2007-07-18

2007-07- 18 (水) 手乗りアゲハ

 庭に山椒の木がある。毎年初夏になると、無理に触るとニョキッと強い柑橘系の臭いを放つオレンジ色の角を出す幼虫がいつの間にか付いている。私がずっと幼い頃、母は他の毛虫とは違い、この幼虫だけは殺しもせず、「ほら、つまむと角を出すよ」といって私に見せて、「これはアゲハチョウになるんだよ」と教えてくれたものだ。そういえばこの季節になると、良く庭にアゲハチョウがひらひらと飛んでいるのを見かける。あれが山椒の葉っぱに産み付けていくのだろうか?

 今年もゴマ粒位のごく小さな(1齢位の) 幼虫を山椒の木に見つけ、しばらく庭に出るたびにその成長を楽しんでいたが、蝶も幼虫の時から育てると人に馴れるとどこかで聞いた事を思い出し、一つ、幼虫を育ててみようかと思って、その枝を切って水に挿して幼虫を育ててみる事にした。お蚕さんの飼育をしてみた事もあるので、芋虫は別に嫌ではない。

 この幼虫は最初のうちは鳥の糞の様な、白黒の柄をしている。何回か脱皮する(molt、moult)度に、より大きな幼虫(より大きな鳥の糞みたい??) になっていく。そして終齢幼虫に達すると青虫になる。これらは鳥の糞や葉っぱの色に真似ることによって、鳥等の捕食者に見つからない様に擬態(mimicry、mimesis)しているのだろう。嫌がる事をするとオレンジ色の角を出すのはごく小さい幼虫の時から終齢迄変わらない。しかし、今回は蝶にしようと思って室内に持ち込んできたので、毎日この幼虫を撫で撫でしてかわいがって育てている。かわいがって育てたら手乗りになるかもしれないという思いもある。

 青虫になってからの幼虫の食欲は凄い(何せ鱗翅目の幼虫は、体の殆んどが胃袋で出来ていて、奴らは食べる事が仕事と言わんばかりに、モリモリ音を立てて食べている)ので、餌の山椒の葉っぱを小まめに庭から切ってきて取り替え、世話してやっていたが、その葉っぱにもう一匹アゲハの幼虫がくっ付いていたらしい。いつの間にかチビ幼虫が1匹増えていた。

 日に日に大きくなっていた青虫が食べるのを止め、おんぶヒモを腰に渡してついに蛹に変態(metamorphosis)した。茶色の蛹かと思ったら綺麗なグリーンの蛹になった。さすがに蛹になってからは撫でるのは遠慮した。代わりに、偶然増えたもう一匹をかわいがって撫でて過ごす。

 待つ事、約10日。蛹の様子が少し変わっていた。これはもう今日中に羽化するなと思い、小まめに蛹の様子を応接間に見に行っていたが、あっという間に蛹から出て羽化したらしい(多分15分もかかっていないだろう)、もう枝につかまって羽を伸ばし、乾かしていた。クロアゲハが良く飛んでいたので、クロアゲハかと思っていたのだが、違うアゲハだった。羽化の瞬間を見られなかったのが残念だったが、羽化したアゲハが羽をしっかり乾かすまで待ち、動き出したのを見て、手に誘導してみると、手に止まった。応接間をしばらくひらひらと飛んでいたが、手を差し出していたら、(適当な止まる所が無かったせいかもしれないが)また私の手に止まってきた。かわいい。手乗りアゲハだ♪ チャンスとばかり、デジカメで記念撮影をし、ついでに超ド・アップ写真も撮った。逃げないからこそ簡単に撮れたと思っている。


 あと少ししか居られないが、この家でまた一つ素敵な思い出ができた。アゲハちゃんには一杯お礼を言って、庭に放ってやった。頑張って生きてね…… 家の山椒の実生を植木鉢に植え直して持って行こうと思っている。

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