2007-04-03

★☆★治療時の感染予防の心得★☆★(入院生活1)

 私が白血病で入院した血液腫瘍内科が作成した「感染予防のために」という冊子を参考に、入院生活時の感染予防の注意事項をまとめてみたい。

 白血病(leukemia)では、正常な白血球細胞が正常に機能しなくなり、身体の抵抗力が落ちてしまい、感染しやすくなる。また、化学療法(chemotherapy)では一時的に血液中の血球(白血球(WBC)・赤血球(RBC)・血小板(PLT))が減るため、減少期に抵抗力が落ち、口内炎(stomatitis)や咽喉痛(pharyngodynia)、発熱(pyrexia、fever)等の感染症(infection)の症状が出ることがある。治療中にこれらの症状が出ると非常に辛い。しかも白血病になる前に経験したこれらの症状とは違い、格段に激しく厳しく痛いものであった。恐らくこれは私に限った事ではなく、同様の治療を受ける多くの人が経験しているものと思う。そんな感染を未然に予防する為の心得みたいなものである。

★行動範囲★
 私が入院した病院では骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)などの場合を除いて、クリーンルーム(無菌室(clean room))に入る事なく治療(化学療法)を受ける。マスク(mask)を常に着けなければならないが、売店に行ってもいい時期もある。その目安になるのが好中球数で、【好中球数】=【白血球(WBC)の個数】×【好中球(Neutrophil)(%表記)】×【1/100】という計算でその個数が分かる。私の病院では1,000以上だと地下にある売店へ行ってもよいし、外出・外泊の目安になっていた。500以下になると外出・外泊禁止となり、トイレ等の場合を除いて出来るだけ病室(空気清浄機設置)を出ない様に、また100以下になった場合は非常に感染しやすい状態でもあり、家族の面会も制限する事もあるという。

★面会制限★
 面会は風邪をひいている人や7歳以下の子供の面会は好中球数に関係なく原則お断りになっていた。面会者もまた、病室前に置いてある消毒剤で手を消毒し、マスクの着用を義務付けられている。この為、私は入院以来、先生にしろナースにしろ、同室の患者さんまで全てマスク姿の人しか見ていない。また、自分の好中球数が安全範囲だとしても同室で治療中の人は危険範囲かもしれないので、病室に入る面会者も一度に2名までか、あるいは面会フロアーで面会するように気をつけなければならなかった。

★手洗い★
 手洗いは小まめにする。食事・内服・排泄前後、外から部屋に戻った時に手洗いして、備え付けのペーパータオルで水分をふき取る。手ぬぐいは使わなかった。

★マスク着用★
 上気道感染予防のため、病室外へ出る時、同室の人と話す時、掃除の時など必ずマスクを着用する様に、と言われていたが、実質上、起きている時はずっと(時には24時間)マスクを着用する様にしていた。マスクは一日一回交換する様にと、各病室の前に新しいマスクが入った箱が設置されていた。

★うがい・歯磨き★
 口腔内感染予防に、うがいは起床時・毎食前・毎食後・就寝前・帰室後にする様にする。一日最低4回はする様に、との事だった。うがいには適宜希釈したイソジンガーグルうがい液が各患者へ病棟から毎週配られる。それでうがいをし、うがい後は口をゆすいだりせず、しばらくはお茶等も飲まずにしておくと殺菌効果が上がると、同室の先輩患者さんから教わった。食後のうがいは歯磨きの後にする。

 歯磨きは毎食後と就寝前に、歯肉(歯ぐき:gum;gingivae)を傷つけない様に柔らかめの歯ブラシを使い、使用後はよく乾燥させる。歯間ブラシは歯肉を傷つける事があるので使用は控える様に、との事。

★陰部・肛門周囲の清潔★
 治療の副作用で便秘(obstipation、constipation)・下痢(diarrhea)になる事があり、排尿(micturition)・排便(defecation、evacuation)後はウォシュレットを使って洗って清潔に保つ様にと書いてあるが、肛門(anus)は排便時に傷つけない様に常に心がけて欲しい。この化学療法で白血球が殆んどゼロになった時、肛門に、ほんの小さな傷でも作っていた場合、大変な苦痛になって襲ってくるのでくれぐれもご用心して欲しい。健常時にはすぐ治る傷も、白血球が無くなるとぜんぜん治らない上に、はれて炎症(inflammation)を起こして重症の痔(piles;hemorrhoids)の状態になってしまう。

★トイレ★
 洋式トイレは、使用前後に便座を除菌クリーナーで拭く様にする。

★入浴★
 湯船は使用せず、シャワーのみ。好中球数が500個以下の時はシャワーも不可で、ホットおしぼりで体を清拭する。拭く時には体に傷がないか等、皮膚の観察をする様に心がける。

★爪★
 爪(nail)の間は汚れやすいので伸ばさない様にする。但し、特に血小板が低下している時は深爪にならない様に気をつける。

★髪の毛★
 薬の副作用で脱毛が起こるが、抜け毛は不衛生という事で剃ってもらう事があるという。枕等についた抜け毛はガムテープ等で取る様にする。
 私の場合は抜けるに任せ、髪を切ったり剃ったりはしなかった。脱毛で髪は毛根(hair root;radix pili)から抜け落ちるが、白血病患者のホームページ等の中で、髪を剃り、それが抜けて枕や服につくとチクチクすると書いてあった。これは毛先が剃った事により鋭利になり、それが抜けたからではないかと考え、剃らなかった、おかげでチクチクする事は一度もなかったが、一つ誤算は第一回目の化学療法で脱毛してしまい、きれいさっぱり毛が抜けてしまうと思っていたのだが、なかなかそうはいかなかった。初回化学療法で大半は抜けはしたものの、想像と違って中途半端に毛が残り(頭頂はほぼ抜けたがうぶ毛や周辺の毛が随分抜けずに残り)、みすぼらしい河童のような感じになったのを覚えている。化学療法が何回も繰り返されるうちに最終的にはほぼ全て抜けたのだが、最後までど根性で抜けずに残っていた毛もあった。
 同室のある女性は、長めの抜け毛を一々始末するのが面倒だと、院内の理容室・美容室でさっさと丸坊主に剃り上げ、サッパリしたと言っていた。髪を剃るか剃らないかは全く個人の自由であった。

★環境整備★
 私の入院した病院では、毎日掃除の人がゴミ取りと掃除を丁寧にしていき、毎日ではないが、除菌クリーナーで棚やテーブル、ベッドの柵や枕電気のカサ等を拭いて清潔にして貰っていた。床に物を落とした場合は自分で拾わずナースコールをして拾ってもらい、ナースはそれを除菌クリーナーで拭いてから患者に渡す様になっていた。病室の窓は、外の埃などが入ってくるので絶対に開けない様にと決められていた。生け花は、細菌がついてくる、細菌の繁殖源になるという事で、お見舞いの花(生のお花)も一切断る事になっていて病室には持ち込めない。お見舞いの人が持ってきた場合は、詰め所に預けられていた。

★転倒予防★
 治療中の血球減少時期の注意事項で、白血球減少に伴う感染しやすい状態に気を付ける他、赤血球減少に伴う貧血(anemia)状態・血小板減少に伴う出血しやすく止血しにくい状態等に気を付ける。
 貧血状態時は普段何気ない動作でもめまい(vertigo;dizziness;giddiness)・ふらつきを起こし、転倒してしまう可能性があるので、ベッドから起き上がる時・トイレの後、立ち上がる時、引き出しから物を出したり、しゃがんだ状態から立ち上がる時なども、めまいに十分気を付ける様にする。はならず固定された物に掴まって、ゆっくり立ち上がる様にする。

 次は食事制限についてまとめてみたいと思う。

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