2009-02-09

2009年02月09日(月) 細胞外マトリックス

 先日TVで、細胞外マトリックス(Extracellular Matrix)の粉を振り掛けると、切断して失くした指が生えてきたという、驚きの映像を見た。それも人間の指なのだ。

 TVに出た映像は、ヒトの中指の先端(中指第一関節のあたり)が切断されている写真と、指が生えて復元した写真が出ていたが、にわかに信じられない。番組が終わってからすぐに検索して調べてみた。

 なんでも、外国の由緒正しい雑誌に論文も出ていて、治療現場の実用化も近いとか何とか…… また、指を切断してしまって、この粉のお陰で生えてきたという本人がインタビューされている様子と切断された指が“生えてくる”過程の写真も出ている画像がBBCニュースのページにあったが、指の切断写真が真上に近い角度からのものなので、どれ位失ったのか、爪の根元は残っていたのかどうかが、やはりよく分からない。ただ、切断してしまった指先はどこへ行ったのか見つからなかったという。
※BBCニュース内の写真は生々しいので、血とか切断面を見ても大丈夫という人以外は見ないで貰いたいという事をご注意頂きたいが、見つけたBBCのニュース画像は、これ 冒頭にアニメのCMみたいのが流れてから始まる。
※指が再生した人の記事を更に調べたが、どうやら爪を作る能力のある爪の根元部分は残っていて、そこよりは先の部分を切断していた様だ。それならば、爪に関しては、爪が元通り生えてきても不思議ではないと思う。

 そもそも細胞外マトリックスなんて、細胞の外(まわり)にある物質で、細胞は含まれていない(細胞と同様、生体維持にとって大切な物質は色々と含まれてはいるが)。念の為にWikipediaで細胞外マトリックスを調べてみたが、間違ってはいないと思う。細胞1つ1つがレンガだと例えてみるのなら、細胞外マトリックスはレンガ同士をくっ付けるセメント、レンガを積み上げて出来た塀や建物が指に相当する、といった感じだろうか? そのセメントに当たる細胞外マトリックスの成分で出来た粉を切断部位につけていたら、失ってしまった指先が、つまり指の細胞(骨、肉、爪など)も含めて元の形に再生したというのだから、驚きだ。一体どういう仕組みでそうなるのだろうか?

 肝臓は少々切り取っても、(同じ形、大きさかどうかは知らないが)元に戻る位、復元力が強いという話は知っているが、指はそういう訳にはいかない(肝臓の様に再生能力がある訳ではない)。それが細胞外マトリックスという魔法の粉を付けただけで元に戻るとは。。。それも、指紋も復元したという。なんだか凄い世の中になりつつあるのかもしれない。

 もしこれが本当なら、同様の事故で既に指先を失った人の指にも応用出来るではないだろうか? あくまでも自分のイメージだが、無くなった指先を、再度薄く切り開いて傷口を作って、そこにその粉を付けたらいいんじゃないか、と考えてしまう。

 そう思っている時に、舌癌(lingual cancer, cancer of the tongue)で舌を半分程切除してしまった知人に会う機会があった。無くなった舌を補う為に、自分の腕の皮膚を移植(transplantation)したそうだが、それでもしゃべり難そうである。その人にこの細胞外マトリックスが実用化されれば、舌を元通りに戻せる時代が来るかもしれない、と話してみたが、反応は薄かった。この人も科学分野の人だが、私と同様、急にこんな話を聞かされてもイメージし難かったのだろう。

  英語は非常に苦手であるが、もしこの原論文を手に入れられる機会があれば、読んでみたい気がする、非常に興味深い話の一つだ。

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