2009-05-10

2009/05/10 (日) パンデミック

 パンデミック(pandemic)とは日本語で『感染爆発』と訳す。意味は『感染症が世界的に大流行』する事だそうだ。今、巷(ちまた)に豚インフルエンザがこの世界的大流行寸前に迄来ている様だが、パンデミックは、インフルエンザ(influenza)に限らず、どんな感染症(infection)でも、世界的に大流行すれば全てパンデミックという事になる。

 さて、この豚インフルエンザ、日本人にも初の感染者が出たとニュースで繰り返されている。それ以前からも、疑わしい人は詳しい検査で豚インフルエンザでないと確定する迄、隔離(isolation)するという、水際対策が採られている。これら日々のニュースを聞いていて、豚インフルエンザでなかった人はそれで良いのだが、「何何型インフルエンザであった」という報道を聞くと、それ以外の通常のインフルエンザに罹っている人がこんな季節でも意外と多い事に内心驚いている(おまけに、季節性インフルエンザが原因の死亡者数も多い時で年間1万人もいるという)。未だ感染に注意しなければならない自分としては、季節に惑わされる事なく、常に注意しておいた方が無難だと思ってしまう。その一方で、簡易検査で急遽隔離された人達の気分は心身ともに大変だろうなと推察する。

 かつて自分が入院していた時、一度だけMRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)検査に引っ掛かってしまった事がある。MRSAは院内感染(hospital infection)で非常に有名な菌であったが、先生の説明によると「陽性(positive)なので保菌者(carrier)ではあるが、発症はしていない状態」との事だった。しかし、陽性と判明した次の瞬間から、院内でセミ隔離扱いを受ける事となった。

 体温計は入院患者一人に付き一つ専用にあったので問題はなかったが、日に3回ある血圧測定では、いつの間にか私専用の測定器が部屋の片隅に置かれていた。私が偶然触れてしまった器具(共用の物品)等に関しても、ナースは私に気付かれない様にササっと消毒綿で拭いたりするのも何度も見かけた。配膳後の食器の引き取りも別に取り扱っている気配であった。ナースも私の担当医も、私の部屋に入る前後の手等の消毒は、それまでちゃちゃっと済ませていた人も丁寧に慎重に行なう様になった。他にも色々あったのだが、その時はトイレ付の個室だったので、ナース達も私への対応が比較的楽だったのではないだろうかと、個人的には考えている。

 MRSA院内感染で死者のニュースも良く聞いていたので、病院側が院内感染予防に最大限の注意を払っている事は頭では分かっていたつもりだが、発症していなかったせいか、『何かの間違い(検査の間違い)ではないのだろうか?』『ここまでしなくても……』と、なんだか自分自身が“ばい菌扱い”されている様で、いい気はしなかった。
※その時の記録参照:『2006-07-21 (金) Aコース(3回目) 17日目 MRSA陽性?

 化学療法(chemotherapy)の長期入院で、感染予防をずっと教育されて、こまめな手洗い・うがい、なんでも消毒、消毒(disinfection)といった環境(患者だけでなく、患者に接する人にも徹底する様な環境だった)に慣れてきていた自分でさえ、このセミ隔離状態に戸惑ってしまったのに、今回の豚インフルエンザの流行で、健常者がいきなり完全隔離状態となったニュースを聞くと、なんだか自分が緊急入院を余儀なくされ、いっぺんにそれまでの生活(習慣)が激変してしまったあの時の様な、そんな衝撃を受けているのではないだろうかと、考えてしまう。
※これは最近秘かに話題になっている肺結核(pulmonary tuberculosis)と判明した人も、ある意味、似た状況にいるかもしれない。

  豚インフルエンザでなかった人も、陽性だった人も、結核の人も、早く回復して、元気に通常の生活に戻られる事を祈ります。

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