2009-03-07

2009年03月07日(土) iPS細胞で血小板

  私が前から注目している、山中伸弥・京都大教授が開発したヒトiPS細胞作製法(皮膚等の体細胞から万能細胞を作製する方法)で、東京大学の中内啓光教授(幹細胞生物学)らが、世界で初めて血小板の作製に成功したというニュースを知った。

 白血病(leukemia)治療の化学療法(chemotherapy)の為、長期入院をせざるを得なかったが、その間、何度も輸血(blood transfusion)のお世話になった。その種類は、主に赤血球(RBC:red blood cell)と血小板(PLT:platelet)の2種類で、その時点で必要な成分だけを、輸血して貰っていた。それまでは、輸血と言えば赤いものとばかり思っていたのだが、血小板輸血というものは、ほぼ透明な黄色い液だったので驚いた記憶がある。この血小板をiPS細胞から作製したというのだ。

 入院する前は、ごくたまに献血(blood donation)をした事がある程度だったが、入院してからは、いつも新しい献血液の輸血を何度も経験し、しかも血液は長期保存が出来ないという事を知り(血小板は冷蔵も出来ず、使われなければ4日で破棄されるらしい)、自分ももっと頻繁に献血していれば良かったなと思いつつ、善意の献血に、感謝しきりであった。血小板は出血を止めたりするのに必要な成分である。

 また最近では献血する人も少なくなってきて、慢性的な供給不足になっているという。だからこの成果を実用化出来る様になったら、献血不足の解消になるというニュースは、非常に身近な、興味をひかれる情報である。

 現在のiPS細胞 (induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細胞)の問題点は、作製時に特定の遺伝子を入れる為、それが原因で癌化する危険性があるという。今回作製に成功したというものは、血小板を作り出す巨核球(megakaryocyte)というものである。そこから出来る血小板には核が無いので、必要な血小板だけ集めて輸血するのなら、この問題もクリアできるという考えだと思う。面白い。それに確か血小板は血液型に関係なく輸血出来たと思う。そうならば、毎日作る事によって、常時確保する事も出来る。

 これがうまくいけば、赤血球を作製出来る日もそう遠くは無いだろう。赤血球は、最初は核を持っているが、最終的には脱核するので、成熟した赤血球にも核が無いからだ。

 この病気になった自分は、(正確な情報ではないが)今後再発(recidivation)も無く、将来完治(complete recovery)したと言われたとしても、もう献血は出来ないと以前知ったが、研究治験(clinical trial)者の対象になれるのなら、その機会があれば、その方面で役に立ちたい、と秘かに思っている。

 iPS細胞研究は、色んな病気治療に大きな可能性がある研究だ。今後も期待していきたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿