い付かないというか、体が言う事をきかないので、今しばらくは出来るだけ何も考えない様にして日々療養しようと思っている。きっと身を守る為の本能が働いているのだと思う。ちょっとでもこの事を考えてしまうと、辛くて悲しくて涙が止まらない。

 今年の藤は例年より一週間ほど早かった。満開のお天気のいい日、1人静かに2階から眺めた。白藤の甘い匂いがやさしく漂ってくる。熊ん蜂が忙しく蜜を集めている、そんないつもと変わらない風景。これで最後か。

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