2007-08-30

2007-08-28 (火) 皆既月蝕

 月曜の通院後に、裏のTBさんを見舞うべく、BT病院へ行く。ここ最近ずっと不在で灯りも点いていなかったので、また入院されたのだろうと推測はしていたが、先週漸く入院先が分かり、お見舞いに行っていた。

 TBさんは去年私の母が亡くなった頃に癌が見つかり、入院、転院して、化学治療を受け、現在は通院していると、私が退院して間もなくの1月頃に会った時に話されていた。TBさんも治療で頭髪が抜けておられ、お互い頑張りましょう、と励まし合っていた。

 ところで、相続で家を売却しなければならない件で、土地の測量等では境界を接している家の人の立ち会いが必要になる。そのお願いの挨拶回りを含め、各種雑務等は、家売却派の遠方の姉2人に代わり、家を存続させたかった(それは可能であった)、残しておきたかった私が家の代表者として、しなければならないという皮肉な状況になっている。うちは都合3軒と接しているのだが、現在は私一人が家に住んでいるのだし、姉達に無駄な時間を割かす必要はさらさら無いので、挨拶回り等に関しては私が引き受ける事にした。時期は丁度真夏になるのだけれども、長い時間はかからないと聞き、それ位の体力なら多分あると思ったからだ。

 話はそれたが、その関連で、最近になり土地測量の為、測量士さんと筆界の挨拶に伺った時のTBさんは、腎臓も悪くされておられるのか、脚が象さんの様にパンパンに腫れておられ、歩き辛いと言われていた姿が痛々しかった。それでも、測量等いつでもどうぞと言われていたので、入院する程お悪いとは思わず、急におられなくなったので、心配していたところだった。

 入院先が分かって、先週小さなクマさんの人形を持ってお見舞いに行くと、なんと、ホスピス(hospice;hospital of peace)に入っておられるとわかり、大変驚いてしまった。ナースにお願いして案内された部屋は、母が亡くなった病室の丁度隣で、送り火の終わった山が間近に見えていた。TBさんは私の見舞いとクマさんの人形をとても喜んでくれ、色んなお話をしたのだが、「お迎えを待っているの」と静かに話してもおられた。母の場合とは違って、痛み止めが良く効いていると聞き、少しホッとし「それはとても良かったですね」という言葉が自然と漏れた。

 しかし、脚の腫れは引かず、とうとう歩く事も出来なくなったという。過酷な抗癌治療を受けたお隣さんのTBさん、母と歳も近いTBさんが、母と同じく癌で遠くない未来に逝ってしまう現実と、母の最後の入院に付いてあげられなかった事、退院後の私自身の体調や病気の事、その他色んな思いがよぎって辛くなり、思わず涙してしまうと、泣いていると病気は良くならないから笑って元気に頑張って、と逆に励まされてしまった。何故に死に行く人はこんなに優しいのだろうか? そして今迄『私は大丈夫、私は大丈夫』と自身に言い聞かせてきたが、深層で思いの他、不安を感じている自分がいるのかもしれないとふと思った。去り際にTBさんの手を握って、「頑張ってとは言いませんが、どうぞ痛み無く過ごされます様にお祈りします」と言って別れた。

 日曜日に少し片づけをしていた時に、十一面観音像の綺麗な大判絵葉書が出てきたので、TBさんに差し上げ様と思い、月曜の診察を終えた後、BT病院へ向かった。すると、なんと今朝8時半にお亡くなりになったと受付で言われ、非常なショックを受けた。先週色々とおしゃべりをしてからまだ1週間も経っていないのに、まさかもうお亡くなりになるとは……

 TBさんはご主人が亡くなられてから一人暮らしだったのだが、帰宅後も、裏の家に人の気配が無い事から、色々と問い合わせたりして、漸く身内だけでひっそりと葬儀場でお通夜等を行なう事がわかり、参列させて貰い、ご遺族のご好意で、最後に十一面観音像の写真を入れさせて頂く事が出来た。お顔からは苦痛は見られず、安らかに眠っておられた。私もいつかその日が来る時に、母やTBさんみたいに静かにお迎えを待つ事が出来るのだろうか。 悲しみと不安で涙を止める事が出来なかった。

 葬儀場を後にすると、夜空にはオレンジ色がかった紅く丸いお月様が出ていた。

 その翌晩、偶然だが皆既月蝕があると知る。雲が邪魔をしてなかなか姿を現さなかったが、お通夜の時の泣きそうなお月様とは違って、神秘的な深紅のお月様を見る事が出来た。もうすぐ母の命日が来る。皆安らかにお眠り下さいと、美しいお月様と夜空を見上げながら心の中で静かに手を合わせて過ごす。そして月蝕が終わった後の月の光がこんなにまぶしいという事も初めて知る。また1つ、この家での切なくも美しい思い出が出来た。

2007-08-29

2007-08-27 (月) 免疫抑制剤とワクチン 

 私は退院後の現在も外出時はマスク(mask)をしているが、今回の診察で、もうそろそろマスクを外してもいい位に免疫(immunity)が付いてきただろうかを先生に訊いてみた。

 すると、日々の生活で免疫力は徐々に付いてきているが、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を受けたのだから、最低2年は赤ちゃん並みで感染(infection)し易いと考える様にと説明される。そういえば、退院時にそういった事を言われていたのを思い出した。喉もと過ぎればなんとやら……、今まで無事に過ごして来られていたので、つい忘れていた。移植(transplantation)で、全ての免疫はリセットされ、一度罹ったはしか(rubeola)・風疹(rubella)等もまた罹る可能性があり、各種予防接種(protective inoculation)もしなおさなければならないのだった。要するにマスクはしている方が良さそうだという事か。

 免疫抑制剤(immunosuppressant)のネオーラル(Neoral)の量がゼロになったら外してもいい目安になるのかを訊いてみると、ネオーラルがゼロになっても2年は感染し易い事に気を付けなければならない事に変わりはないらしい。

 移植後1年位で先ず風邪の予防接種、その他の予防接種については移植後2年以降に順次していくと退院時に訊いていたが、今年の冬はインフルエンザ(influenza)の予防接種を受ける事になるのかを訊いてみると、「あっ、そうでしたね、今度迄に調べておきます」と胸ポケットのメモ帳を取り出して書き込みつつ、ネオーラルは免疫を付き難くさせる薬なので、それまでにゼロになればよいのですが、とつぶやかれた。

 退院当初、先生は半年位でネオーラルの量をゼロになる様に順次減らしていこうと思うと話され、1ヶ月毎に減量していた。ところが3月末頃から肝機能(liver function)の値の悪化が始まった為、なかなか減らすに減らせず(途中1回だけネオーラルを減量してみてはいる)、本来なら今頃はゼロになっている筈だったのが、そのまま現在に至っている。やっと肝機能の値が正常値へと動き始めたので、様子をみながら減量をする事になるのだが、この調子だとこの冬迄にゼロに出来るかどうか微妙な感じになってきたのだという。

 ネオーラルがゼロにならないまま予防接種を受けるとどうなるのかを訊いてみると、予防接種は(インフルエンザ) ワクチン(vaccine)なのに、ネオーラルで免疫を付き難くさせた状態だと、せっかくのワクチン効果があるかが疑わしい状態となる、と説明された。

  話を聞くとなんとなく分かるのだが、免疫抑制剤という名前自体が未だに、私にとってはどんな薬なのかイメージの沸き難い名前である。専門用語は難しい表現のものが多いですね。

2007-08-28

2007-08-27 (月) 通院記録 

 この2週間の体の具合は、いつもの各種関節痛(arthralgia)。頸痛(neck pain)、これがきつくてたまらない日が多かった。腰痛(lumbago)も慢性(chronic)になってきたが、ぎっくり腰を起こしそうな位、痛む日もあった。ロキソニン(Loxonin)も飲んでいるが、膏薬(plaster)を貼ると随分楽になるので、家にいる間は膏薬を貼り続けている日が多い。歯茎痛は現状維持(良くも悪くもならず)。

 血圧(blood pressure)は朝何回測っても大体同じ値になる様になってきた(安定してきた)。ネオーラル(Neoral)の量が多かった時は、高血圧気味であったし、続けて数回測ると、毎回値が大きく変動していたからだ。現在、上は105~95位が多く、下は70台が多い。脈拍(pulse)は57~60が多い。発熱なし、36℃前半が多い。便秘(constipation)気味なのは、カマグ(酸化マグネシウム:Magnesium Oxide)とラキソベロン液(Laxoberon Solution)で自己調節し、上手くいっている。

 さて、検査結果では、肝臓の値は少し動きが鈍ったとはいえ、また改善し、LDHは基準値になっていた。KB先生もこの結果は喜んで下さっていた。しかし免疫抑制剤(immunosuppressant)のネオーラルを減らす件(治療)については今回も見送った方が良さそうと判断された。頸痛に関しては整形に診て貰うかどうか(もしかするとMRIで診て貰えるかも)と今回も検討されるが、頸痛もGVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)の可能性が強い事から、こちらも見送りになった。

 肝臓を守る薬のウルソ(Urso)を1日3回各2錠に増やしているのに、まだ正常になっていない事から、ウルソも減らす事なく続ける事になる。結局、飲み薬に変更は無しである。

 ところで今日は、今後血液検査で、毎回総コレステロール値も入れて欲しいとお願いしてみた。すると、年を取るにつれコレステロール値(cholesterol)は上昇するので、家族に糖尿病(diabetes)とか心筋梗塞(myocardial infarction)とかの病歴の人がいなければ気にしなくて良いといわれる。しかし、両親ともに脳梗塞(cerebral infarction)を起こしているし、私は20代の頃からどんなに食事の内容を変えてみてもなかなか標準値内にはいる事が無かったので、コレステロールが低くなり難い体質と考えている。今回は標準値の上限ぎりぎりで正常になっていたけれど、今後も気を付けたいので入れて欲しいというと、栄養状態が悪いとコレステロール値が下がってくると言われる。先生は、基準値は220となっているが、300を超える位になれば少し気を付けた方が良いと思うが、250前後位では全然気にする必要は無いと考えていると話された。そういうものなのだろうか。同じ採血の血で出来るのだから、一項目位増やしてくれてもいいのでは、という思いもあり、少し残念である。

【血液検査結果】8/27:
WBC(白血球数) 4.2、HGB(ヘモグロビン) 11.4、PLT(血小板数) 172、GOT(AST) 76、GPT(ALT) 95、γ-GTP 70、LDH 241、CRP(炎症反応) 0.2

2007-08-25

2007-08 痛みの科学 

 痛み(pain)というのは周囲の人に理解され難く、その為、実際の痛みに加え、精神的にも苦しむ人も多いという。母が、色んな痛みで凄くしんどくだるいのに、来る人来る人に元気そうで安心したといわれ、誰もこの痛みは分かってもらえないらしいとぼやいていた事を思い出す。私もかなり理解していたつもりで、頭で随分理解しようと努めていたが、今リウマチ様関節痛(rheumatoid arthralgia)になってみて初めて母の痛みや辛さの一端を実体験として知る事となった。

 私もまた、いつも元気そうだと皆から言われ、心配かけずに済んでいる事は喜ばしいと思っている。そして私の関節痛(arthralgia)も、本物のリウマチ(rheumatism)等で苦しんでいる人とは比べ物にならない位軽いだろうし、痛みの進行も最近止まっている様なので、ありがたい事だと思っている。しかしこんな関節痛でさえ、なんとも痛くしんどく、ずっと持続しており、最近では飲み薬の痛み止めも余り効かなくなってきている。しかしこの痛みというのは、血が出る訳でもなく、腫れ上がったり熱を持ったりしている訳でもなく、あくまでも本人の感覚で、外から見ても分からないものである。しかし怠けていると見られたのか、さっさと引っ越して復職せよといった事を退院後、さほど日が経っていない時期にいわれた事は、非常なショックとして心に突き刺さっている。

 ところで昨夜、NHK教育の『サイエンスZERO』【解明進む痛みの科学】再放送を見た。前回偶然少しだけ見て気になっていた番組である。ガン(cancer)等の疼痛にモルヒネ(morphine)を使用しても中毒(poisoning)になり難いという番組の宣伝が気になっていた。

 将来、ガンでモルヒネのお世話にはならない事を祈りつつも、知識として情報としてモルヒネがどんな物なのか知る事はいい事だと思う。ちょっと番組の内容を自分なりに箇条書きで書き留めておく。

★ 痛み止めには消炎鎮痛薬、局所麻酔薬(local anesthetic)、麻薬(narcotic)の大きく分けて3種類あり、それぞれ効き方に特徴がある。

・ 消炎鎮痛薬は痛み物質・痛み(痛い所そのもの)に直接効く。

・ 局所麻酔薬は神経に直接作用して、痛みを感じさせなくする。

・ モルヒネ等の麻薬は脳で作用し、痛みが末梢神経(peripheral nerve)から中枢神経(central nervous system)へ伝わる時の痛みの信号をブロックする。

★ 何故痛みがあるとモルヒネ中毒になり難いのかという実験と、説明は次の通りだった(星薬科大学薬品毒性学教室鈴木勉教授、成田年准教)。

・ 健康なラットにモルヒネを注射すると、快楽物質であるドーパミン(dopamine)の量が倍に増えるのだが、脚に痛みを持つラットではドーパミンの量はそれ程増えないという実験結果がある為、痛みがあるとモルヒネ中毒になり難いと考えられる。

・ 脳の中には快楽物質であるドーパミンを分泌するドーパミン神経があるのだが、痛みの無い状態でモルヒネを投与し続けると、モルヒネはドーパミン神経の受容体(レセプター:receptor)を活性化する為、快楽物質ドーパミンの量がどんどん増え続ける。脳内にドーパミンが極端に多い状態が長引くと依存が生じ、その結果、いずれモルヒネ中毒になってしまう。

・ 痛みを感じると大脳で快楽物質であるドーパミンの分泌が抑制される。これは、痛みがある状態の時、ドーパミン神経の活性を抑える別の受容体、即ちドーパミン抑制受容体に、痛みによって出る物質が嵌まる為、ドーパミンの分泌量は抑えられる事になる。その一方でモルヒネは、痛みを抑える受容体に作用し、痛みが神経に伝わらない様にする。この為、痛みがある場合モルヒネを投与しても中毒になり難く、しかも痛みを抑える事が出来る。

・ 痛みがある時にはモルヒネを生体が欲しており、それを十分量補う事によって痛みを普通に近づける事が出来る、と考えている。

★ モルヒネで痛みそのものを抑えながら治療をすると、ガンそのものの症状が軽くなる事も見られるという。


 番組で気になる部分のまとめは以上である。痛みの仕組みは大体分かった。しかし問題は麻薬の処方(prescription)の仕方であろう。

 母がかつて話していたが、モルヒネは投与の仕方も結構難しいという。そして意外とその専門医は少なく、モルヒネの本当に効率的な使い方を知らない医者が多いとも言っていた。母は生前、もしガン等で入院する事があったら痛み止めのモルヒネを使ってほしいとも言っていたが、末期ガンの時はモルヒネの投与量が難しいのかもしれないが、母の場合、私が外泊許可を得て見舞った時には「よく効かなく、痛い」といっていたのと、効き過ぎてか(?)ずっと眠り続けている場面しかなかった。

  私の場合、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)後、粘膜やその他の激痛等にモルヒネの点滴があったのだが、中毒になるといけないと、最小限量しか点滴されず、痛みに効いているとは感じられなかった。ところがそのモルヒネをもうそろそろ中毒にならない為にも止める時期だといって急に止められた。すると、全身更にひどい痛みや形容し難い苦痛に苦しむ様になった。どうやら効いていないと思っていたモルヒネがそれでも効いていたらしい。それに加え、先生からはその痛みの原因の一つにモルヒネの離脱症状(withdrawal symptom)もあるかもしれない、とも言われた。そういう可能性があると分かっているのならば、いきなり止めるのではなく、徐々に減量していって欲しかったと思ったのだが。。。 ここら辺に先生と患者の間のギャップを感じる。なかなか理想通りに物事はいかないものである。

2007-08-15

2007-08-13 (月) 健康データのインターネット閲覧

 7/30の通院時に院内で偶然【インターネットで健康データをチェック!】というポスターを見つけた。自分のカルテ(Karte;patient charts)をインターネットで閲覧出来るのだろうか? と思い、早速受付で聞いてみると、パンフレットを貰った。

 内容を色々と調べていくと、申し込みと手続きをすれば、インターネットバンクと同様のセキュリティーで自分のデータを見る事が出来、自らカルテにデータを書き込みする事も可能で、それを主治医もネットを通じて見る事が出来る等、双方向性のあるものらしい。

 こんな便利なものがあったのかと思ったら、この7月から運用が始まったばかりで、このネットワークに接続している病院(本格的に運用に参加している病院)も目下私が通院しているK大付属病院のみの様だ。順次、提携病院を増やしていく予定だそうで、患者がK大以外の医者を主治医として登録すると、その医者もアクセス権を得られ閲覧可能となる、或いは連携病院同士で、手続きをすれば相互に閲覧可能となる事から、同じ検査を病院毎に受け直す(二重に受診する)という手間も省けるという。何よりも、この方法だと、受診時にはまだ出ていなかった検査結果を次回の診察日まで待つ事無く知る事が出来る。

 私は母が亡くなり、この家を病状が落ち着く迄、売らずに置いておいて欲しいと言う切なる願いは聞き入れられず、この秋にはとうとう京都を離れなければならなくなったので、引越し後は京都へ通院しなければならない事になるが、万が一、肺炎(pneumonia)等、急を要する症状になった時の事を考えると、引越し先でも適切な病院なりお医者さんを探さなければならない。しかし、将来的にこのネットワークが広がってくれれば、一々治療データを病院から取り寄せなくても良いとか、引越し先でも継続的に医療サービスが受けられる様なので、是非利用してみたいと思い、早速申し込みをした。

 一週間程経って、IDカードが届いたので、早速ネットで覗いてみた。自分で自由に記入出来る所(『自由記載ノート』等)があるので、試しに入力してみたりするが、書き方の詳しいマニュアルがあると同封されていた簡易説明書に書いてあるだけで、それが一体何処にあるのか(ネット上にあるのか、別冊子としてあるのか)良く分からず、今ひとつ、使い方がよく分からない。また、通院している病院に手続きをしていないので、肝心のカルテはまだ見る事は出来ない。

 さて、通院日の診察迄の待ち時間に、病院の受付に接続の手続き(登録)をする。ついでに、患者が自由に記入出来る所(『自由記載ノート』)の作成マニュアルをお願いすると、詳しい人に色々と問い合わせてくれたらしく、しばらく経ってから漸く、どうやらこれは準備中で、そのうち、ネット上でヘルプボタンの様な形で、マニュアルも置く予定であるという事を教えて貰った。要するに只今整備中という所だ。

 KB先生にこの閲覧ネットについて、本日手続きをしたという話と、私が書いた体調日誌を先生も見る事が出来る筈との話をしたのだが、先生ご自身はその制度が始まった事は知ってはおられたが、どの様にアクセスするか、どの様なものなのか等、具体的な事迄はご存知ではなかった。病院を出る前に、案内所で聞いてみたが、どうやら先生自体もこのネットに登録しなければ相互に見る事は出来ないらしい、との説明を受けた。まだまだ手探り状態で発進した制度の様だ。

  帰宅後、早速自分のカルテを見る事が出来るかを試してみたが、自分の基本情報(生年月日や患者ID)みたいなものと血液検査結果や処方箋(prescription)等はさかのぼる事、6月頃迄の分なら見る事が出来たが、先生が書いている診察記録(私の主訴等)はアクセス出来なかった。何処かにあるのだと思うのだが、アクセスの仕方が悪いのか、まだそこまでアップされていないのか。。。かなりの手探り状態・試験段階を脱し切れていない感じを受けた。しかし、今後の私にとっては非常に便利に思えるので、早く制度を整えて行って欲しいと思う。

2007-08-13 (月) 通院記録 肝機能改善

 この2週間の体調は、いつもの各種関節痛(arthralgia)が更に少し強くなってきた様な気がする。特に腰と膝の痛みがまたきつくなってきた(一時改善していた)。筋肉痛(myalgia)、歯肉痛は持続状態で、良くならず、少し痛みが増した感じがある。また、下痢(diarrhea)でなければ便秘(constipation;obstipation)気味の繰り返しでもあった。

 さて、今日は採血も比較的早くすぐに済んだのだが、診察の順番待ちでそれから3時間近くも待ったので、ちょっと疲れた。

 診察では、心配していたリウマチ検査の結果は陰性(negative)だった。リウマチなら高値になると言うCRPも相変わらず反応無しなので、リウマチ(rheumatism)ではないでしょうと言われ、少しホッとする。関節痛が徐々にきつくなっているのに、この上不安材料は増えて欲しくないと思っていたからだ。

 肝心の肝機能(liver function)の結果は、今回は明らかにグンと正常値に近付いてきていた。長引いていたので、これまでの様にちょっと良くなるか平行線で足踏みしてから再度悪化するかもしれないと内心心配していたが、今度こそ本当に回復してきてくれている様だ。先生は、結局何故高くなって何故下がってきたか原因不明だが、この調子で下がる事を期待して次回も下がっていれば、免疫抑制剤(immunosuppressant)のネオーラル(Neoral)を更に減らしてみましょう、と言われた。ネオーラルが減るのは良いが、関節痛や歯茎痛等は更に増す可能性があるのが、不安で憂鬱な点でもある。

 前回訊くのを忘れたIg-A、Ig-G、Ig-Mの検査結果の見方も教えて貰う。Ig-Gは入院以来、最高値になっていたので、先生は「いい感じですね。点滴もせずに自力で増えてきているので、免疫力もアップしてきていて良いですね」といわれ、少し嬉しかったが、肝機能の話に及んだ時に、「そういえば肝機能が悪い時も、それを補おうとしてアップする事がありますねぇ」と思い出した様に言われた。う~~ん。。。この件に関しては、肝臓の値も良くなってきているので、希望的観測として、自力で増えてきたと考えたい所だ。

 それにしてもやっと肝機能の値が改善されてきたのに、膝や頸・腰等の関節痛が増してきた様に感じる。関節痛もこれ以上悪くなりません様に(これまた希望的観測)。。。

【血液検査結果】8/13:
WBC(白血球数) 4.3、HGB(ヘモグロビン) 11.4、PLT(血小板数) 176、
GOT(AST) 78、GPT(ALT) 103、γ-GTP 86、LDH 252、CRP(炎症反応) 0.1、
追記(8/13の結果): Ig-A 50.9、Ig-G 638、Ig-M 71.8

2007-08-12

2007-08-11 (土) 卵子保存についての記事

 未婚女性の卵子凍結保存実施についての記事を見つけた。既婚女性の卵子保存は認可されていたが、白血病(leukemia)等を含め治療で不妊(sterility)になる恐れのある未婚女性の卵子保存が認可されたのは今年1月の事だ。それが実施されたと言う報告の記事だった。この件では悩んでいた(そして私の時はまだ認可されていなかったが、一部試行されている所があるらしかった)だけに、同じ悩みを持っているだろう女性にとって、選択肢が増えて良いと思うので、まだ知らない人の為にも、ちょっと書いておこうと思った。

 その記事を見ていると、関連記事として『未成熟卵子、凍結保存し出産成功・カナダチーム、誘発剤不要』という見出しも発見した。その記事によると、排卵誘発剤(ovulation-inducing agent)を使わずに卵子(egg;ovum)を取り出し、それを体外で成熟(maturation;maturity)させてから凍結保存し、その後に授精(insemination)させて子宮(womb;uterus)に戻す方法で赤ちゃんを出産(birth)させる事に、カナダの医療チームが世界で初めて成功したという内容だった。知らなかったが、排卵誘発剤というものは体に負担が大きくかかるらしい。

 私の場合、緊急入院時に卵子保存の説明が1回あったが、卵子保存のタイミングは女性の場合、化学療法が終わり、移植を受ける前の時期だと聞かされていた。その時に再度詳しい説明があると思っていたのだが、結局、先生からの卵子保存のちゃんとした説明は無く、チャンスを逸してしまった。。。というより、移植直前に、卵子保存に十分な退院期間も無かった事に加え、早く移植(transplantation)を、早く移植を、という感じに周りからせき立てられる雰囲気で、私が卵子保存を希望しているかどうかの再確認も先生達からはして貰えなく、強く申し出る事がはばかれ、涙を呑んだ。年齢的に微妙であったからかもしれないが、私もすぐに良い卵子得られなければ卵子採取に時間がかかると言う話をどこかのHPで見た様な気もしたので、移植を急いでいる様子の先生に言い出し難かった。

 カナダチームの今回の成果は、未成熟卵子からでも最終的に妊娠(pregnancy)出来る道を拓(ひら)いた。この方法でも正常な妊娠出産が可能と知っていれば、もう少し詳しく、もう一歩踏み込んで、卵子保存について考えていたかもしれない。詳しい方法が出ていなかったので良く分からないが、排卵誘発剤を使用しなくても良く、しかも未成熟卵子なら、どのタイミングでも採取出来る可能性は大きいので、例えばケモ(化学療法:chemotherapy)とケモの間の、短い外泊時でも採取が可能になるのではないかと思う(実際はどうなのかは不明なので、あくまでも私の推察なのだが)。病気が分かって、ケモなどで卵子が傷つく前に、男性の様に治療の初期に卵子保存も可能になるのではないかと、期待出来る成果だと解釈している。

  最近、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を受けた女性でも、妊娠・出産した人もいるらしい事を知ったが、決して皆に当て嵌まる事とは言えない。病気の治療法自体も早く進歩して欲しいと願うが、QOL(quality of life)の一環として、選択肢が増えるのは患者にとっても朗報ではないだろうか。

2007-08-10

2007-08-09 (木) 放射線量

 骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を受けるに当たって、放射線(radiation)の全身照射(whole body irradiation;total body irradiation)というのがあった。内容は3日間に渡って、全身に総計12グレイ(gray)の放射線を浴びるというものだった。

 骨髄移植の時は、通常の化学療法(chemotherapy)よりもっときつい治療がなされる。移植直前に致死量(lethal dose;fatal dose)を超える化学療法(抗癌剤投与)と、これまた致死量を超える放射線の全身照射治療によって、自らの血球を殺してしまい、ドナー(donor:提供者)の骨髄液(bone marrow aspirate)受け入れ態勢を整えるのだ。移植直前にドナーからキャンセルが入る場合もあると言うが、その時はとにかく大変だという。なにせ、移植をする事を大前提に、致死量に及ぶ抗癌剤投与等の過酷な治療を施してきているのだから。

 ところで、この12グレイという線量(dose)は十分致死量だとは聞いていたが、例えば肝臓ガン (cancer of liver:hepatoma)とかで肝臓のガン細胞のみに集中的に放射線を当てる場合、もっと多い放射線量(例えば50グレイ等)になる。これは局所的に当てているので患者(patient)自身は死ぬ事なく、ガン細胞だけをやっつける、という効果を狙っているのだそうだ。しかし全身照射となると50も当てるとそれこそ本当に命にかかわるそうである。その話を聞いてから、一般に全身照射での致死量(放射線量)はどれ位なのだろうか、とずっと思っていた。

 昨夜、たまたまNHKの番組で原爆(atomic bomb)関連の放送をしているのを数分見た。そこでのナレーションで、致死量の何倍でした、とか言うセリフが聞こえ、慌ててメモを取った。『81グレイで致死量の10倍以上』、『0.24グレイで致死量の1/30(30分の1)』。。。

  単純計算すると、7.2~8.1グレイが原爆での放射線での致死量となる。数字だけを見るのなら、治療とはいえ、結構な線量を浴びていた事になる。ふと『諸刃の剣』という言葉が浮かぶ。生きる為に致死量を超える治療を受けてきた事に、改めて、なんともいえない溜め息が出る。


追記:8/13の通院時にKB先生に訊いてみた事を追記する。

・ 移植前治療で、放射線照射は総量12グレイだったが、例えば1回に12グレイ当てるのと2グレイを6回に分けて当てるのとの違いを訊くと、やはり少しでも時間を空けて小分けに当てる方が人体へ及ぼすダメージが少なくて済むそうだ。 

・ 被爆量は総線量の12グレイと考えるのか、それとも小分けに照射したので12より小さくなるのかを訊いてみた所、トータル12グレイになるそうだ。

・ 致死量を超える12グレイを全身に浴びているが、死なないのは何故かと訊くと、骨髄移植をしたから死ななかったので、していなければ死んでしまう、という。

確かに、骨髄移植の為に放射線治療を受けているのだ。なんだか頭が混乱していた。私がちょっと勘違いしていたのは、致死量と言っても、即死という訳ではなかったという所か。とにかく自分の体ながら、大変な治療を受けたのだという事と、人体の強靭さ柔軟さに驚く他は無いかもしれない。

2007-08-01

2007-07-30 (月) Tヶ池の花火

 夜20時に、ドーン、ドーン、パチパチパチ・・・と言う音が聞こえ始める。どうやら昨夜に続き、Tヶ池で花火が上がっているらしい。急いで2階の自室窓に乗り出し見物する。丁度Tヶ池にある小山に遮られ、家からは大玉だとほぼ全形見られるが、小さい玉だと半分位しか見えない。斜め隣の家の桜が生長し過ぎている為、今年は葉っぱも随分と邪魔をしているが、色々と綺麗な花火が次々と上がる。またいつもの様に、花火が光ってから音が届く迄の時間差は何秒だろう、とカウントしながら花火見物をした。この花火見物の瞬間は、いつも光速度(speed of light)の方が音速(speed of sound)より速いという事を肌身で感じる瞬間でもある。そして本当に微かだが、花火の爆風が空気を伝って、今見ているここの空気をも揺らしているのが感じられる。

  Tヶ池のKK会館で会議や催し物があると、よく花火が上がるので、年中、打ち上げの音にさえ気付けば花火見物が出来る。去年は偶然にも病室から見える個室にいた。こちらは自宅よりは少し遠いが、6階だったので、山に隠れる事もなく全形丸く花火が綺麗に見えて、一夏に何回か楽しませて貰った。来年はどこかで花火見物出来る余裕が出来ていたらなぁ~っと願う。

2007-07-30 (月) 通院記録 

【前(文)略】

 例によって、『この1週間はリウマチ様関節痛(rheumatoid arthralgia)というか、各種関節痛はいつもの通りだが、とにかく頸が痛くてたまらない。その為だるくて仕方がない日が多かった。歯茎痛も続き、昨夜は珍しく奥歯の方の歯茎から出血する。立ち眩み(dizzy)がしばしば起こる。暑さのせいだろうか?』といった内容を先生に報告した。口内は歯茎を中心に少々腫れているが、良くなりも悪くなりもしていない。立ち眩みの方は血液の値から貧血(anemia)ではないとの事。「大体いつもの通りですね」と先生。

 リウマチ様関節痛については、最近リウマチ(rheumatism)のTV番組を見て怖くなったので、血液検査でリウマチかどうかの検査も一度してみて欲しい旨を伝える。とにかく関節や骨が変形して固まってしまうのは恐ろしいし、自分は手先を使う職業なので、復職後に影響が出てしまうのではないかという不安もあるので、もしリウマチと診断(diagnosis)された場合、薬とかで予防出来るものなら予防したいと思う話をした。先生は、GVHD(移植片対宿主病;graft-versus-host disease)による関節痛でも、リウマチ検査等に陽性(positive)になる事はままある事であるが、リウマチなら炎症反応を見るCRPが高くなるのだが、CRPは正常なのでリウマチではないと思っていると話された。それならば検査しても意味ないでしょうか、と訊くとそうでもないらしく、もしリウマチだったら保険が効く治療を受ける事が出来るとかなんとか? 「いずれにせよ一度検査しておきましょう」との事。

 全然不安はなくならないので、GVHDによるリウマチ様の症状の出る患者さんの有無やその後どうなるのかを色々と質問する。そういう患者さんが数年後、どうなるかは知らないそうだが、本当のリウマチとは違う分、変形が起こるとしてもかなりの年数がかかるだろうし、リウマチ程ひどくはならないと思われるという話であった。私の場合はまだ関節も炎症を起こしておらず、急にどうのこうのなるものではないそうだ。何となく永遠にこの不安は付きまといそうだ。

 さて、問題の肝臓の値だが、今日はGOTとLDHは足踏みをしたが、すぐに反応が現われるというGPTとγ-GTPの値が下がった。今回も先週に引き続き、肝機能(liver function)の改善が進んでいるので、今度こそ本当に下がり始めたみたいだと、先生と共に安心する。今週はロキソニン(Loxonin)をほぼ毎日2錠飲んでいた事を伝えると、「ロキソニンをしっかり飲んでいる方が肝臓の値が好転するのかなぁ」と、冗談を言われたが、ロキソニンは私の肝臓の値に影響を与えてはいなさそうである。このままスッと正常値まで戻ってくれたら、アルコール(alcohol)解禁も近くなるかも、と本当に久々に嬉しい期待をしてしまう。

 その他で気になった症状に、今週半ばに、パソコン検索を1日していたら夕方頃より右腕と右手が痛みの余り、動かなくなり(そんなに熱心にしていた訳でもないのにクリックする事が出来ない位に痛く動かなくなった)、2日程膏薬(plaster)を貼っていたら漸く痛みが引き、治まってきた話をした。先生はカチャカチャとパソコンに今の私の話を入力して説明するには、これも免疫抑制剤(immunosuppressant)の副作用の可能性があるという事だった。この場合の痛みは関節というよりは筋肉の様な気がするのですが、と訊くと、副作用の1つにメジャーではないが筋肉痛というのもあると教えてくれた。免疫抑制剤のネオーラル(Neoral)の副作用は、本当に多彩だが、最後にこんな話もしてくれた。即ち、各種関節痛が続いているが、これはネオーラルの副作用による痛みと考える事も出来るし、ネオーラルを減量してきている為に起こっている拒絶反応(rejection)やGVHDによる痛みとも考える事も出来るという。毎回こんな調子(原因が特定出来ない)で慣れてはきたが、一体私の場合はどちらに当たるのだろうか。先生は、「肝臓の値も良くなってきたので、次回もこの調子で良くなっていればネオーラルを減らしてみますか」との事であった。ネオーラルを0にするのが目標なのだが、痛みが増す可能性があるとすると憂鬱でもある。

【血液検査結果】7/30:
WBC(白血球数) 3.8、HGB(ヘモグロビン) 11.0、PLT(血小板数) 157、
GOT(AST) 116、GPT(ALT) 141、γ-GTP 111、LDH 279、CRP(炎症反応) 0.1