めまい専門のTU先生の診察を受ける前に、聴力検査(audiometry)というものがあった。
検査は別室で行われた。検査室の奥には防音設備の整った小部屋があり、そこにはベッドと机と椅子があり、机上にはヘッドホンとコードにつながった押しボタン等が置いてあり、小部屋自体の天井灯は消してあるのか、薄暗かった。但し、小部屋内の机側の壁が一部ガラスになっている為、それを挟んで向かい側に検査員の机等があるのが見える様になっており、検査員側の部屋の光(通常の明るさ)がさし込むので、真っ暗という訳ではなく、閉塞感も無かった。
その小部屋の机の前に座る様に指示され、ヘッドホンを付けられた。検査方法は、先ずヘッドホンから『プップップッ』といった感じの音を流すので、聞こえている間は押しボタンを押し続け、聞こえなくなったらボタンを押さない、というのを繰り返しますという説明を受けた。検査員はその小部屋から出てドアを閉めたので、ただでさえ静かな検査室だったのが、更に静かに感じられ、ヘッドホンを付けられた自分の耳から自身の脈がドクンドクンと聞こえる程であった。
検査は右耳から始められたが、プップップッという音が次第に小さくなっていき、『な~んだ、簡単な検査やな…』と気を抜いていたらすぐに今度は同じ音が次第に大きく聞こえだし、慌ててボタンを押し直し、音が途切れるまで押し続けた。『そうか、先ずは大きな音から小さくしていき、その後は小さい音から大きくしていくんだな』と分かったので、次は小さい音から大きくなる時に、聞き逃さない様にと緊張すると、ヘッドホンをされた耳の、ドクンドクンという自身の脈の音が気になり出し、またまた焦ってしまった。良く分からないうちに検査は進んでいったが、一つの音が終わると、音色が変わってまた同じ検査が始まる(だんだん低い音になっていった)。合計7種類繰り返された後、今度は左耳で同様の検査が行われた。
※7種類の音というのは正確に書くのなら、周波数の違いの様で、あとで貰った検査結果表を見ると、125、250、500、1,000、2,000、4,000、8,000 Hz[ヘルツ]の7種類が書いてあった。こちらは左右の耳の鼓膜からの聴力検査で、気導聴力(air-conduction audiometry)というらしく、鼓膜からの聞こえ方を検査している。
それが終わると、一旦検査員さんが入ってきて、「大丈夫でしたか」と声掛けられ、あともう少しだけ検査しますと言って、ヘッドホンをしたままの状態で、額の真ん中にも検出装置らしきを小さな丸いものを付け加えられ、またドアを閉めて外へ出て行かれた。今度は神経の検査なのだという。検査自体は先ほどと同様で、「ぷっぷっぷ」という音が聞こえている間はボタンを押し続けるというもので、5種類ほどで終わった。
※こちらは250、500、1,000、2,000、4,000Hzの5種類で、骨導聴力(bone conduction audiometry)という類の検査らしく、頭骨の振動によって聞こえる音の検査。気導聴力と違い鼓膜等は関係していない聴力だという。
※気導聴力のみに異常がある場合は、感音難聴(sensorineural hearing loss)、気導・骨導の両方の聴力に異常がある場合は伝音難聴(conduction hearing loss)というらしい。後者の場合は、内耳の他、中枢神経系にも問題がある可能性がある。
ちなみに、周波数[Hz]の数字が小さいほど聞こえてくる音程は低音、大きいほど高音である。自分の検査の時は、聞こえてきた音から察するに、高音から順に低音域へと検査が移っていったのだと思う。
引き続き、TU先生の診察室へ行った。一通りの問診(inquiry)が終わると、先ほどの検査結果の表(写真)を見ながら、更に問診が続き、どんな感じのめまいだったのかや、一度きりでもう起こっていないのか等を訊かれた(どんなめまいだったかは1つ前のブログ『2009年02月16日(月) めまいについて』参照)。そして検査結果(写真)を指し示しながら説明等を始められた。
その結果のグラフの見方は、○印が右耳の聴力、×印が左耳の聴力、□印が骨導聴力。縦軸が聴力レベル[dB]で、-20 から +130の目盛りが降順に、横軸は検査した周波数[Hz]で、125~8,000が昇順に並んでいる。聴力レベルの基準値は全周波数において0dBになっている。つまり0のライン横一直線が基準ライン、グラフがその線より下になるにつれ、基準値よりは聞こえが悪いという結果になるそうだ。
※いくつかネットでグラフを見たが、概して、骨導聴力の方が気導聴力より良い様だ。
※その他、詳しくは本文末【聴力について】参照。
先生は、私の主訴(chief complaint)や検査結果から病名を考えておられる様だったが、良く分からないみたいで、「メニエール病なら、もっと右上がりのグラフになるのですが…」と言われる。つまり低周波数になる(125Hzに近い)ほど聴力レベル(デシベル[dB])の数字が大きくなり、高周波数(8,000Hz)に近付くにつれ、聴力レベルの数字も小さくなるという事だ。メニエール病(Meniere disease、Meniere syndrome)というのは以前手に入れた『めまいについて』のパンフレットの中にあって、名前だけは知ってはいたが、聴力検査でグラフが右上がりになるという特徴があるらしい。自分のグラフを見るとやや右上がりかな、という程度。しかし、どこまでが許容範囲(正常範囲)なのかが分からない。それに基準値と言われた0dBラインよりグラフが下なので、どれ位で難聴と言われるレベルなのかを訊いてみると、50dBより大きな数字なのだといわれ、少し安心した。
先生は更に、脳血管性だと片側の耳に異常が出たりするのだが、それもはっきりと現われているという訳ではない、と言われ、めまいがあって、この様な検査結果の人の場合には念の為に脳のCTスキャン検査を勧めているとの事。それはつまりCT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)で脳梗塞(cerebral infarction)の有無を調べるという事なのかと訊くと、そうなのだという。私の両親は2人とも脳梗塞を起こしているという事と、自分は検査した事が無いが隠れ脳梗塞があると思うので、診断が深刻という訳ではないのなら敢えて検査を受けたくないなあ、という気持ちがある事を先生に話した。先生はカルテにそれらを書き込みながら、一応、予約出来る日を調べて下さったが、2月は殆んど満杯で、3月には全く予約が取れない状態であった。あの変なめまいは、頻繁に起こるという訳でなく、検査結果も明らかに異常という訳でもなく、一方で私自身が3月から少し忙しくなる可能性がある為、再度そのめまいが起こる様だったら、その時改めてCT検査も考えてみる、というのでいいかと訊いてみたところ、それでいいでしょうという事になった。
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さて、ここで聴力について調べた事をまとめておこうと思う。
☆~~~★~~【聴力について】~~★~~~☆
先にも書いたが、基準値は0という。昔から耳は良い方だと思っていたので、基準値ライン(0dB)より下にある検査結果のグラフを見せられた時、内心ショックであった。「自分は耳が普通より悪いのですか」と訊いてみたが、そうではなく普通の範囲だと言われたが、どうもこのグラフの見方が良く分からない。貰ったグラフでの聴力レベルは-20~130[dB]まで数字が書いてあり、0が基準と言われてもピンとこない。『本当は、人より聞こえが悪いのだろうか? それとも老化…?!! それなら私の年齢での平均はどれ位?』疑問ばかり浮かび、どうも納得がいかなかったので、帰った後ネットで色々と調べてみたが、検索の仕方が悪いのか、どうも私が知りたい情報がなかなか得られなかった。やっと幾つか見つけた情報をまとめてみると、次の様になる。
基準値が0dB(デシベル:decibel)というのは、健聴者が聞こえる最小の可聴値であり、15~19歳の検査結果が基準になっているみたいだ。ここに出てくるデシベル[dB]という単位は、《ある基準値を決めて、それに対する比率を表す時に使われる単位の事》なのだそうだ。その為、0dBと表示されてはいるが、実際は音が出ている状態で、非常によく聞こえる人では-10dBとか-20dB という、ごく小さな微かな音も聞こえるという結果が出る。自分はここの所が良く分からなかったので、理解しきれなかったのだと思う。
つまり、-20dBに近い程、出力される音の量が小さく(弱い音)、数字が大きくなるにつれ、音の量が大きくなる(強い音)という事になる。例えるのならば周波数(Hz)が違うと「ドレミファ…」に当たる音程が違ってくるのに対し、デシベル(dB)はテレビ等の音の大きさを変えるボリュームに当たると考えると良さそうである。
また、0dBを健聴者と同じレベルという事で1倍とするのだそうだが、それ以外のレベルは、聴力レベルの値を掛け算しているのではないらしい。デシベルがある基準値に対する比率を表している為、例えば、聴力レベルの検査値が、6、10、20、30、40、50、60、80dBと増えていくにつれ、健聴者レベル(0dBを1倍とする)と比べて順に約2倍、3倍、10倍、30倍、100倍、300倍、1,000倍、10,000倍となるそうだ。
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次に、どれ位が許容範囲(正常値)となるのであろうか?
世界保健機構(WHO)による分類というのも見つけたので、参考までに書き留めておくと、●軽度難聴:26~40dB ●中等度難聴:41~55dB ●準重度難聴:56~70dB ●重度難聴:71~90dB ●最重度難聴:91dB以上となる。
この世界保健機構(WHO)の基準に対して、日本でははっきりとした基準がないみたいだ。目安として30dB以下(この数値より小さい数値)ならば正常範囲、今日の先生の説明を採用すると、50dBデシベル以上(この数値より大きい数値)なら、難聴と考えて良さそうだ。ちなみに、聴力レベルが70dB以上から身体障害者手帳が交付されるらしい。
今日の聴力検査は7つの周波数(125、250、500、1,000、2,000、4,000、8,000Hz)で行われたが、検査結果の中に平均聴力レベルという欄もあり、左右の耳の結果が書いてあった。今回は特に異常とも言われなかったので、熱心には調べなかったが、計算式を1つだけ見つけたので、参考迄に書いておく。
『平均聴力レベル』の計算式は以下の通り。
・ 500Hzの結果 = A [dB]、
・ 1,000Hzの結果 = B [dB]、
・ 2,000Hzの結果 = C [dB] と置くと、
【平均聴力レベル(4分法)】= ( A + 2B + C ) ÷ 4
※通常行われる聴力検査では、1,000Hzと4,000Hzの2種類のみである。
※【平均聴力レベル(4分法)】の計算式をもとに、自分の検査結果の数字から推察すると、仮に4,000Hzの結果をD [dB]と置くと、
【平均聴力レベル(3分法)】= ( A + B + C ) ÷ 3
【平均聴力レベル(6分法)】= ( A +2B +2C + D ) ÷ 6となっている様だ。
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では、加齢(aging)によってどのように聴力レベルのグラフはどの様に変化していくのだろうか?
加齢による聴力の低下は、20歳代から既に始まっており、40、50、60歳…と年齢が進むにつれ、全体に高音域、2,000~8,000Hz等といった高周波数の音域から低下する(衰える)傾向があるという。私が貰った検査結果と同じグラフ(座標軸)で表すのなら、30代位迄はどの周波数でも同じ位の値でほぼ横一直線である(正常なら左右両耳が同じ検査値になるそうだ)。それが加齢と共に、2,000Hzの辺りから右下がりの下降を示す感じのグラフとなる。もちろん、個人差もあるので、そこは柔軟に考えれば良いだろう。聴力の加齢による変化を示したグラフの一例を【聴力検査(オーディオメーター)】というページで見つけたので、参考にして欲しい。このグラフを見ると、加齢と共に徐々に全体に聴力が衰えてくる。そして、50歳を過ぎた頃から2,000Hz以上の高音域の聞こえ方が目に見えて落ちてくるのが分かる。
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今回、メニエール病という病気の場合では、この聴力検査のグラフは右上がりのグラフとなるという話を聞いたが、メニエール病と断言されはしなかったので、これ以上詳しくは調べていない。
また、検査結果で、左右の耳で差(異常)があり、身体機能にも左右に差がある様なら脳梗塞を疑い、CTスキャンを撮って調べたりするそうだ。
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ところで、人が聞こえる周波数というのは、20~20,000Hzの範囲だそうで、通常、人の会話の周波数は50~2,000Hz位らしい。75歳以上で周波数2,000Hz以上の高い音の聞こえるレベルが30dB以上(正常範囲外)と悪くなるのを見ると、年を取ると耳の聞こえが悪くなるというのも、なんとなく頷ける。そんな人には大きな声で話しかけなければ、聞き取って貰えない……そして大きな声を出すって、デシベル[dB]が大きいって事じゃないか!
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また、近年ニュースになった「若い人には聞こえるが、大人には聞こえない音」という話の、「若い人に聞こえる音」というのは、周波数にして14,000Hz以上の高音で、20代・30代になってくるとこのあたりの音が聞こえにくくなり始めるそうだ。(※ネットで、この「若い人に聞こえる音」を視聴できるページもいくつかある。興味のある人は試してみると良いが、例えその音が聞こえなかったとしても、音自体は高周波数で出ているので、スピーカー音は最大にはしないで試す事をどのページでも注意している)
自分も試してみたが、14,000Hzは左右共に聞こえた。それ以上の周波数に関しては、ノートパソコンのモーター音が邪魔する中で試したので、精密にはどこまでぎりぎり聞こえているのかは目下不明(そのうちスピーカーを連結して試してみようかなとも思っているのだが……)。一つ分かった事はこれ以上になってくると、より高い周波数になるにつれ、聞こえる音の大きさが小さくなる様に感じるという事だ。つまり、聞こえ難くなってきてしまうという事で、“耳が遠くなった”という表現はこんな感じなのかも、と実感した。そうなると、良く聞こえる人にとってはパソコンのモーター音なども問題ではない類の音なのだという事が分かる。
実際、20,000Hz等は自分には聞こえなかったので音量を上げて試したりもしたが、そのまま12,000Hzの音を試すと、キーンと大きな音が出て、頭が痛くなる程であったからだ。聞こえなくてもそれは老化なのであるから気にせず、無闇に音量を上げない方が無難かもしれない。ここでは敢えて自分が試したページを紹介しないが、『大人には聞こえない音』というのを試す事が出来るページで、《スピーカーの音量を上げない様に注意》しているのは、恐らく聞こえる人にとっては、スピーカーの音量を上げなくても十分大きな音で聞こえるからだと思う。だから、試してみようと思う人は、聞こえなかった場合、ムキになってボリュームを上げるのではなく、このあたりまで聞こえるのかと気軽にチャレンジする方がいいと思う。
※それに、あくまでも個人的なイメージなのだが、たとえ聞こえなくても、頭がキンキンする様な周波数の音が出ているのだから、「聞こえない、聞こえない」と音量を上げて何度も繰り返すと、なんだか体に悪そうな気がする。
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以上、色々と聴力について調べてみたのだが、最後に、自分の検査結果と見比べると、通常なら、横一直線か、次第に(加齢につれ)右下がりのグラフになるみたいだから、やや右上がりの傾向があると言えなくもない。先生はこのやや右上がりのグラフを見て、メニエール病という名前を可能性として言われたのだろう。だが、全て許容範囲内に治まっている(30dB以下)様なので、全体としてみると正常なのでは、と自分の中では考えている。
上述したが、自分にはもう既に小さな脳梗塞(隠れ梗塞)があると思っている理由は、入院する前から、ひどい深酒をした時等に、左目の視力が少し悪くなる(視界が暗くなる) 症状がある事に気付いている為である。そう思ってこのグラフを見てみると、左耳の方がやや聴力が悪くなっている。しかも、今回『大人に聞こえない音』というのを試した結果、高周波数域で左耳の聞こえが右耳より悪かったのだ。そうなるとますます、CTスキャンで自分の脳を見たくないなぁと思ってしまう。きっと脳の右側に点々と梗塞跡があるに違いない。。。。。。。。。。。。。。。。。
軽くまとめるつもりが、こんなに長くなってしまい、検索やPC画面の見過ぎで、頭が痛くなってしまった(頭痛……)。いつもうまく短くまとめられない。。。それこそめまいがしそうだったが、この情報どれか一つでも、誰かの検索の役に立てばいいなと思っている。。。 そして、あの変なめまいが今後、もう二度と起こらないというのが、今の自分にとって一番いいのだと思っている。